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夢の通ひ路  作者: 江南
6/10

退寮と挨拶_2

かなりサッカーにドリーム入ってますが。

大勢に影響なし!

ついでにML色もございませんすいません。

 そんなこんなで。


 その豪腕で、話を通した6日後から、当直はあるにせよ基本的に定休であるらしい(本当か? とは常々思うが、医療従事者なんぞそんなもんなのだとか)日曜を含め3日の連休(待機なし)をもぎ取り、土曜も定時に帰宅した久我に、そのまま引きずられるようにして札幌へと旅立った。

 何故か久我は、休暇が取れた連絡を俺にする前に飛行機のチケットを予約してしまって、払い込みまで済ませてしまっていた。

 医者は確かに高額所得者ではあるが、それは労働基準法を無視した勤務体勢ゆえだ。だからその懐に甘えるつもりもなかったというか、自分の都合で無茶を言ったのだから、旅費くらいは出すつもりでいたのだが。


「俺にとっては観光だ、気にするな」


 …そう言われてしまえば言い返せなかった。


 そして、懐かしいと言えば言える札幌で。

 初めてアクセスの不便さを思う。


 そんなことを言えば僻地の皆様には顰蹙を買うだろうし、夜8時を過ぎればタクるか親の車を待つしかなかった自分だとて札幌に出てきたときには終バスの遅さに驚き感動したものだ。


 だがしかし。


 寮の立地に問題がある。

 なんだかんだ、札幌は広い。札幌市とは名がついていても僻地は多い。アクセスが良いのは市の中心部だけだ。

 基本的に寮と練習場の行き来だけだから、寮の立地は一般的な意味でのアクセスの良さを勘案されていない。そして練習場というものは広い敷地を必要とし、だからこそこちらもまたアクセスの良さはあまり勘案されていない。練習まで熱心に見に来てくれるファンのためか、ホームたるドームの隣にあるが、そのドームだって試合時の臨時バスがなければ行きにくいだろう。大体、試合場なんぞ練習場以上に敷地が要るのだ。僻地にしか造れない。しかも、当然のことながら、関係者以外駐車不可。まったく、それでも練習まで見に来てくれていたファンには頭が上がらない。

 それはともかく。つまりは車が要るということだ。だから自分も持っていた。持ってないのは無免か高卒新人くらいだ。


 そんな事情で。

 20:30の羽田発に飛び乗って、新千歳から札幌まで行けばほぼ23時。寮の近場まで行ける地下鉄はまだあるが、そこから先はのバスはさすがにない。と、なれば。タクるか寮住まいの人間を(というか車を)頼るしかない。


 …ないと思っていたのだが。


「何時ですか!? 千歳までお迎えに上がります!!」


 退寮手続きということで事前に連絡を入れた事務方の和田は、勢い込んでそう言った。新千歳まで迎えに来て、西区の寮まで送ると。なんというわんこ気質だコイツは。


「いや、いやいや。お前、確か東区だろ? わざわざそんな…」

「俺は事務ですから土日は休みですし、なんの支障もありません。俺の車、前席フルフラットに出来ますから、バスや汽車より脚も楽だと思いますし」


 なにより、一刻も早く、誰よりも早く、会いたいのだと。

 そうまで言ってもらえて、断る理由はなかった。裏表のない奴なのは知っている。世辞を言い媚を売ることができないのも。


「じゃあ…悪いが頼む。サツエキの北口で」

「だから空港まで行きますってば! てか、到着時間に合わせて到着ロビーで待ち伏せしますから、無視されて待ちぼうけは勘弁してください!」


 …ホントになんだこの意欲。ワケが分からん。確かにフルフラットは有難いが。


「んじゃ、よろしく頼む。あ、もひとつ。久我も一緒だから、それでもよければ」

「久我選手も!? むしろ大歓迎です!! あ、先輩は寮の部屋に泊まられるんでしょうけど、久我選手は? ホテルの手配とか要るならしておきますけど」

「俺の部屋でごろ寝させるからいい。片付け要員兼お目付け役だから」

「分かりました。では予備の布団と当日の軽い夜食及び朝昼食二人分、と寮に伝えておきます。…退寮の手続きは、先輩の手が空いたら、ということで」


 つくづくしみじみ、気の回る奴だ。事務方の鑑。最後は幾許か寂しげな声音ではあったが。


 それよりなにより。


「あのな。久我はもう選手じゃないぞ? 確かに中高と俺のチームメイトだったが、今は医者だ」

「あ! あ、あぁすいませんっ!! 久我先生にも謝っておいてください!」

「いや、まぁ、そんな細かいこと頓着する奴じゃないから、お前がそこまで気にすることはないんだけどな。それより、なんでお前、久我がサッカーやってたって知ってたんだ?」

「あれ、言ってませんでした? 病院にお伺いしたとき、少々お聞きできたのもありますが、そもそも俺、先輩と久我選手…あえてここは選手と呼ばせてもらいますが、おふたりのコンビプレーのファンだったんですよ。憧れだったんです」


 自分には、そこまで信じてくれる相手はいなかったけど、と。

 だから、それ以上にはいけないと悟り、諦めたのだと。


 信頼。そこから生まれるプレイ。

 それはひとつの理想形。成そうとして成るというものではない。

 だからこそ。


「…和田。裏方がいなきゃ表も機能しない。できない。裏方あってこそだ。俺はお前に、お前さんたちみんなに感謝してるよ。多分、チームのみんなが、口には出さなくてもそう思ってる。選手の寿命は短いが、お前たちはもっとずっと長くやれる。その蓄積が、選手を支える。支えてくれているんだ。特に、お前のように選手経験があれば、というか、なければ分からないことも多いだろうし。だから、自分を卑下するな。サポートできる自分を誇りに思ってくれ。俺たちを支えてくれるみんなは、俺たちの誇りなんだから」

「先輩…っ」

「とにかく、久我も行くから、思う存分懐いてくれ。てか、むしろ慣れない状況にうろたえるあいつを俺も見たい」


 そんな軽口に、ようやく和田も笑った。


 そして新千歳から札幌は西区の寮へ向かう車中はえらいことになって、久我は顔を引きつらせ、俺は腹を抱えていた。

フリューゲルスが消えたところで、あまり視聴もしなくなりましたが。

てか、そもそも全日空のファンだったし。Jリーグに熱狂してる人々をTVで見てむしろ退いた。

それでも反町さんは追いかけておりました。

うん、そうだよ、名前だよ! 見ているうちにプレイも好きになったし指導力もあると思うが、とっつきはそれだよ! わかしまもひゅーがさんもいないしな!

…そんな作者です。

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