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第三〇話

 ◇◇◇◇




「うぉおおらぁあ!」




 豚顔人(オーク)どもの群れに飛び込んで、俺自身が旋棒(トンファー)の様に旋回する。


 旋棒(トンファー)を振り回し、左右の回し蹴りを放ち、竜巻となって周りの豚顔どもを巻き込む。


 斬り刻み、爆散させ、ブッ飛ばす。ああ、これだ。好き放題。みんな俺がブッ飛ばすんだ!




「うぉおおらぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」




 気が付けば辺り一面豚顔どもの肉片が飛び散っていた。




「琥珀殿、周囲には敵はいないでござる」

「キング、はしゃぎすぎてバテんなよ」




 マンダ、ドラグも周囲のモンスターを倒して集まってくる。




「今ならミノさんも圧倒出来る気がするぜ」

「気のせいだろ」

「気のせいでござるな」




 この二人、俺の思考を乗せた筈だが、イマイチノリがわりぃ。ベースがまともなAI(人工知能)だから、そこまで馬鹿ではないらしい。サーラが言ってた。おい。馬鹿ってなんだ、馬鹿って。




「てめぇら、ちょっとばかり手ぇ抜きすぎじゃねぇか?」

「は?キング、誰に言ってんだよ。キングが雑魚ブタ相手にしてる間に、こっちはミノさんの単独討伐してんだぜ?」

「拙者は、狼半人(ウェアウルフ)灰色狼(グレーウルフ)相手に大立回りでござる!」

「一番楽してんのキングじゃねぇか?」




 お、おぉ。そうか。ミノさんと狼ね。ポイント的には豚顔も負けてないが、この森の二大モンスターは、ミノさんと狼だからな。俺が一番楽してんの?マジか... ...




「おっし!次だ次!こっからこっちの10㎞くらいで勝負だ!」

「キング、吠え面見せてやんぜ」

「琥珀殿、今度は手抜きはやめて欲しいでござる」




 ウキッー!


 この人を小馬鹿にする性格はなんなんだ!サーラが微調整しましたって言ってから、小馬鹿にする頻度が増えている。


 まさか、これは俺のテンションを上げるためか?思いっきりはまってるぞ、俺。




「うおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぁぁぁぁぁぁああああああ!」




 一際でかい咆哮。そのまま俺は薄暗い森の中へと走る。


 第一拠点ファースト・ベースキャンプ周辺のモンスターは、最初の拠点(ゼロ・ベースキャンプ)周辺のモンスターに比べると強い。


 単純に、速度も筋力も耐久力上がっているし、使用する武器も格が上がってる。だが、その知能だけは変わっていないようだ。野生の、本能で生きる野獣。


 獲物を狙って闊歩するアホ。強敵を探し求める脳筋

 。縄張りを荒らすヤツを狙うバカ。


 俺が吠えれば、そんなアホとバカどもがうようよ寄ってくる。ほぅら。早速気配を掴んだぜ?速度と数から判断すると狼どもだな。


 何匹来ようと、俺が無双するだけだ。かかってこいや!




「うおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぁぁぁぁぁぁああああああ!」




 ◇◇◇◇




「琥珀様。ここ最近、鬼騎士(オーガナイト)の損傷度合いがひどいようですが、鬼騎士(オーガナイト)の整備に何か問題でもございますか?」

「全く問題ないな」

「では、琥珀様ご自身の体調などはどうでしょう」




 体調?体調ねぇ...




「毎夜、一人で寂しいからな。サーラみたいな美人が相手してくれると助かるんだけど... ...」




 チラッと上目遣いでサーラを見てみる。




「琥珀様。私がお相手するのは無理でございますが、専用のオーガナイトがございます。ポイントは消費しますが、気分が乗らないのでしたら、ご利用することも有用かと思います」




 マジっすか... ...




「サーラ、もう少し詳しく教えて欲しい!」

「畏まりました。ては、このような所で立ち話もなんですので、打合せスペースに移動しましょう」




 で、やって来たのは四畳半ほどの打合せスペース。密室ですから!


 デスクの上に端末機が設置されており、二人で並んであれやこれや画面を見ながら説明を受ける。


 端から見れば、熱心に作戦を練っているようにも見えるだろう。




「サーラ、これは?」

「こちらの機種は、胸部の脂肪が多く、張りがあるのが特徴でございます。張りの強弱は調整可能でございます。また、特殊能力として、胸部の脂肪を利用した技が使用可能です」



 ...


 ...


 ...



「サーラ、これを解説して欲しい」

「畏まりました。こちらは、イメージ力を活用することが特徴でございます。シチュエーションとして、何種類か選択することが可能です。琥珀様でしたら、この縁なしの眼鏡を掛けた家庭教師スタイルが向いているかと思われます」



 ...


 ...


 ...



「サーラのお薦めは?」

「はい。私のお薦めは、こちらの双子です。学級委員長と図書委員の姉妹でございます。見た目はそっくりな二人ですが、乗せているAI(人工知能)が違いますので、その違いも楽しめるかと思われます」





 サーラと話し込んだ。熱心に、何時間も。今までの人生でここまで真面目に話をしたことはない。全ての雑念を捨て、サーラの説明に集中する。


 サーラの瑞々しい薄ピンクの唇から、一切、卑猥さを感じさせない、説明口調の卑猥な説明。


 肩が触れ合うほどの距離で、数時間。


 この狭い密室で。


 俺が、そんな行動に出てしまったのは仕方ないことだろう。




「サーラ... ...」




 サーラの両肩を掴み、その唇に俺の唇を当て... ...




「っあがががっががががががっがっがががが」




 痺れた。


 けたたましいサイレンが響き渡り、何人もの足音が聞こえる。


 扉を開き、入ってきたのは警備員風の人達。




「琥珀様。規則ですから。罰はマイナス【10000】ポイントと一ヶ月の禁固処分です。非常に残念ですが規則ですので。現在の琥珀様のポイントは【10000】未満ですが、ご心配は要りません。不足分は借金の形式で取立ていたします。具体的には獲得されるポイントの八割をこちらで引き下ろします」




 痺れて言葉を発することも出来ない俺を、数人の警備員が担いで部屋を出ていく。




 あぁ。


 唇、柔らかかったなぁ... ...




 ◇◇◇◇

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