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第一九話

 ◇◇◇◇




 俺は建物の陰に身を潜め、辺りの様子を窺っている。


 と、俺の隠れている建物の壁が音と火花を散らして弾ける。まぁ、爆発だ。


 ちっ!もう見つかったのかよ。


 壁の割れ目から首だけ出して確認すると、向こうの建物の屋根の上に一人発見した。弓を構え、矢をつがえ、射る前に、全力で後退した。


 直後、小さい爆発が起きる。


 狭い路地を走り抜け壁を蹴り建物を登り、屋根にあがり、息を潜める。



 俺はこの試合、予告通りに一人で突撃した。だが、誰一人発見出来ず、気づけば蜂の巣になりかけ、全力で逃げた。


 相手の姿はチラッとしか確認してない。


 だが、多分、向こうは四人以上が弓矢を使ってる。


 しかも鏃に爆薬を仕込んでやがる。爆発の威力を見ると、一射に使用している爆薬は小量だろう。大楯なら、防ぐことが出来そうだ。


 貫通力はスナイパーライフルに劣るだろう。飛距離も全然違う。命中精度もライフルの方が上だろう。


 では、何故、弓矢なのか。


 スナイパーライフルよりも圧倒的に優れていることがある。


 音だ。


 銃の場合、消音装置を使ってもある程度の音は出てしまう。


 弓矢でも実際は音が出ているのだろうが、銃に比べれば圧倒的に小さく、狙われた側からすると、音が聞こえず、相手の居場所が掴めない。


 この弓矢持ちは、多分、「無影無踪」を持っているのだろう。


 暗殺者だ。


 で、気づけば、俺の仲間たちは一人、二人と倒されていった。確認出来ただけで二人。マンダとサスケが殺られた。


 リナ、アリサ、ドラグの三人の姿は見ていない。


 だが、耳を澄ましても他では戦闘音が聞こえない。


 まさか、皆ヤられた?まさかねぇ~... ...



 俺は屋根に腹這いになり、周りを観察する。相手よりも早く見つけなければ、また、逃走を強いられる。逃げるのは癪だ。


 居た。



 遠くの建物の屋根に一人。


 相手に気付かれないように屋根伝いに近付くのは難しいだろう。



 どうする。


 考えてもいい案は浮かばねぇ。あんまり考えてねぇけど。


 まぁ、行くしかねぇよな。逃げるのは飽きた。隠れるのも飽きた。


 行くか。



 立ち上がり、屋根の上を飛ぶように移動する、


 相手に気付かれ、矢を射られるが、この距離なら回避可能。


 あと数メートルというところで、背中に違和感が... ...考えるよりも早く跳ぶ。直後、風切り音とともに矢が通り過ぎる。


 だが、跳んだところに更に矢が。


 旋棒(トンファー)を回転させ、矢を弾く。


 着地と同時にまた跳ぶ。


 足場が爆発した。


 あともう少し。




「らぁ!」




 目の前の弓矢持ちに組み付き、屋根の上を転がる。


 転がりながら、相手の首筋に鉈を着け、撫でる。


 相手の頭上の生命力(HP)が急激に減少を続けるが... ...両腕を掴まれたまま、屋根から落下した。


 受け身を取れずに地面に衝突した。


 うまく肺が機能しない。横隔膜が、言うことを聞かず、息が吸えない。


 苦しい。


 と、嫌な感じがした。


 頭、背中。


 無理矢理、体を動かし、その場から離れるが、一瞬遅かった。足に矢が当たり、弾ける。


 呻く間もなく、次々に矢が着弾する。


 体の至るところが弾き飛ばされる。


 気が付けばゲームオーバー。


 完敗だな。




 ◇◇◇◇




「完敗だったな」




 俺はチームの皆を見る。




「戦略負けだよな」

「個人の能力を活かせなかったわ」

「キングも強かったわ」




 ドラグ、アリサ、リナである。


 ドラグは、終了まで生き延びていたらしく、一人だけ撃破したそうだ。アリサは、俺が殺られる直前に殺られたそうだ。唯一、リナだけが相手のキングに辿り着いたらしいが、そこも多勢に無勢で、殺られたらしい。



 結果は、


 〇コハク()、撃破数1、合計1ポイント獲得


 〇リナ、撃破数0、ポイント獲得なし


 〇アリサ、撃破数0、ポイント獲得なし


 〇サスケ、撃破数0、ポイント獲得なし


 〇ドラグ、撃破数1、合計1ポイント獲得


 〇マンダ、撃破数0、ポイント獲得なし




 まぁ、見事にヤられた。


 各チームとも色々と考えてきている。キングを守り固めて、攻めは狙撃と軽装備のスピードタイプってのがスタンダードだったが、攻めの数を多くしたり狙撃を多めにしたり、ライフルではなく弓矢にしたり。特殊能力も色々と試行錯誤して、組合せを考えたり... ...


 そろそろ個人の能力に頼った戦いは、無理かもな。うちのチーム、元々個人の能力が突出している訳でもねーしな。




「なぁ。俺らそろそろチームプレーとか戦術とか考えてみる?」

「へぇ。悪役(ヒール)のクセにひよるんだ?」

悪役(ヒール)のキングがらしくねーな」




 アリサ、ドラグである。お前ら... ...顔が悪役(ヒール)になりきってるぜ。でも、悪くねぇなぁ。




「取消しだ。お前ら最近やられ過ぎじゃねえか?もっとシャンとしろよ。初心に帰って、相手を恐怖で染めようじやねーか」

「いいね」

「いいわね」

「おう」

「いいな」

「いいでござるな」

「おめぇら、直ぐに負けんじゃねえぞ?」




 くくくっ... ...おもしれぇ。お前らおもしれぇよ。やってやろうじゃねぇか。すげぇの見せてやろうぜ!




 ◇◇◇◇




「って訳だ」

「おう。てめぇらしいじゃねーか。前回は糞だったからな」

「でだ。どぎつい武器を頼みてぇ。勿論、規定内でだ。なんかねーか?」

「てめぇの筋力で使える武器なんて高が知れてるからな」




 そんなことは百も承知してんだって。




「爆薬仕込みブーツは改良してくれ。もっと爆薬少なくして俺の足が損傷しないヤツな。そんな感じで、何かねーか?」

「また不正とか言われるぜ?」

「あんのか?」

「まぁな。てめぇしか使えねぇだろうな」

「それだ。それで度胆を抜いてやろうぜ」




 次の日、俺はトレーニングセンターで新しい武器を試すこととした。


 先ずは森のフィールドで1対1から始める。相手はランダムだ。何が出てくるかシステムに任せた。考えるの面倒くせぇからな。



 早速、森の中で勘を研ぎ澄ます。



 この勘ってヤツは、最初、第六感的なナニかだと思っていた。だが、最近じゃ、何となく違っていたことが分かってきた。


 例えば触覚。これはモノに触れることだけじゃねえ。肌で感じとるのは、僅かな空気の流れだったり、温度の違いだったり。


 例えば聴覚。これも聞こえる音が全てじゃねぇ。聞こえない音だって鼓膜を振るわせるんだ。僅かな音の振動が鼓膜を振るわせれば、分かることだってある。


 臭いや味だってもっともっと戦いに利用出来るのかも知れねぇ。


 視覚だって、何か違うことを感じ取れる可能性だってあるんじゃねぇかな。


 この「勘」ってヤツは人間の本来持っている能力を開花させる切っ掛けのように思っている。極めれば、遠く離れた相手の動作が相手が手に取る様に分かるんじゃねぁかな。


 で、その「勘」に引っ掛かった。まだ、何となく、違和感程度にしか分からねぇが、今はそれで十分だと思う。


 注視すれば、木々の間を隠れる様に動く影。勘を便りに相手に気付かれないようなルートを選択し、距離を詰める。



 ほぅら。もう手を伸ばせば触れられるぜ。



 そして、俺は手を伸ばし... ...破壊した。




 ◇◇◇◇

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