第二三話
◇◇◇◇
「キング、なんか言うことはあるか?」
「まぁ、勝ったんだし良かったんじやねーの?」
皆の目が冷たい。
「あたし、一人殺った」
「あたしも」
「俺も」
「俺も」
「俺、二人」
「俺、〇人。でも、ドラグが俺の相手を奪ったんじゃん!」
ドラグが、ドラグが!
「キングがモタモタしてっから」
「前回、あと一秒で勝てたもんね。待ってられないよね~」
「俺、ドラグに奪われたけど、慌てて残りの狙撃手を討ち取ったよ」
キーッ!
「俺の五衛門を!畜生!次はぜって~俺が全部仕留めてやる!」
そうだ。そうなんだよ。一人一殺とかなし。高見の見物とか似合わない。俺が全部仕留めるつもりでガツガツやってやる。
◇◇◇◇
「親方!ドギツイの頼むぜ!」
「ねた切れだって言ったろうが」
「そこを何とかしてくれ!」
「技師の俺が言うのもなんだが、武器に頼りすぎじゃねえか?」
なんだと!俺が武器に頼りすぎだって!
... ...確かにそうかもしれねぇ。俺としたことが、何を寝惚けてやがる。
「親方、今のなしだ。俺の体で何とかしてやる!」
「売女だな。ケツ貸すのか?」
「ちげーよ!俺のスピードとか技で何とかするって意味だよ」
「知ってんぞ。熱くなりすぎだろ。まぁ、てめぇには似合ってんな、その熱さ。あちーから近寄んなよ」
こうなりゃ特訓だ!秘密特訓だ!一人で特訓だ!いつも一人だけどな!やってやんよ!
◇◇◇◇
トレーニングセンターにて、俺は6対6の戦闘訓練に明け暮れる予定だ。俺のチームは、俺以外の5人を仮想メンバで設定した。細剣・丸盾のリナ、双銃のアリサ、小太刀のサスケ、スナイパーライフルのドラグ、刀のマンダ。性能面は適当だ。相手は完全ランダム。全てをシステムに任せた。
フィールドもランダム。どんとこい!
最初のフィールドは、森か。
開始のブザーとともに走り出す。
他の5人に先行して森に入ると、俺の勘を研ぎ澄ます。
どこだ~~~!
出てこい~~~!
居た!
まず発見したのはライフルを構えたヤツ。だが、それ以外にも気配を感じる気がする。
気配を探りながらも、ライフル持ちとの距離を詰める。
相手にも気付かれたようだ。
遠距離から射撃してくるが、遮蔽物が多い森では避けるのは簡単だ。
らぁ!
一気に距離を詰め、右の旋棒を叩き込む。
ライフルで弾かれたが、続けて繰り出した左の旋棒の一撃は入った。
左右の旋棒で滅多打ちにし、鉈の部分で首を掻き斬ろうとしたところで銃弾が飛んでくる。
えっ?
思わず振り向くと偽ドラグが親指を立てている。
偽者の癖に、ムカつく~!
次だ、次!
既に気配を捉えていた二人組が居るからな。俺はダッシュで、二人組に向かう。
と、そこには既に偽リナ、偽アリサが。しかも、相手を圧倒し、相手はもう虫の息。
あっ!殺られた!お前ら!もっと根性見せろよ!
俺の獲物がどんどん味方に狩られていく。
残り三人。どこにいやがる!
森を駆け回り、やっと発見した、全身鎧大楯の三人組。相対しているのは、偽サスケと偽マンダ。
お前ら二人には負けねぇ!
横から割り込み、側頭部に掌底を打ち込む。ふらついたヤツを蹴り飛ばし、倒す。
おらっ!
倒れたヤツの首を刈ろうとしたところで... ...
偽サスケに留目を奪われた。
おい~~~~~~!
ふと気付くと偽マンダが一人を倒している。
あと一人は俺が!
そこで銃声。
振り向けば偽ドラグ。
前を向くと残りの一人の生命力がどんどん減少していく。
せめて留目は...
サスケに奪われた。
えっと、何のトレーニングだっけ?うちのチームの設定が強すぎたのか、相手が弱すぎたのか... ...
気を取り直して!
...
...
...
その後、一日何回も戦闘を繰り返し、何日も籠った。が、結局、6人全員は狩れなかった。最高でも5人。偽ドラグが邪魔過ぎる。
元々、威力の高いスナイパーライフルを使っているので、相手が他に気をとられると狩られる。あともう少しってところで留目を刺される。
そうか。逆にドラグを何とかすれば、いけそうだな。
◇◇◇◇
「と言う訳で、獲物の横取り禁止な」
「おい、キング。どう言う訳だ?話が見えねぇ」
直ぐにドラグが突っ込んでくる。想定通りだよ、それ。
「俺が先に手を付けた相手には手を出すな」
「キングが殺られそうでもか?」
そう来たか。
「殺られる訳ねぇし」
「へぇ~。何回かぎりぎりだった覚えがあるが?」
「う、うるせぇ。じゃあ、あれだ。危なくなったらサインを出す。サインが出たら手を出してもいいぜ」
「ほぅ~。だいぶ上から目線だな。それは飲めねぇな。俺は、殺れるときに確実にやる」
くっそ!
「ハイエナか、おめぇ!」
「ハイエナ?いい誉め言葉だな」
くっそ~!
「じゃあ、好きにしやがれ!俺の獲物はぜって~渡さねえ!」
「弱い犬ほどよく吠えるってやつか?まぁ、頑張ってくれよ、キング」
「開始!」
くっそ、くっそ!口ではドラグには勝てねぇ!だが、俺はやってやるぜ!
「うおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおお!うおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおお!うおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおお!」
吠えまくる。吠えまくってやる!
弱い犬だと!目に焼き付けやがれ!俺は強い犬だ!いや、犬じゃねーな。狼か?いや、獅子の方がかっけぇかな。
っんなことは、どーでもいいー!頑張れ、俺!
凄まじい速度で山道を駆け下りる。このスピードについてこれるヤツはいねーはずだ!
「うおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおお!」
ヤバい!ヤバいぜ、この速度。絶叫マシンなんて目じゃねぇ!
ちょ~こえ~~!
転びそうになるのを何とかして堪え、草原に降り立つ。
直ぐに相手側から銃弾が飛んでくるが、勘を頼りに避けまくる。
おい!
銃弾が多すぎるぞ!これは、少なくも四人はライフル持ちが居るとみた!
「うおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおお!」
何とか銃弾の雨を避けきり、相手側の山岳に辿り着き、岩に身を隠す。
振り替えれば、この銃弾の雨で足留めを食らっている仲間達。普段ならばこっち側に来てほしいところだが、今回はこの方が都合がいいぜ。
岩を遮蔽物として利用し、山道を駆け上る。
散ったな。
気配を辿ると、ライフル持ちは四散していた。
二人は頂上に近い場所から草原の向こうのリナ達を狙ってる。
残りの二人は... ...場所が掴めないな。
勘を研ぎ澄まし、気配を探る。
う~ん... ...なんとなくの方角しか分からねぇな。
このまま頂上目指せば、四方から蜂の巣にされるかも。
ライフル持ち以外の二人も早く探さなければ。
岩を盾に移動しながら索敵する。
既に気配を捉えている二人は隠す気がないらしい。囮かもしれないな。
残りの四人は、少しずつ気配が濃厚になってくる。
こっちの方に二人。あっちの方に二人。
どこに向かおうが2対1は免れないらしいな。どんとこい!バッチコ~イ!
うぉぉぉ、燃えてきた!熱くなれ!心も体も熱くなれ!
「うおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおお!」
俺は最高速で突き進む。真っ直ぐに頂上を目指して。
◇◇◇◇




