THE BLITZ チャプター2‐第3話:ランバージャック
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「こちらスパーク4-2、定時連絡。異常は認められません、どうぞ」
≪了解4-2。ブリッツチームはこのまま都市部上空で指定ルートを巡回せよ。スパークチームはそのままパトロールを続行≫
スパークチーム通称スパークスとはタスクフォース∞(インフィニット)とは違いPSPCの巡回部隊。要は警察官の役割を担っているチームだ。
タスクフォース∞を緊急時および特別警戒時に対応するチームであり、スパークスは園葉島各地に設けられた駐在所での勤務とレベル2まで―対応可能な窃盗や傷害事件―の事件へ対応するチームだ。ちなみに、レベル3以降は4と5が存在し3以降からタスクフォース∞の出動案件となる。主に銃刀を扱う犯罪者への対応からレベル3となり、4は異能犯罪者の出現、レベル5は園葉島の住民に死傷者が10名以上発生しかねない事態となる。
「流石に気を張りすぎじゃねえか?別にあいつらが巡回に出っ張っているからってコトが起きるわけじゃないだろ。昨日まで何ともなかったんだし」
コーヒーを啜りながら鈴本が言う。勤続7年の中堅、他社で事務員をしていたが給料に惹かれ自分の体力に自信がありPSPCに入社。
「だからって今日も何も起きないって保障はないでしょう」
運転をしている田島。この年度からの入社。勤務態度の評価は良。
「なぁ、たとえここであいつらがやってきても俺たちに出来ることといやぁせいぜい人を避難させるくらいだ。必要以上に気張っても訓練でやったこと以上のことは出来ないぞ」
「だからこそ、こうやって警戒するべきでしょ。一昨日からこんな風に言ってますけど、もう少し事態の重さを改めて受け取ったほうがいいっすよ」
同意と言い負かされたジェスチャーとして頭を搔く鈴本。
「まぁ。最近、自分の役割に自信が持てなくてな。いっそ、インフィニットの連中がすべて請け負えばいいんじゃないかって思えてな」
「彼らは非常時の対応がメインのチーム、俺たちは日ごろの安全を守る専門。それでいいじゃないですか。自信の根拠なんて……なんだありゃ?」
通行車線の真ん中にバイクのフルフェイスを被ったが立っている。ちなみに、この二人が巡回しているルートは件の爆弾が設置されていたルートだ。爆弾は不定期の間隔で空港まで設置されていた。
男はカッターナイフを田島たちの乗っているパトカーへ刃先を向けていた。
手前5メートルで止まるパトカー。
≪おい!そこで何やってる?通行の邪魔になるから速やかにどきなさい!≫
フルフェイスの中で笑みを浮かべる男。
男がカッターナイフを下に振りかざし、直後上へ力いっぱい振り上げると真空が発生し空気が切れ、パトカーの後方までその真空は進んだ。
「なぁにやってんだアイツは?」
「うん?」
持っていた有線のスピーカーマイクのコードが切れていたことに気付いた田島。車の中央に目を向けるとガラスにまっすぐヒビが入ったことにも気付いた。直後、車は二つに割れ、分断された両方が切られた果物のように内側からぱっかり分かれた。
これに気付いた鈴本はシートベルトを速やかに外して倒れた直後、速やかに車だった塊から脱出し、田島のもとへ向かった。一方の田島は何が起きたか理解できず塊が倒れることにしか気が向いてなかった。そのため、脱出に時間がかかり鈴本にそれを手伝ってもらった。
「なにが起きたんだ!?」
「あれが異能犯罪者だよ!無線で伝えろ、レベル4発生だ。ブリッツチームに救援を要請しろ」
「あ、あ……」
圧倒されている田島。身動きが取れず現状を理解できていなかった。
「早く!それがすんだら避難誘導を行え。俺はあいつに対応する」
「わ、わかった……」
速やかにそこにある車だった塊を背に銃を構える鈴本。影からフルフェイスの男を確認する。ワゴン車が近づいてくるのを見えたが通り過ぎるものと判断、もとい祈った。
一方でそこで携帯無線を取り出し本部へ無線をかける田島。
「クラウド、こちらスパーク4-2だ!レベル4発生!タスクフォース∞の出動を乞う。それと今から民間人の避難誘導を行う」
「待て!どこでどう見かけたか伝えるんだ!」
銃を異能犯罪者へ構えながら首を田島へ向けて言った。
「あー、九尾徒市の車道で……」
「どの!?」
「九尾徒市南区グリッド3の7号車道にて発見した!」
「どんなだ?!」
「あー……刃物を持った奴が車道にて立っていたのを確認した。そいつが異能犯罪者だ!」
「詳細は!?」
「えっと、遠距離から車を真っ二つにされた……つまり、斬撃を発射できる異能犯罪者だ」
「おいウソだろ!」
フルフェイスの男の横にロケット推進グレネードを構えた者が田島たちへそれを発射しようとしていた。鈴本は速やかにその者へ2発の射撃を行う鈴本。命中。
≪どうした、スパーク4‐2≫
「こちら鈴本、どうやら複数の犯行らしい。おそらく『バンディッツ』だ」
『バンディッツ』とは『心ある力』のコードネームだ。非常時でも呼びやすいようにそうも呼ばれている。
「とにかく、増援を頼む。二人だけでは対応できない!」
≪レベル4了解。今からタスクフォース∞をそちらへ送る。それまでは君たちで対応してくれ。クラウド、アウト≫
―2―
「クラウド、アウト。よし、次はブリッツチームに繋げ」
「了解、そちらへ音声を送ります」
ヘッドセットのイヤホンを耳の中へ入れなおす山倉。
「ブリッツチーム、レベル4が発生した。今から指定グリッド3-7-6へ迎え」
≪こちらブリッツ1、了解しました。ターゲットは複数ですか?どうぞ≫
「異能犯罪者は一命のみ、他は武装したバンディッツ複数名を路上にて確認した。現在はスパークスの4-2だけが対応している」
≪ってことは2人だけ?!まずいなブリッツ2、急ぐぞ。こちらは急行します。ストラックチームも送ってください、オーバー≫
≪今、そこから最短で向かえるのは君たちだ。ストラックチームは後に送る、以上だ≫
≪クソっ……!了解、今から向かいます!≫
なんなら俺が今すぐ彼らを助けに行きたいくらいだ
輝馬は自分の持っている仕事ではスパークスの2人を十分に助けられないことに無念を抱いていた。ただオペレーションルームで椅子に座り状況を確認、外に居る者たちの情報の支援だけで満足していないのだ。
ただ、自分の腕っ節で彼らを助けたかった。しかし、今はその時ではなかった。
じゃあ、その時はいつになったら来るんだよ?
‐3‐
夢だと思いたい
車だった鉄の塊だけで身を守るのは不可能と判断し近くの建物内に避難し、応戦を行っているスパーク4‐2の二人。市民の避難はおおよそ完了していた。建物内へ誘導した。大声で避難の指示を行い市民たちは避難していった。しかし、巻き添え―銃弾の流れ弾―を喰らった者も発生しており、それを目にしてしまった田島は目を背けたかった。
「なぁ、鈴本さん。こういうのって昔に経験しました?」
「あってもこれ以上は上手くいかないんだよ」
リロードを行い銃撃による応戦を再開する鈴本。その姿を見た田島は先ほどまでの勤務態度からは信じられなかった。田島の基準からすれば、鈴本はよくやれている。しかしそれでも敵わない。なにせ敵の数が10人ほどということもあり、人間に立ち向かう虫のようなものだった。
やけくそで田島も応戦したが全弾外れた。緊張、不慣れな状況によるストレス、死ぬかもしれない緊張感、これらに慣れておらず快楽にするすべも知らなければ泣きべそもかきたくなる。しかし、まだかいてないことなのでこれを即席の自信にした。
なぜ、バンディッツ―『心ある力』のコードネーム―は建物の中に入らず、そのままたかが二人の警官に硬直状態を保っているのか。ひとつは余裕で殺せるのでスパークスの二人をじわじわと追い詰めている。二つはそこに居る異能犯罪者以外は人を殺す気は無い。半端な覚悟をしきれていない者を中心に行かされたのだ。
理由はこの戦闘で覚悟を決めさせるため。人を殺した実感を実戦で味あわせることで慣れさせる。そして使える者と使えない者の厳選。現場に派遣させたグラントの考えがそれだ。
獲物への舌舐めずりと躊躇。戦闘の評価でいえば0点だ。しかし理由はもう一つ存在していた。ブリッツマンとリヒトワンドをこの異能犯罪者の手で殺すこと。そのためにわざわざ硬直状態になっていた。
「クソ、あいつらまた隠れやがった。これじゃ撃ってもキリがないしかと言ってここから出れば撃ち殺されるだろうし……」
「いっそ、このまま隠れてます?俺たちも」
―4―
「なぁ、本当にあの二人を殺さなきゅいけないのか?」
「じゃんけんで決めただろ!じゃなきゃグラントに殺されちまうんだぞ!」
たかが二人の警官に向けて撃ち合いのふりをしている若者たちはフルフェイスを被った異能犯罪者に頼れなかった。監視されているこの状況で、この者達の手で殺さなければグラントに見せしめを受けるからだ。
「なぁ、あいつらずっと隠れてるよな?だったら俺たちも撃たないでいるか?」
「待てよ、そんなのバレるに決まってるだろ。とにかく撃ちあいのふりをすればいいんだよ」
「なぁ」
フルフェイスの異能犯罪者は監視のために車の陰に隠れていた。他の構成員と同じく。ただ銃を撃っていないだけで。
「さっき、グラントから連絡が来たんだよ。あの警官たちを3分以内に殺さなかったらお前らを殺せって……いや待て」
「はぁ?」
イヤホンから無線を聞き取って、新しい任務を受け取った
「今殺せって……あと数分でブリッツマンが来るから。君たちが捕まったら情報を吐くだろうからって……」
「おい、信じろよ!冗談だろやめてく」
血が動脈が流れている首筋から流れていた。理由は力の関係から言うまでもない。
「ごめんな……でも、そうしなきゃ世の中は変わらないし仕方ないんだよ」
行動とは裏腹に弱気なトーンの声が銃声を背景に聞こえた。振りかざされたカッターを持った右手。その直後に握力を感じたフルフェイスの異能犯罪者。振り返るとそこにはもう一人フルフェイスを被った男が立っていた。機械の羽を担いだ、ブリッツマンとは違う逞しさはあるがどこか怯えと余裕のない怒りを持っていた。
直後に、異能犯罪者とただの臆病ものが隠れていたバンにその異能犯罪者を腕を視点にして振り回してぶつけた。
「次はあんたらだ」
「待って!降参するから助けてくれ」
リヒトワンドの周りには3人いた。一人は死体。もう一人はバンに叩きつけられて一旦動けなくなっている、最後の一人は手を上げていて降参のジェスチャーを見せかけている。
「……ったく」
エナジーショットを降参した者を気絶させるために放った。打撃のを。灯夜としてはこのまじめにやってるくせしてなにも達成してない素人集団と評してる彼らに対しては調べれば調べるほど怒りを通り越して呆れを抱いている。こんな奴らに親父を殺されたのでは親父も浮かばれないという呆れと悔やみだ。
そこからまだ茶番の鉄砲ごっこを真面目に茶番と思わず行っている構成員に対して無力化を行う。危ないおもちゃで遊んでいた子供を叱るかのような打撃を放った。エナジーショットだ。
「ブリッツ1、全ての敵を無力化しました。スパークスの二人の状況を報せてください」
≪二人とも無事だ。さて、クリーナーズがここに来るまでこいつらを見張らなきゃならん。一か所に集めるぞ≫
クリーナーズとは園葉島で起きた事件や戦闘の後処理―遺体の処理や犯罪者の捕縛と掃除など―から街の清掃を専門とする業者であり、PSPCと提携関係にある企業だ。
異能犯罪者や『心ある力』が騒動を起こすことで彼らも儲かる。どこかの諺が似合う企業だ。
「了解です、んじゃあまずは……待て。バイクのヘルメット被った奴はどこだ……?」
「ここだよ」
後ろから左肩にカッターの刃を刺されるリヒトワンド。この日のアーマーは『ブラストファルクラム』。ジェットウィングのバックパックと脚部にブースターのためのアーマーを着けてはいるがそれ以外はエナジーフィールド頼みだった。
カッターの持ち主は尖った物に対してはエナジーフィールドの効果は薄れることを知っていたのかは定かではない。しかし、自分の行った経験の浅い殺人を省みて刺すのは誰に対してでも効果的というのを本能で学んだ。
「っクッソ!一人まだ気を失ってない!交戦する!」
「俺は一人って名前じゃない、一人って名前があるんだよ」
ああそうかよ
すぐさまに出来た傷口を抑えるべき右腕でエナジーショットを放つリヒトワンド。しかしカッターで消されたのを見て接近戦を挑む。驚くべきだがその高ぶりは抑えなければならない。正確にはカッターで弾いたのではなくカッターを振った風圧でエナジーショットを相殺したのだ。
カッターの脅威度は高い。ならばまずそれを持ってる右手を抑えなければならない。しかし、格闘を行うには左肩の負傷が重い。自由に動かない。ならば遠距離から撃つのみ。なぜ、撃っても無駄なことを分かっているのにエナジーショットを放つのか。それは、一人の後ろからブリッツマンが走ってきたからだ。
すぐさまに右へステップを行う一人。しかしブリッツマンの瞬発力には敵わないし追いつかれる。たかが数日前に身体能力が向上し特殊な能力を付与された男と街のために戦い長年鍛えてきた男。どっちが勝つのかは明確だ。そんなことは承知していた一人。エナジーショットの回避もあるが目的は違うところにあった。
一人に喰らいつくと同時に彼の左腹部に衝撃を与えるためエナジーブレードを発生させたブリッツマン。一人のシャツの袖の中から刃物が飛び出してきた。その刃物から発生した風圧に緊急対応するため慣性に身を任せ回避のスライディングを行う。同時に攻撃は腹部から脚部へ切り替えたがジャンプで回避された。
助走をつけ、足の底部からエネルギーを発生させることで大きなジャンプを行ったリヒトワンド。この行動は一人が緊急回避を行った瞬間にしていた。そのため、痛みに堪えながら左手を平行にしてエナジーショットを発射、前方と上部に動くよう働いている力は右にも動くために力が働いた。空中で一人を全身を使って捕まえようとしていた。
空中でリヒトワンドに取っ組まれた一人。
「甘いんだよ!」
一人のその声を発してからそれに応じるかのように周りから物が切れる風圧が次々と発生した。一人を守るために空気がそう仕込んでるかのような過剰な防衛っぷりだ。そのため、リヒトワンドが張っているエナジーフィールドは空気の斬撃でやがて破られ、『繭」を貫いて灯夜の肉体に斬撃が伝わった。
一人が空気を操ることによって刃が発生したのだ。カッターで異常な斬撃が行えたのもこのおかげなのだ。
この拘束は腕を封じているのになぜこんなことが起きているのかが不可解なリヒトワンド。拘束のためにこれ以外なにもできずにもがいている彼を救うべく、エナジーショットを放とうとするブリッツマン。しかし、リヒトワンドが邪魔で撃てなかった。
痛ってぇ、異能犯罪者でもなんでもこんなのありかよ
体のあらゆるところに出来た切り傷に堪え切れずに一人への拘束を離すリヒトワンド。その直後にエナジーショットを放つブリッツマン。しかしエナジーショットは風に弾かれてしまう。
「どう行きます?」
「目には目を、刃物には刃物だ。同時にかかるぞ!」
言葉の後にエナジーフィールドを拳に凝縮し発生させエナジーブレードを形成するブリッツマン。発生音を聞いた後に握り拳に隙間を開け、その隙間からエナジーフィールドを凝縮し刀めいたエナジーブレードを形成したリヒトワンド。
両者はアイコンタクトを取り、片方は一人へ走り、もう一人は飛びかかった。リヒトワンドは足を狙い、ブリッツマンは一人の持つカッターとつばぜり合いが起こして気をそらすようにした。囮だ。
彼らの望み通りにつばぜり合いは起きた。しかしそれは両者へ同時にだ。リヒトワンドの攻撃が空気の風の刃によってつばぜり合いが起きてしまった。
「無駄だぞ?おんなじことばかりでさ」
「ああ、これじゃあな」
これ以外に何があるのかという問いに思考が遮られた一人。
「俺らを忘れんなよ、クソったれ」
ビームやバリアを使う常人離れしたコンビではないもう一つのコンビの声が後ろから聞こえた。それに気付いた時は蹴飛ばされた。バランスが崩れ、顔と地面が衝突したことにより全ての考えがまっさらになってしまった。
「今だ!捕まえろ!」
「そんなもので……うごっ!」
キツイ一発のパンチを後頭部に喰らわされた一人。反動で顔にもまた衝撃が加わり思考が止まってしまった。
―5―
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「ふぅ……」
疲れが溜まっていた。初めての異能犯罪者との実戦で切り傷などをもらうなど大変だったのだ。ため息が出るのも仕方がなかった。
「お疲れさん」
疲れを癒すには低い男声が聞こえる。嫌というわけじゃないが癒されるならあの人の声でお疲れって言われたいもんだ。
「えぇ、まぁこれが毎日とまではいかなくても毎月に何度もあると参りますね」
「ああ、この島は大げさにいえば特撮ヒーロー番組の世界みたいなもんだ。悪者が毎週現れて俺たちが倒す。同じようなもんだ」
「実際に味わうとそんな世界には行きたくないですねぇ」
冗談を返したがいやいや、冗談じゃない。確かにかなりハードだろうとは訓練始まった時は思った。基礎体力づくりは軍隊めいていて、学ぶことも多かった。この島得湯の事情や法からスーツの仕組みに尋問の勉強。
尋問といえば、あのカッター男はどうなるんだろうか。やっぱり収容されるのか、異能者収容場に。聞こえは悪いが管理が必要な異能者を保護する施設だ。あるいは異能犯罪者専用の刑務所。それ相応の機能を持ち合わせている。
「あいつらには聞きたいことがある。巡回ルートの情報源をな」
「たしかに、待ち伏せしていたもんですね。それ以外にも、あの予告されていたルートについて吐きそうですし」
そんなことはないだろう。力量は置いといて、『心ある力』の構成員は忠誠心というより信念が深い。簡単に情報は渡さないだろう。
「なんでそこまでやれるんだろ……」
「あいつらは世の中を変えたいんだよ。それで強い力に出会えば信念も深くなるだろ」
「例外みたいなのはありましたよ。すぐ降参した奴がいましたし」
そもそも、世の中を変えるだなんてどうかしている。良くしたいんならなにか他の方法があるのにどうして無関係な人を巻き込むんだ。そんな強引で変えられるわけじゃないだろ。憎しみも生むだろうに。
それに、あんな弱さでなにか出来ると思っているのは滑稽だろ。銃撃すらまともに出来ていないのに。
正直、あれ以来あいつらを殺していないのは自分でも奇跡と思っている。復習したいのにしないなんて視点を変えれば去勢あれたか親のことをどうでもいいと思ってるかのどっちかだろ。でも、俺はどっちでもない。
正しい力であいつらを倒す。親父の望む彼らへの仕返しはわからない。でも、復習の連鎖でまた無関係な人を巻き込むのは正しいとは思わないだろう。
父さん、俺はあなたの選択が正しかったって証明してみせる。