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ミッションプリンセス  作者: 雪ノ音
6章 平和に裏あり
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+0.5 メイドと魔物は姫を待つ

一部のファンの方と、メイドさん達が待っていたスライムさんの出番です。

ナナカ姫には生贄に……?

 魔物との戦いは、ようやく終焉を迎える事が出来ました。

 ナナカ様達の活躍によりベルジュの町は守られたのです。

 知能に優れ、行動力があり、そして幼少の身にして戦場に立ち、あの甲殻竜すらも倒してしまう。

 そして何よりも、かわいい。とてもかわいい。誰が見てもかわいい。果てしなくかわいい。一番かわいい。それがナナカ様。


 もちろんメイドである、わたくし『サリナ』の贔屓目だけではございません。否定する人間はメイド8人から鉄槌を下される覚悟をして頂く必要がございます。ただし、そんな事は絶対に起こりえないと言っておきましょう。

 ナナカ様は大人達が絶望的する中で希望を捨てず、自身の身を困難の中へと投じた勢いのままにミッションをクリアしたのです。やっぱり完璧なお方なのです! パーフェクトなのです!


 はぁはぁはぁ……。あまりの出来事に、わたくしサリナも少々熱くなりすぎたようです。申し訳ありません。


 とにかく、迎えに町の外まで出てきた私達メイドが目にした事件は、その勝利に包まれた状況で訪れたのです。


 ナナカ様は「やってやったぞ!」と、膨らみ始めたばかりの胸を張るように私達の方へと歩いてきました。その姿は近所のガキ大将との喧嘩に勝って誇る少年の様でした。 もちろん、そんなナナカ様もかわいいです(断言)。以前にナナカ様は、わたくしの大きな胸は誇るべきだと言っておりましたが敵うわけがありません! わたくしは2番で良いのです!


 ところが、そんな平和な空気の中で更に幸運が……いえ! 不幸がナナカ様を襲ったのです!


 何もないはずの街道で大の字になるように見事に、お顔から地面に向かって「ぷにゅ~」とキスをしてしまったのです。ああぁぁ、倒れた姿もかわいい……。じゃなくて、ええぇ……わたくし達はナナカ様をお守りする事が出来ませんでした。折角のキスを大地如きに譲るなんて不覚と言わざるを得ません。あの大地と私は変わりたいっ! あっまたっ! 少々落ち着く必要がありそうです。

 ちなみに訪れた不幸はそれだけに終わりませんでした。その後の事の方が大きな動揺を誘ったからです。


「なんだ!? この地面は足にまとわりつくぞっ!?」


 倒れたまま声を上げる事態に周りの者に緊張が走りました。

 体を擬態して潜む魔物の存在を意識したからです。カメレオンガッシュ、グランドオクトパス、ランミミック。その手の魔物を挙げればきりがありません。


「あれは……バタースライム!」


 メイドの中でも、その手の知識を持つメルがその存在を口にしました。


 バタースライム。わたくしもその名を知らないわけではありません。実はメジャーな魔物であり、殺傷能力はないと言ってもいいくらいだったからです。たとえ外へ出る事ない街の住民でも一部の者ならば知っているのです。その一部とは美容に力を入れている女性。その特性を利用して体の老廃物の除去と脱毛、店によってはマッサージ用の商業利用する為に飼育されている代表的な魔物。


 ……つまりそのバタースライムにナナカ様は捕獲された様な状況なのです。


「姫様っ! 今お助けします!」


 男性であるカジル様は女性の間では常識とも言われる、危険ではない特性を理解しておりませんでした。魔物から助けようとスピードを上げたつもりだったのでしょう。ところがその場で足がもつれてしまい自身も倒れてしまったのです。後で聞いた話では魔法を酷使しすぎた為の結果だという事ですが、それが事態をわたくし達メイド好みの展開へと誘ったのです。


「なんだー! この気持ち悪い奴はっ! ひゃ~~足を這い上がってくる! だ……誰か!?」


 バタースライムは声に嬉々として反応するように足元からナナカ様を包み込んでいきました。それでも体に異常は見られません。やはり何処かの店舗から逃げ出した魔物なのでしょう。となれば慌てなくても危険は少ない事はわたくしでも分かります。ただ接触している部分の感触は幼いナナカ様に耐えれるものかは疑問でした。


「ナナカ様! 大丈夫です! 危険はありません! こいつの弱点はお酒です。直ぐにご用意いたします!」


 戦いに酒を準備していたのは承知しておりました。つまりは近くに幾らでもあるはずと。しかし、わたくしは気づいていなかったのです。酒を何に使ったのか、辺りを覆う匂いがその酒の匂いである事に。


「いや、酒は残ってないぞ? 全部使っちまったからな」


 無常の言葉が娘の肩に寄り掛かったシェガード様から告げられました。


「うそだろう!!! あうっ!」


 なんという事でしょう。ナナカ様の絶望の言葉を遮ったのは、おそらく下着の部分まで這い上がったであろう魔物。ナナカ様は何かに耐えるように言葉を止められてしまったのです。顔は朱に染まり始め、その色は興奮するメイド達にも伝染し始めました。


(わたくしはこの光景を目に焼き付けます! 生涯の宝物にするのです!)


「急いでナナカ様を助け出さなくては!」


 心と体が別々になったようにわたくしの中で激しい戦いを繰り広げていました。表面の方に救助の言葉が出たのは奇跡と呼ぶべきでしょう。


 しかし事態を収集する方法がなく、バタースライムの活躍……いえ! 暴走を誰も止める事が出来ずに悪化の道を辿るのでした。


 続く――!

なんと……続く! 次話でナナカ姫を救い出せるのだろうか!?

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