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06 異世界トリップ

やっとそれらしいシーンまで来ました。

『すべての道はローマに通ず』



有名な言葉だったはずだ。


しかし、この言葉どうやら間違っていたらしい。



これは少し前のこと。



・・・

・・・・・・



俺たちは昨日のことは全てなかったことにした。

話し合って決めたわけではない。

暗黙の了解だ。


え?無理だろって?


無理でもやるのだ。

そうするしかない。

この状況でギスギスしてはいられない。


そして、今日も壁やら床やら天井やらを

手当たり次第調べていた。


天井もあまり高くない。

俺が手を伸ばせば触れられるくらいである。


そうして、殆どの場所を調べ尽くしてしまった。


どうしたものか。


水はある。

トイレにある蛇口だが飲んでも大丈夫だった。


喉が乾いたのでうっかり飲んでしまったのだ。

有害だったらどうしようとあとから思った。

今のところ問題はないし、大丈夫なのだろう。

まあ、人質に毒を盛ったりはしないだろうし。


問題は食料である。


このままでは飢え死んでしまう。

犯人が食料くらい最低限持ってきてくれると思ったが

まだ姿も見ていないし、声すら聞いていない。

普通は何かしら言ってくるんじゃないか?



そんなに必死にならなくても

そのうち助けが来るだろうって?

俺もそう思っていた。


ついさっきまでは・・・







「俺は一人暮らしだから、いなくなってもしばらく気付かれない。

高月さんがいて良かったよ」


本当に良かったと思っているわけではない。

気を紛らわそうとして言ったのだ。


「えっ?・・・名島君」


「あれ?そんな暗い顔しないで、大丈夫だってそのうち助けが――」


「私も一人暮らしなんだ」


「・・・・・・。」


「・・・・・・。」


これはまずい。

今日から長期休暇なのだ。


発覚が遅れる可能性が大いに高まった。


俺たちは座り込んでいた。


「どうしてこんなことに・・・!」


ああ、ダメだ。イライラしてはいけないのは分かっているのに。


「クソっ!」


俺は壁を殴った。


すると・・・

壁が動いた。


えっ


声が出なかった。

目が点になる。


「えっ」


高月さんも驚いている。


どうやら下の方を強く押さないといけなかったようだ。


2人で顔を見合わせる。

思わずハイタッチをしていた。


まだ出口と決まったわけではないが

希望を信じたかった。


奥へはこの部屋の頼りない光は届かない。

真っ暗である。


それでも、意を決して

一歩踏み出した。


暗いが真の闇ではない。

僅かに輪郭は見える。

壁に手を当てて進む。


2歩目を踏み出した。


そのとき


何かが飛んでくる。


「うわっ!」


「きゃっ!」


俺は思わず腕を振った。


ボフッ


何かに当たった。


光の粒子が飛び散る。


そして、床に落ちた。




「・・・今の・・・何・・・?」


高月さんが後ろから聞いてくる。


目を凝らして見ると・・・


「枕?」


「マクラ?」


「寝るときに使う」


「なんで枕が襲ってくるの?」


「さあ?俺に聞かれても」


そのとき効果音が鳴り響いた。


思わず身構える。


すると


何もない筈の空間に文字が浮かんでいた。



Congratulations!


Info.

名島 蛍(なじま けい)

モンスターを倒しました!

Level Up!

レベル0→レベル1


レベル1になりました!

Skill Get!

ステータス

アナライズ


経験を積みました!

Skill Get!

暗視

殴る


高月 葵(たかつき あおい)

経験値が分配されます!

Level Up!

レベル0→レベル1


レベル1になりました!

Skill Get!

ステータス

アナライズ


経験を積みました!

Skill Get!

暗視


アイテムを獲得しました!

もやし


新しいエリアが開放されました!

キッチン

風呂




「なんだこれ・・・」


「何・・・これ・・・」



どうやら誘拐ではなかったらしい。


虚空に浮かぶ文字というのはとても幻想的だ。


幻想的なのだが・・・

枕とか、もやしとか

キッチンとか、風呂って・・・



「とりあえずステータスチェックしてみようよ」


「高月さん、適応早いね・・・」



Status.

名島 蛍 レベル1

スキル

暗視 殴る

パーティー

高月 葵


高月 葵 レベル1

スキル

暗視

パーティー

名島 蛍




情報は少ない。

レベルとスキルくらいしか表示されないようだ。


「パーティーになっていたから、経験値が分配されたみたいだな」


「うん、名島君ありがと。

暗くてもさっきより見やすくなったよ」


「確かに。これで少しは過ごしやすくなるな」


「あれ?そこになんかあるよ」


「え?まだ何かいるのか」


見てみると



Info.

宝箱

中に何か入っている。



アナライズは自動で働くようだ。


「開けてみよう」


そう言って中を覗くと


「刀?」


短刀だ。


「これが必要な相手がいるってこと・・・?」


「うわ〜」


「危なそうだし、1回戻ろう」


「・・・そうだな」






『すべての道はローマに通ず』



有名な言葉だったはずだ。


しかし、この言葉どうやら間違っていたらしい。



少なくとも俺達の通った道は異世界に通じていた。

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