第二七話
◇◇◇◇
目の前に居るのは、確か灰色狼。大型犬をもう一回り大きくした大きさ、ふさふさな毛並み、大きな口から大きな牙が覗く。毛色はグレー。目んタマは琥珀色。俺と同じだ。
見た目からして強そうだが、その実態は... ...超つえー。
この森で出会うモンスターの中では今のところ最強。
大抵のモンスターは、なんとかなる。
俺の攻撃が通らないヤツもいるが、その時は逃げればいい。
だが、こいつは、こいつらからは逃げられない。
目の前には一匹だが、他にも数匹の気配を感じる。
こいつらは決して単独では行動しないからな。一匹と見せかけて数匹で連携してきやがる。
「うおぉおらあぁぁ!」
一足で距離を詰め、旋棒の一撃を放つ。が、避けられる。
こいつらの一番の武器は、鋭い牙でも爪でもない。そのスピードこそが一番の脅威だ。
目の前の狼が襲い掛かってくるが、フェイクだ。背後から音もなく近寄ってきているヤツが本命だろう。
襲い掛かってきた狼の口に旋棒を突き刺し、振り向き様、回し蹴りを放つ。
背後から近寄ってきていた狼の鼻先を掠り、俺は体勢を崩す。
そこへのし掛かってくる狼。
密着状態で、俺は狼の頭を両手で挟む。
目を回して倒れるコイツは無視だ。
直ぐに二匹が飛び掛かってくる。
一匹を前蹴りで突飛ばし、もう一匹は左腕に噛み付かせる。その隙に、右の掌底で頭を打つ。
ふらついた狼を投げ飛ばし、後ろから近付いてきたもう一匹を牽制。
再び二匹同時に飛び掛かってくる。
一匹の顎を蹴り上げ、もう一匹の噛み付きを転がってかわす。
のし掛かってこようとした狼に下から鋭い蹴りを食らわせる。
立ち上がっている狼が居ないのを確認し、一匹ずつ留目を刺していく。
顎が爆散している狼と腹が爆散している狼には留目は必要なかった。
留目を刺し終わると、俺は最大速度で撤退する。コイツらとやりあうといつもボロボロになるから、直ぐに拠点に引き返すのがベスト。
そんでもって、俺は戦闘中に吠えるから、他の狼を引き寄せやすい。
また遭遇したら、目も当てられないからな。
◇◇◇◇
「お疲れ様です、琥珀様。本日のトレーニングは終了なさいますか?」
「そうだな。終わりにするよ」
黒く大きなカプセルから出ると、サーラがタオルを渡してくる。このサーラ、トレーニングセンターのナビゲーターだと思ったのだが、どうやら俺個人のナビゲーターらしい。ここでは、一人につき、一人のナビゲーターか付くらしい。
で、話を聞くと、彼女はなんとオーガナイトだった。ナビゲート専門に造られたオーガナイト。ちょっとショックだったが、今では本物の人間と思って接している。気分の問題だが、その方が俺にはテンションの維持に繋がるからな。
「本日のトレーニングでの獲得ポイントは、67ポイントですね。内訳はどうなさいますか?」
「あぁ、いつも通りで」
「では、PTに情報を転送しておきます」
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牛頭人【010】x0
豚頭人【007】x0
大角猪【006】x0
蜥蜴人【005】x1
狼半人【004】x1
灰色狼【003】x5
犬頭人【002】x9
赤蝙蝠【002】x0
小角鬼【001】x23
大針鼠【001】x0
一角兎【001】x2
大黒烏【001】x0
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Total【067】ポイント獲得
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灰色狼は撃破ポイント低いくせに一番厄介なのはなんでだ?相性の問題かもしれねぇな。ちなみに、まだ牛頭人は撃破したことがねぇ。硬すぎるだよな、ミノさん。
「鬼騎士の整備は如何いたしましょう?」
「う~ん。とりあえず、修復だけでいいや」
「畏まりました。損傷度合いと修復費用の内訳はどうなさいますか?」
「いつも通りで」
「では、PTに情報を転送しておきます」
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鬼騎士データ
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◇機体名◇kh00003
◇身長◇178
◇体重◇128
◇剛 柔◇
→剛■□□□□
→柔■■■■□
◇筋 力◇
→胴■□□□□
→腕■■■□□
→脚■■■■□
◇速 さ◇
→機 敏■■■■■■■■■■
→加 速■■■■■■■■■■
→最 大■■■■■■■■■■
→反 応■■■■■■■■■■
→伝 達■■■■■■■■■■
◇性 能◇
→耐 久■■□□□
→持 久■■■■□
→認識
◇感 覚◇
→視覚■■□□□
→聴覚■■□□□
→嗅覚■■□□□
→味覚■■□□□
→触覚■■□□□
→知覚■■■■■■■■■■
◇特 殊◇
→勘
→飛耳長目
→窮鼠噛猫
◇状 態◇
→左腕損傷[損傷度50%]
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修復必要ポイント【008】
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ここに来てから、ポイント、ポイントってうるせぇんだよな。正直、計算は苦手だからな。ちまちま計算しながら計画的にってのが無理だ。食事にしろ、修復にしろ、なんやかんやでポイントが必要になってくる。鬼騎士のカスタマイズもポイント。武器の強化もポイント。まぁ、その辺は闘技場と変わらねぇが、細かいところは親方に任せてたからな。
細かいことは気にせず、ずーっと貯めて、一気に使う。正直言うと、今、俺の持ってるポイントがいくつ貯まってるか知らねぇしな。
その辺は全部、サーラに任せてる。
そうだ。確か... ...
「サーラ。新しい拠点設置って、何ポイント必要なんだっけ?」
「拠点のランクにもよりますが、最低ランクの拠点でしたら、【500】ポイント必要でございます。更に、拠点の維持にも一日あたり【50】ポイント必要でございます」
「そ、そうだったね。ところで... ...俺って拠点持てそう?」
「琥珀様の現在の所持ポイントは【863】ポイントでございます。琥珀様は一日あたり平均【75】ポイント獲得しておりますので、可能かと思います。ただし、拠点の設営は現在の拠点から100㎞以上離れることが条件になっておりますが、琥珀様の現在の最大到達距離は52㎞でございますので、時期尚早かと思います」
なげぇ!ちょっとした質問にもこれだ。真面目過ぎるんだよな、サーラは。てめぇにはまだはえーよ、って、一言で良いのに。
「分かった。ありがとサーラ。あー、あと、俺の部屋に黒の炭酸飲料届けておいて」
「はい。既に届けております」
優秀なんだよね。なんだけど。なんかなぁ... ...
◇◇◇◇




