第二八話
◇◇◇◇
小角鬼。ファンタジーな物語ではお馴染みの醜悪な小人。コイツら、いつも必ず集団でいやがるんだよな。動きも遅く、力もねぇ。加えて頭が弱い。正直、この森の最弱モンスターだ。
「うぉおおらぁあ!」
俺の攻撃力でもほぼ一撃。
「らぁ!うぉおおらぁあ!うぉおおらぁあ!」
あっと言う間に数匹を片付ける。
コイツらは、ポイント的には美味しい。コイツら三匹と灰色狼一匹を天秤にかけたら遥かに狼の方が難易度高いからな。
拠点の近くでは、このゴブ公の他にも二足歩行の犬がポイント的に美味しい。
俺がサーラに効率的な狩りについてアドバイスを求めた時に教えてくれたモンスターだ。
このセンターに来てから、早くも一ヶ月。そろそろステージを一つ上げてはどうかとサーラが言ってきた。
ステージを上げると言うのは、この拠点から100㎞以上の範囲で狩りをすることを指している。
即ち、新たに拠点を設置して、範囲を広げろ、と言っている。
ポイント的にも十分だし、距離も100㎞近辺まで伸ばしている。だが、俺には欲しいものがある。それも幾つも。
まずは特殊能力の「自己修復」。少し損傷したぐらいで一々拠点に戻るのが面倒なんだよな。これがあれば、戻らなくて済むし、修復にポイントを消費しなくて済む。
ホントはもっと早く取れば良かったんだけどな。気づけなかった。仕方ない。気付いたのもサーラに教えて貰ったからだし。
後は、仲間。これがかなり高いらしいが、いるのといないのとでは雲泥の差。これもサーラに教えて貰った。
ホントは一番最初に説明を受けるらしいが、俺が端しょって貰ったから、仕方ない。
仲間もポイント制で、ここに来た当初に二体ほど取得出来るポイントを与えられるらしい。俺は知らずに大量にあったポイントで、特殊能力を二つ取ったんだったな。「飛耳長目」と「窮鼠噛猫」。それなりに有効だったんだが、仲間二体の方が良かったんだろうな。
俺はゴブ公を狩り尽くすと拠点に帰る。サーラの計算によると、今回の獲得ポイントで「自己修復」と仲間二体、更に拠点設置が可能なポイントが貯まるはずだ。
◇◇◇◇
「お疲れ様です、琥珀様。本日のトレーニングは終了なさいますか?」
「おう。終わりだ」
「本日のトレーニングでの獲得ポイントは、【107】ポイントですね。内訳はどうなさいますか?」
「あぁ、いつも通りで」
「では、PTに情報を転送しておきます」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
牛頭人【010】x0
豚頭人【007】x0
大角猪【006】x0
蜥蜴人【005】x2
狼半人【004】x0
灰色狼【003】x0
犬頭人【002】x20
赤蝙蝠【002】x0
小角鬼【001】x47
大針鼠【001】x0
一角兎【001】x10
大黒烏【001】x0
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
Total【107】ポイント獲得
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
「特殊能力「自己修復」の取得、鬼騎士二体の取得は予定通りで宜しいですか?」
「おう。やってくれ」
「畏まりました。消費ポイントは【2800】ポイントです」
「それと、新拠点の設置もお願い出来るか?」
「可能でございます。新拠点の場所は如何なさいますか?」
「じゃあ、ここから南に100㎞の所で」
「畏まりました。消費ポイントは【500】ポイントとなります。残ポイントは【48】ポイントとなります」
「おう」
漸く整い始めた。これも全てサーラのお陰だな。俺は財布の口が弛い。というか、管理出来ねぇからな。ここまで順調に貯まったのは、サーラのお陰だ。
「サーラ、ありがとな」
「いいえ、どういたしまして。鬼騎士の整備は如何いたしましょう?本日は損傷はないようでございますが」
「おう。なんもしないでいいよ」
「畏まりました。データが更新されておりますので、いつも通りPTに情報を転送しておきます」
「おう」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
鬼騎士データ
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇機体名◇kh00003
◇身長◇178
◇体重◇128
◇剛 柔◇
→剛■□□□□
→柔■■■■□
◇筋 力◇
→胴■□□□□
→腕■■■■□
→脚■■■■■
◇速 さ◇
→機 敏■■■■■■■■■■■
→加 速■■■■■■■■■■
→最 大■■■■■■■■■■
→反 応■■■■■■■■■■■
→伝 達■■■■■■■■■■
◇性 能◇
→耐 久■■□□□
→持 久■■■■■
→認識
◇感 覚◇
→視覚■■■□□
→聴覚■■■□□
→嗅覚■■□□□
→味覚■■□□□
→触覚■■■□□
→知覚■■■■■■■■■■
◇特 殊◇
→勘
→飛耳長目
→窮鼠噛猫
→自己修復
◇状 態◇
→異常なし
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
順調なんだろうか。一般的な進捗度合いが分からねぇ。提示された条件だと、一年で1000㎞到達すれば、ランクAで復帰できる。500㎞到達すればランクB。それ未満ならランクCなんだよな。
単純に一ヶ月で100㎞ずつ進めば一年で1200㎞となる。まぁ、どんどん難易度が上がって行くのだろうから、そんな単純じゃあねぇとは思うが。
「サーラ、今日、メシ一緒に食べねぇ?」
「琥珀様、お誘いありがとうございます。ですが、一緒にお食事を頂くことは出来ません。当センターの規則ですので」
「そこを何とか!」
「申し訳ありません」
真面目過ぎるんだよな、サーラは。はぁ。これじゃあぼっちのままじゃんか。
◇◇◇◇
「はじめまして、琥珀様」
「はじめまして、琥珀様」
俺の目の前には二体の鬼騎士が並んでいる。一人は軽装備でライフル、マシンガン、ショットガンを持つ銃使い。もう一人は軽装備で二刀流の剣士。二人ともランクCの平均的な能力を持っているそうだ。特殊能力は、銃使いも剣士も「自己修復」。特殊能力を一つ持ったこいつらが一体につき【1000】ポイント。ちなみに、俺が取得した「自己修復」は【800】ポイント。特殊能力よりも仲間を一体増やす方がお得感があるが、サーラに相談した結果、「自己修復」は長い期間でみるとお得らしい。最初に取得した「飛耳長目」「窮鼠噛猫」よりも先に取得すべきであったが仕方ない。
「えーと、名前だよな」
そう。仲間には俺が名前を付けることになる。考えるのは面倒なんだよな。
「じゃあ、銃使いがドラグ。刀使いがマンダな」
「はい、ありがとうございます。ドラグです」
「はい、ありがとうございます。マンダです」
こう畏まられるとなんだか違和感がある。
「命令に従うんだよな?」
「「はい」」
「じゃあ、ドラグはもっと砕けた感じで喋ってくれ。たまに悪態つく感じで。ちょい毒舌な、」
「あぁ、分かった」
「マンダは、自分のことを拙者って呼べよ。んで、語尾は「ござる」な!」
「拙者でござる」
なんか違う感じもするが、まぁ、こんなもんでいいかな。
「んじゃ、二人ともよろしく!」
「ああぁ、よろしく」
「よろしくでござる」
◇◇◇◇




