第二二話
◇◇◇◇
「よお。批判きたな」
「まぁな。だが、運営が不正はしてないって発表したんだし、そのうちおさまるんじゃねえ?」
「あんなんで不正とかなるわけねぇしな」
あの試合が中継され、視聴者からの問い合わせが殺到したそうだ。だが、事前に運営のチェックも受けてる訳だし、不正じゃあねえから、心配はしてねぇ。
「親方、他にもエグいの頼むぜ!」
「ねた切れだ。当分、それで我慢しやがれ」
まぁ、仕方ねぇ。あれで当分もたせるか。親方に作って貰ったアレ、使い勝手が悪いが、効果は抜群だったな。やられた方も何が起きたか分からねぇだろう。研究されれば種がバレる可能性があるが、研究するほど暇なヤツなんていねぇだろうし。当分はいけんだろ。
アレの条件は、相手の側頭部、要は耳の周辺に当てること。極端に範囲が短いから、相手の懐に潜り込む必要がある。
鈍器の先っちょにでも付けてくれりゃ良いのにと思ったが、鈍器だと、なかなか正確に側頭部に当てられねぇ。まぁ、掌で相手の側頭部を触ることもかなり難しいから、どっちもどっちかもしれねぇが。
効果は、相手の三半規管を破壊すること。まぁ、時間が短すぎて破壊までは出来てねぇと思うが。理論は分からねぇけど、掌から5cm程度の範囲で三半規管を破壊するほどの超音波を発するんだと。相手の生命力は削れねぇが、効果覿面だな。
種を明かせば、なんてことはねぇ。バレれば対処されるだろう。だが、やられた方もその場では何が起きたか分からねぇからな。
ただ、得たいの知れない攻撃に相手が警戒すればそれでいい。
それだけで十分だ。
◇◇◇◇
「今日はみんなに課題だ」
みんな珍しいモノでも見ているようだ。
「一人一殺」
反応がない。
「簡単だろ?出来るよな?」
「オーケイ、やってやるわ」
「私はキングのタマ刈り取るから」
「俺は毎回そのつもりだ」
「俺も」
「拙者、厳しいでござるが、何とかするでござる」
先週、リーダーの心得って本を読んだんだ。リーダーたる者、チームのモチベーションを向上させねばならない。と言う訳で、課題を出してみた。皆が達成出来たらパーティーだ。特にマンダは頑張ってくれよな。
「それじゃ、行こうか」
俺の合図とともに審判から開始の宣言があった。
皆、いつも通りに飛び出す。先頭はリナ、アリサ。次いでサスケ、マンダ。後方からドラグ。
俺は最後尾から皆を見守る。
今日の相手は現在最下位を爆走中のチームらしいから、高見の見物ってヤツだ。
リナ、アリサが背の高い建物に登り、周囲を確認している。サスケ、マンダは道を挟んだ反対側の建物の陰で、周囲を警戒する。ドラグは物陰でスナイパーライフルを構える。
リナが敵影を発見し、進路を示す。アリサが先頭に立ち、サスケ、マンダが追随する。周囲を警戒しながらドラグが追う。
あれ?なんだかチームっぽい。こいつら、いつの間にそんな連携を?
まさか?!
個人プレイに没頭してたのって俺だけ?
いやいやいや... ...まじで?
銃声が響く。
遠距離からのドラグの狙撃だ。
相手からも応戦の銃弾が飛んでくる。
ドラグが援護して、その隙にリナ、アリサが接近。サスケ、マンダは左右に別れて建物の上から距離を詰める。
敵と相対したリナ、アリサが戦闘に入る。相手は軽装備の二人。
こうして見ると、個人の能力はリナが一歩抜けてるな。アリサもいい線いってるが。
建物の上でも戦闘が始まったらしい。
サスケの相手は... ...NINJAだ。忍者対NINJA!負けるな日本の忍者!
マンダの相手は双剣使いか。おっ!なかなか強そうだ。
ドラグは後方から狙ってるね。皆の状況を見て、マンダの援護か。いい判断だ。
ドラグは双剣使いを仕留める気はなさそうだ。頻りに足を狙ってる。何発か当たってるな。動きの悪くなった相手にマンダが留目を刺す。いい連携じゃないか。
あっ!マンダが殺られた。
相手の狙撃手に殺られたらしい。油断禁物だね。マンダ。
サスケは押してるし、リナ、アリサも既に一人倒してる。ドラグは相手の狙撃手との撃ち合いか。
おっ!アリサが相手を倒した!やるな!
残りは... ...サスケの相手と狙撃手か。
リナ、アリサが物陰に隠れながら、じりじりと狙撃手を包囲しているな。
おっ!ドラグがサスケの相手を仕留めた。サスケ、一人一殺頑張れよ。
サスケが慌てて残りの狙撃手に向かう。
ドラグが狙撃手を牽制し、リナ、アリサが挟む。
あの狙撃手はもう終わりだな。
あれ?
キング居なくね?
っ!
加速を爆発させ、横に飛び退いた。
だが、一瞬遅れたようだ。
左肩に衝撃が走った。
転がりながら受身を取り、振り返ると... ...
こいつは... ...
KABUKI?石川五衛門?
いいね。いいよ、それ。雰囲気がいいぜ。そんなド派手な格好で敵の背後をつくとか、スキルが無駄に高いぜ!
そこら辺に沢山落ちてるそれは... ...銭か!
銭を投擲ですか!
ホント、いいぜ、お前!
「うおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおお!」
咆哮とともに突撃!
相手は日本刀を抜刀せず、柄に手を掛けたまま待ち構えている。
まさか、居合い抜きですか!
五衛門の射程に入る直前、更に加速し、前蹴りを放つ。
狙いは五衛門の右腕。
抜刀した五衛門の腕と俺の足の裏が衝突。
瞬間、俺は飛び上がり、顔面に膝蹴りを放つが、五衛門は仰け反りながら避け、何かを投げてくる。
瞬時に避けようとするが、目の前で爆発!
もくもくと煙が出てきて辺りを覆う。
煙幕!
なんだかテンションが鰻のぼりです!
「うおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおお!」
無駄にテンションを上げ、煙幕に飛び込む。
勘に頼って、思いっきり上段後ろ回し蹴りを放つ。
硬い感触!
当たったの?
って、五衛門、煙幕に巻かれて動けなかったとか?
煙幕が晴れてきて、倒れているモノを見ると... ...
へのへのもへじと書かれた顔の木の塊。これは... ...
変わり身の術!
本体はどこだ!
周りを探すと、建物の上にいました!腕を組んで見下ろす様は、威風堂々!
あれ?
口から血が流れてますぜ。
まさか?!
変わり身の術失敗?俺の蹴りを受けたの本体?それでも成功してるっぽく装うの?
あっぱれ。お見逸れしました。
たまらんぜ!
五衛門が片手を前に。掌を上に向け、くいっくいっと俺を呼ぶ。
屋根の上で戦えということですね!
よし、待ってろ!今、俺も屋根に上るぜ!
近くの建物の壁を蹴り、屋根に上る。
「終~~~~~~~了~~~~~~~~!」
「えっ?えっ?」
◇◇◇◇




