第二九話
◇◇◇◇
「ドラグ、頭狙え!マンダ、ドラグの先制が効いたら飛び込むぞ」
「了解」
「了解でござる」
三人で初の牛頭人狩り。ミノさん、動きが遅いから三人で相手の狙いを分散させれば、危険はないはず。
「キング、片目ぇ潰したぜ」
「オーケイ!マンダ、武器持ってる腕狙え!」
「分かったでござる!」
マンダに腕を狙わせ、俺は接近して足、背後に回って頭を狙う。
「キング、邪魔!ちょっと離れてろ!」
俺の攻撃が全く通用せず、ミノさんの注意も引けない。そんな俺を引かせて突撃するのはドラグ。こいつはショットガンで超接近戦をやってのけるのだ。
「BUOOOOOOOOOOOOOOOOO!」
ミノさんの叫び声が響き渡る。超至近距離からショットガンを土手っ腹に食らわせた。
ミノさんの硬い皮が破れ、肉片が飛び散った。
「マンダ、腹狙え!」
マンダに腹を狙わせ、俺は牽制として、顔や腕を叩きまくる。
「琥珀殿!討ち取ったでござる!」
マンダの刀がミノさんの腹を貫き、内臓を抉り、命を刈り取っていた。
この二人と一緒に戦うようになって感じたことがある。
俺って... ...攻撃力無さすぎ!
このトレーニングセンターに来てから、自分の鬼騎士の性能データを見る機会が増えたのだが、比較する相手も居なかったので特に気にすることもなかった。
仲間を二体引き入れることになり、サーラにどんな設定にするか細かく聞かれた。どんなと言われても分からなかったので、イメージを伝えた。リナ、アリサ、サスケ、ドラグ、マンダのイメージを。細かい設定も、誰を使うかも全てサーラ任せ。サーラが俺の戦い方、データと比較して最適解を出したのが、今の二人。
こな二人の性能はランクC、カスタマイズポイントも割り振っていない。俺の方がカスタマイズポイントを多く振っているのに。
攻撃力が劣っているせいで、ミノさんとか、硬い敵では活躍出来ない俺たが、その他の敵では活躍出来る。
ゴブ公を始め、ワンコなどの獣人系は俺の方が撃破数が多い。
「よし、ドラグ、マンダ。今日はあと20㎞行こう」
「おう」
「了解でござる」
安定感のある狩りが出来てると思う。だが、なんかしっくり来ねぇ。なんかもの足りねぇんだよな。
◇◇◇◇
「サーラ」
「はい、琥珀様。如何なさいましたか?」
サーラに俺の胸のわだかまりを相談してみる。
「一緒に食事でも...」
「申し訳ありません。規則ですので」
「じゃあ、時間が勿体ないから、食事を取りながら、今後の相談するとかは?」
「それでしたら構いません」
よし!よし!よっしゃー!
一緒にカフェに移動し、飲み物と軽食を頼み、話をすることにした。
「サーラは何か飲まないのか?」
「オーガナイトですので」
「飲めない?」
「いえ、飲む必要がありません」
おかしい。そんな筈はない。何故なら、俺は探索中に喉が乾く。たまに休憩を取り、水分補給をしている。軽い食事も取っている。
その事をサーラに伝えると、
「私どもは、一日分のエネルギー消費が計算通りに行われますので、一日一回、エネルギー補給と水分補給を行います」
で、俺ら戦闘用の鬼騎士は、一日一回の補給では足りなくなるほどエネルギーを消費するらしい。その辺は人間と同じだ。闘技場での戦闘は短時間だったので、そんなことは疑問にすら思わなかった。
「琥珀様。本題はどのような内容なのでしょうか?」
折角、世間話で楽しい一時を長引かせようと思ったのに、催促されてしまった。
「あの二人と一緒に戦ってると、戦闘は安定するんだけど、なんか物足りねぇんだよな」
「物足りない... ...具体的には、どのような点で不足しているのでしょうか」
具体的に... ...って言うか、それが分からねぇ。なんか分からねぇが、もやもやすんだよな。と、素直な気持ちをサーラに伝える。
「では、どのような場面で感じることが多いですか?」
「場面ねぇ... ...敵を見つけて、よし、行くぞって時かな?」
「他にはありますでしょうか」
「う~ん、逃げる敵を追い詰める時とか... ...討ち取った時とか... ...弱いモンスターを蹂躙する時も... ...つえぇ敵と戦ってる時もだな」
って、ほぼ常時感じてる気がしてきた。
「モチベーション、テンションでしょうか」
ほぅ。どういうことだろうか?
「私は、琥珀様の闘技場での戦闘を全て拝見しました。琥珀様は、個人戦でもチーム戦でも、これまで一人で戦って来られました」
はいそうです。ぼっちですから。
「戦いの時、頼れるのは自分だけという状況でモチベーション、テンションを維持していたのだと思います」
おぉ。多分あたってる気がする。
「現状、琥珀様は一人で戦っていません。仲間がいて、仲間に頼っておられます。このままでは、琥珀様のモチベーション、テンションが低下する可能性がございます」
ほぅほぅ。由々しき問題だな、それは。
「で、解決する方法は?」
「ございます」
さすがサーラ。できる女だ。出来れば俺の筆下ろしも頼みたい。その時は、縁なしの眼鏡を掛けてもらい、できる女っぽさを更に醸し出す感じがいい。もう俺はなすがままだ。
「琥珀様?」
「おぅ、わりぃ。続けてくれ」
「... ...現在のお仲間のAIに、琥珀様の考え方、思考を乗せることです」
俺が三人か。それってチームとして大丈夫か?俺が言うのも何だが。
「琥珀様の懸念されることは何となく分かりますが、性能や武器は現状通りですので、琥珀様の欠点は他のお二人が、お二人の欠点は琥珀様が補う形になると思います。連携は期待出来ませんが、お互いが競い合うことで、モチベーションもテンションも高い水準で維持ができると思います」
そうか。何やら途中から難しかったので聞いてなかったが、サーラはホントにできる女だってことが何となく分かったよ。これまで通り全て任せるよ。今後も全てお願いするよ。色んな意味で。
「サーラ、筆」
「お断りします」
エスパー?
「サーラ、めが」
「視力は問題ありません」
まさか?
「サー」
「では、私の提案通り、お仲間のお二人のAIに、琥珀様の思考を乗せます。細かい調整も含めて明日には間に合います」
か、完全に心を読んでいらっしゃる!
◇◇◇◇




