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夢の通ひ路  作者: 江南
4/10

【番外】ハッピーハロウィン

「とりっくおあとりーと!」


 インターホンを取るなり、そんな子供の声が届いた。

 10月31日つまりはハロウィン。いつの間にこの国にそんな風習が根付いたのかは謎だが。


「はいはい、Treatな。何人いる?」

「5人!」

「おけ。いま開けるからなー」

「はーい!」


 子供らの重奏には頬が緩む。まずはドアを開け子供たちを招き入れた。昨今、入口に暗証キーが必要なマンションでも万全ではないし。この子らも、誰かがここの住人だからウチに来たのだろうけど。なにかあってからでは遅いから。


「ちょっとそこで待ってろな」


 言い置いて、キッチンに。まさかこんなイベントがあるとは思っていなかったので用意はしていなかったが。


「おら、美瑛のカレーかりんとうだ。気に入ったら家族に宣伝してくれ」

「あー、TVで視た! ラッキー!」


 甘味をさほど食さない男二人の家へ大量に送られたソレ。美味いが。美味いのだが。限度っちゅーもんはある。なので、これを幸い大盤振る舞い。伯母さんゴメンでも喜んでもらえてるから!


「ありがとー!」

「暗くならないうちに帰れよ」

「はーい!」


 わらわらと、きゃらきゃらと。マンションにしては近所付き合いが密なのだろう、子供たちはやってきては帰っていった。


 そしてそうして。


「…かりんとうがない」


 帰るなり、俺以上に甘味を欲さない久我が呟いた。


「ハロウィンで、子供ら押し寄せたからな。賞味期限もあるし、バラまいた」

「…俺の分」

「は?」

「俺の分は?」

「…どうせそんな喰わないくせに、いきなりなんだ」

「俺の分…」

「…るせーな! そんなに喰いたきゃてめぇで富良野に電話しろ! 喜び勇んで段箱ぎっしり送ってくれるから!」

「……そんなにたくさんは」

「要らんだろ。なら、次の休み、出かけよう」


 さすがに富良野へ日帰りは無理だから、とりあえず千葉へ。顔を見せて安心させて。千葉に顔を出せば間違いなく一両日中には富良野へ電話が行くだろうから、あちらを安心させることもできるだろうし。あとは観光と買い物を。名物は落花生だったか。


 たまにはそんな休日も良いだろう。

うん、なんだ…久我がアホ丸出しだ…(笑

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