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第二〇話

 ◇◇◇◇




「キング、その見た目は狙ってるのか?」

「何がだ?特に変わった感じじゃねぇけど」




 普段使用している革鎧を黒いものにモデルチェンジしただけだ。




「いや、その籠手つーか、手つーか、何それ?」

「あぁ、これ?」




 親方に造って貰った最新武具。武器ってゆーか、防具に近い。




「ひ・み・つ!」

「... ...今日のキング苛つくな。誤射するかも」




 ドラグの目に殺気を感じる。やめてね。その重そうなライフルで撃たれたら頭吹っ飛ぶから。




「今日こそ私がキングのタマを抉るわ」

「お、おう。任せるぜ」




 リナはより一層、目が据わっている。キングって相手のだよね?細剣がどんどん細くなってる気がするな。あれならフェイスガードの隙間を縫えそうだ。




「あんた、今日はより一層、厨二病っぽいわね」

「アリサこそ、悪役(ヒール)っぽさが板についてるぜ。ほら、その顔!」




 アリサは、よりゴツい拳銃にチェンジしたらしく、スピードを犠牲に腕力にカスタマイズポイントを振ったらしい。至近距離からの銃弾か。どんくらい威力が上がったのか気になるな。




「俺、今日こそはキングの首刈れる気がする」

「じゃあ、リナと勝負だな」




 サスケは見た目はいつも通りだ。若干忍者を意識した感じ。何だかんだで直ぐやられるからな。リナの勝ちだろう。




「拙者、今日は最後まで生き残るでござるよ」

「おう、一人ぐらいは狩ってくれよ」




 今日のマンダは、なんか潔いな。目標低すぎるけど。







「それでは... ...開始!」




 開始の合図とともに散っていく仲間たち。


 今回のフィールドは、山岳・草原フィールド。開始とともに狙撃される可能性があるので、皆、最初から相手の死角に入っていた。


 リナとアリサが先頭切って山道を駆けおりる。その後をサスケとマンダ。ドラグの姿はもう見えない。何処かに潜んだのだろう。



 俺は山道を下らず、頂上に立ち、相手に姿を晒す。




「うおおおおおおおおおおぉぉぉぉおおおおおおおおおおおあおおおおお!」




 俺はここだ。攻めてこい!


 直後、サイドにステップすると、銃声とほぼ同時に岩が弾け跳んだ。やはり、狙撃手は一人はいるようだ。


 よし。


 気合いを入れ、目を瞑り、その場に座る。座して待つってヤツだ。決して動くのが面倒な訳ではない。



 ...


 ...


 ...



 はっ!


 いかん!眠い!このままではいかん!まさかうたた寝してて殺られましたなんてことになったら、リアルの体が殺されかねない。リナとか、アリサとか、ドラグとかに。



 いちにーさんしー、ごーろくしちはち。はぁ。軽く準備運動しても眠気が飛ばない。


 よし!やるか。




「うおおおおおおおおおおぉぉぉぉおおおおおおおおおおおあおおおおお!」




 うん。いい感じ。もういっちょ。




「うおおおおおおおおおおぉぉぉぉおおおおおおおおおおおあおおおおお!」




 早く来い。待ち遠しい。恋い焦がれる乙女のように!


 ふぅ... ...




「早くこーーーーーーーーい!」




 くそっ!待ってる方が面倒くせぇなんてな。こっちから行くか!


 何のために待ってたのかすら忘れ、一気に山道を下る。景色が後方に飛んでいく。あれっ?


 ちょっと気になるものが、一瞬だけ目に入った。走っている勢いを止められず、かなり下ってから漸く止まり、後ろを振り返る。



 居た。


 革鎧にライフル。相手の暗殺者だろう。ライフルを構えたまま、凄い勢いで駆け下りてくる。なかなか止まれないようだ。


 俺が止まって振り返っているのを見て、慌てて止まろうとしているように見える。


 俺は恋い焦がれた恋人に逢う様に、満面の笑顔で暗殺者に駆け寄る。相手も凄い速度で俺に駆け寄る。


 ダーリン!って、俺が女役かよ!



 衝突の直前、相手は崩れた体勢のまま、ライフルを構え、発砲してきた。


 俺は跳び上がり、ライフルの銃口の先から逃れる。


 中空で体を捻り、相手の頭上を越え、背後に降り立つ。


 相手も身を捩り、向きを変えるが... ...


 下ってきた勢いが殺せず、凄い速度で転がり落ちていく。



 ダ~リン~まって~!



 俺が駆け下りる速度よりも速いって凄いと思うよ。表示されてる生命力(HP)が凄い勢いて減っていくし。


 一際デカイ岩にぶつかって漸く止まった暗殺者。血みどろ。閲覧注意って感じの顔で呻いている。このまま放って置いたら誰に撃破ポイントが付くんだ?


 まぁ、楽して1ポイント貰えるなら貰っておこう。


 近付いて、鉈を首に当て、一気に引き斬った。



 よし!次だ。



 今度は注意深く下りることにした。いつでも止まれる様にスピードは抑え気味に。


 草原が近付くと銃撃の音が聞こえてきた。


 近くのデカイ岩に登り見下ろしてみると、うちのチームが全員勢揃いしている。


 草原手前の岩に隠れたり、飛び出そうとして戻ったり。


 唯一応戦しているのはドラグだけ。


 相手は見え隠れしているが、向こうの草原の端の岩から狙撃しているようだ。


 こちからかあちらまで三〇〇メートル程度だろう。草原を挟んで撃ち合っている。


 これは膠着状態だ。さっきの自滅野郎はよく抜けてきたな。膠着状態に入る前だったのかな?



 ん?ちょっと待てよ。相手の狙撃手って何人だ?さっきから同じ様なヤツしか見えないが。もしかして一人?


 うちのチームってお馬鹿?固まってるから突破出来ないんじゃないの?


 相手のチームって、既に結構突破してたりして。


 草原の端の方から回れば行けそうじゃね?


 遠くに目を凝らすと、ほら、居るじゃん。だよね。何も最短距離が一番早い訳じゃないもんね。


 と思ってたら、飛び出したよ。サスケが。リナ、アリサ、マンダが続く。


 その作戦もあるね。誰かがうまく引き付ければ残りは無事に突破出来そうだ。


 サスケも上手く走っている。狙いを絞らせないように緩急つけて、左右にフェイクも入れて、うまい!


 あっ!着弾したっぽい。でも、まだ走ってる。頑張れサスケ!


 あーー、殺られたか。でも、リナ、アリサは抜けたな。マンダも抜けそうだ。


 ドラグが上手いこと援護してるから大丈夫そうだな。



 と言うことは、相手は五人でこっちも五人かな。ドラグと相手の狙撃手が膠着状態で、向こうの岩山に辿り着いた味方が三人。恐らく、向こうにキングが居るのだろう。ってことは、相手チームの残りの三人は、此方側に辿り着いている可能性が高いだろう。




「うおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおお!」




 思いっきり吠えてやった。こそこそ隠れてねぇで、出てこいや!


 あっぶね!


 向こうの岩影から狙撃されたよ。顔の横を弾丸が通り過ぎたよ!調子乗りすぎた!あぶねぇ~。


 直ぐに岩を降りて、狙撃手から死角になる位置に移動する。他の三人は、何処に居やがるんだ?


 聴覚、触覚に神経を集中させる。


 微かに足音が聞こえる。


 微かに空気の流れを感じる。


 左から二人。右から一人が近寄ってくる。ゆっくりと慎重に距離を詰めるらしいな。


 俺は全力でダッシュする。左手の二人に向かって。



 ◇◇◇◇

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