第一七話
◇◇◇◇
「勝利を祝して、乾ぱ~い!」
「「「「「乾ぱ~い!」」」」」
何故かムカつく相手の王様ことパーンを倒したのだ。祝わずにはいられなかった。今回、最終的に生き残っていたのは、俺、リナ、ドラグ、アリサの四人だった。残りの二人は、相手のキングの守護者とやりあって、やられたそうだ。
サスケ、マンダは前回に引き続き、生き残ることが出来なかったことを悔やんでいた。
結果は、
〇コハク、撃破数0、合計5ポイント獲得
〇リナ、撃破数2(キング撃破)、合計11ポイント獲得
〇アリサ、撃破数2、合計7ポイント獲得
〇サスケ、撃破数1、合計6ポイント獲得
〇ドラグ、撃破数1、合計6ポイント獲得
〇マンダ、撃破数0、合計5ポイント獲得
相手の狙撃手にマンダが殺られ、そいつをサスケが撃破。サスケは撃破直後にもう一人の狙撃手に殺られ、そいつをドラグが撃破。
その後、俺が王様と殺りあっている間にリナが鎧一人を撃破。アリサが鎧二人を撃破。直後、リナが王様を撃破。という流れらしい。
「まぁ、なにはともあれ、勝ったから良かったんじゃねーの?」
「キング、今度こそ、囮になってくんね?」
ドラグである。
「いや、今回囮になったし!」
「俺は見てたよ。山道を登るとき、四人を囮にして、キング、裏から回り込んだでしょ?」
ドラグである。
「いや、あれはヤツらが正面を厚くしてるの分かったから」
「へぇ~~、私、教えて貰ってないけど?」
アリサである。随分と怖い顔をしている。
「お前、お先!って、通り過ぎたろ?言う暇が」
「後から抜かした拙者のことは呼び止められたと思うでござるな」
マンダすらも、若干怖い顔になってる。
「一瞬だけ呼び止めようと思ったけど、まぁ、いいかって」
「自分だけ背後からキングに接近っすか。へぇ」
サスケだ。
「お前ら!俺が卑怯みたいじゃないか!よし、次は俺が先陣切って突撃してやる!それで文句ないな?」
「よろしく~~」
なんか、このやり取り、親方とのやり取りを思い出すな。
「次も私がキングのタマ取るわ。うふふ」
おぅ。リナだけ上機嫌だ。リナの言うタマとはメダマのことだろう。恐ろしい。
◇◇◇◇
「よお。勝ったな」
「ああ」
「どうした?浮かない顔してんな」
「なんかよぉ。俺って乗せられ易いのかと思ってよ」
「なんだそんなことかよ。随分と今更だな」
まぁ、何となく分かってたけどよお。なんだかな~。
「次はどうなんだ?」
「もうその手には乗らねぇぞ。賭けたければ勝手にしてくれ」
乗せられるもんか、と意識してればなんとかなる。熱くなるな。冷静でいろ。
「そう言えば、次の対戦相手は、個人戦で唯一負けた相手らしいな?」
「へぇ。そーなんだ」
「やっぱ、ヤツには勝てねぇか?」
「いや、俺が勝つだろ」
「てめぇ、個人戦で全く敵わなかったじゃねえかよ」
「そうか?そんなことねぇよ。きっと」
「ちっ!詰まんねえな。いつもみてーにギャーギャー吠えろよ」
俺はもう吠えない。ガキじゃねぇんだ。ギャーギャー吠えるかってんだ。
「そんなことより、なんか面白そうな特殊能力知らねぇか?」
「あぁ?面白そうな特殊能力?知らねぇな」
没収試合となった一戦も含めてこれまで三戦。「気配察知」「危険感知」「飛耳長目」。どれも有用だと感じたが、これだ!って感じじゃねぇんだよな。
アリサ、サスケ、ドラグが使ってる「無影無踪」も面白そうな感じもするが、パッと来ねぇ。
前に調べた面白そうな特殊能力は...
明鏡止水・常に落ち着いた心の状態となり、思考が冴える
意気衝天・気持ちが昂り、筋力、感覚を強化する(冷静に思考出来なくなる)
威風堂々・堂々としていれば相手に威圧感を与える
親方と会うときは「明鏡止水」がいいな。俺に合ってるのは「意気衝天」かな。いつも通りな感じだ。「威風堂々」はカッコいい。使えるのか微妙な気もするが... ...
「そう言えば、一つあったな」
「親方!それだ!」
「まだ何も言ってねぇが... ...」
「早く言ってくれ!」
聞いていないが何となくそれな気がする。
「確か「勘」だったな」
「はっ?勘?熟語じゃねぇ~の?」
「知るかっ!」
「まぁいいや。で、どんな能力なの?」
「まんまだろ。勘が冴えるんじゃねぇか?」
なんか語呂がわりぃな。直感とか感覚強化とか第六感とか鋭敏とか... ...なんかイマイチどれもパッと来ねぇな。
「てめぇ、どうせ考えてねぇだろ?ちょうどいいんじゃねぇか?」
「失礼な!俺だって考えて行動してるわ!あ~でも、いいかもな」
よし、決めた。
「親方!決めたぜ!「勘」をセットしてくれ。早速明日から試すから、今日中な!」
「けっ!人使いの荒いヤロウだ」
親方は言葉とは裏腹に嬉しそうだ。頼むぜ親方。
翌日から、トレーニングセンターに籠った。トレーニングセンターとは、鬼騎士専用の練習場。まぁ、そのままだ。人工知能を積んだランク別の練習用鬼騎士が相手をしてくれる。個人戦のような舞台形式のバトルフィールド以外にも森、山岳、市街地、洞窟、砂丘等のフィールドが用意されている。今後、チーム対抗戦でも洞窟や砂丘といったフィールドが追加されるのかもしれない。
俺は、1対対多の戦闘を想定する。
初めは1対2。フィールドは森。相手の鬼騎士の設定はランクCの標準型。バトルタイプは一人がスピードタイプで一人が防御タイプ。
色々と細かく設定出来るのだが、面倒くせぇから、かなり大雑把。そんな俺みたいなヤツにも対応してくれる。大まかなタイプを選んだら、ランダムで細かい設定をしてくれる機能なんかもあったりする。
このトレーニングセンターは、騎士同士でも利用出来る。人工知能に比べて多彩な動き、柔軟な動きをする騎士相手の方がより実戦的なんだが... ...
俺はいつも一人で来ている。誘う知り合いがいない。
リナとアリサは公私で仲がいいらしく、良く二人で利用して連携を高めてるんだって。確か、ランクCに上がった時期も同じだし、鬼騎士養成学校も同期だった。俺も同期だったけどね。
切り替えよう。
今日から「勘」を鍛えるんだ。
一人で生きていくために。
悲しくなってくるな...
森の中は当然視界が悪い。「気配察知」が一番有効だろう。多くの者が「気配察知」を使っていることがそれを証明している。だが、「気配察知」の裏を取る「無影無踪」の存在が面白く引っ掻き回しているな。「無影無踪」持ちから突然の襲撃を受けないようにする為の「危険感知」。だが、決して先攻は取れない。「俯瞰視点」なら、「無影無踪」持ちも発見出来るが、森の様なフィールドではその効果を発揮できない。「飛耳長目」は中々面白い能力だが、森の中だとその能力を活かすのが難しい。
これだから面白い。どんな特殊能力でも万能ではない。誰かと組んで欠点を補い合うのも有効だろう。
むっ!左前方になにやら違和感が...
目を凝らして見ると、木々の間に動く影が...
一瞬で見失ったが、これが「勘」なんだろうか?「気配察知」の様に確実性がないが、気配は感じた。
むっ!右前方に違和感!
木々の間に動く影を発見。今度は見失わないように注意しろ。俺。
慎重に捉えた影を追い、距離を詰めていく。
あれは防御タイプだろう。大楯を持っている。
どうやって攻め落とすか考えていると後頭部に衝撃を受け、ブザーが鳴り響く。
終わった。
トレーニングセンターでの戦闘は、損傷を避けるため、一定以上の衝撃を受けると強制終了となる。
続けて利用は出来なくなる。トレーニングセンターの専属技師に鬼騎士をチェックしてもらい、NGが出ると自分のお抱え技師に鬼騎士を修復して貰ってからでないと、トレーニングセンターの利用は出来なくなる。
で、俺の防具は貧弱。無防備の後頭部に衝撃を食らい、頭部に重度の損傷を受けた。だから、今日は終わり。終わった。終わってしまった。これから親方の説教だよ。トレーニングもまた明日だし。
もう少しで「勘」の感覚が掴めそうだから明日からも通うことにする。また一人で...
◇◇◇◇




