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第一六話

 ◇◇◇◇




「野郎共!準備はいいか?」

「私、野郎じゃない」

「私も」


悪役(ヒール)ども、準備はいいか!」

「「おおー!」」




 若干二名しか乗ってくれない。サスケとマンダだ。




「いいか、今回も作戦はなしだ!ただし、宣言しておく... ...」




 もったいぶって、ちょっと溜めてみる。




「俺は最前線で相手のキングに仕掛ける!」

「「「おお~~!」」」




 俺の宣言に驚いてくれたのは三名。サスケ、マンダ、ドラグである。




「あんたにはキングの首は渡さない」

「アイツのタマは私が刈り取るわ」




 若干二名は、我こそはって感じだ。ちょっと表現が怖い人もいるけど。




「じゃあ、勝負だな。あのクソったれなキングを誰が狩るか!」

「望むところよ!」

「負けないわ!」

「拙者も参戦するでござる!」

「俺も」

「じゃあ、俺も」



「両チーム、自陣に戻って」




 今回のフィールドは山岳・草原タイプ。両チームとも自陣は、岩山の頂上。見通しが良いので、相手チームがよく見える。


 相手チームは、全身鎧と大楯タイプが四人もいる。意外だな。俺、リナ、アリサの三人が抜けたのを補ったメンバに、そっちのタイプが多かったのか。


 自陣の岩山から相手の岩山まで移動するには急勾配の山道を下って、草原地帯を抜け、急勾配の山道を登る。で、山道には大小様々な岩が転がっている。草原地帯は、背の低い草と疎らに小さな木が生えている。


 相手チームのスタイル的には、自陣から動き難いだろう。ってことは、俺らがあそこまで行かないと戦えない。面倒くさっ!




「それでは... ...開始!」




 開始の合図とともに銃声が響く。遠くで。




「キング!伏せて!」




 ドラグの叫びに、慌てて伏せる。直後、風切り音が通り過ぎた。




「ヤツら、鎧以外の二人はライフル持ちだ。このままだと狙い撃ちされるぜ!」

「んじゃ、さっさと移動する。じゃな」




 狙い撃つのを待ってやるほど、心は広くねぇ。さっさと奴等のとこまで移動すればいい。




「私たち、あんたと離れて移動するわ」

「俺も」

「拙者も」

「俺は此処からヤツらを狙い撃ってみるよ。じゃあな」




 ドラグは此処に残るらしい。相手のライフル持ちも頂上から狙って来るのだろう。山道は岩に隠れられるが、草原はキツいな。隠れるモノがない。まぁ、いいか。


 既に移動を開始しているリナ、アリサ、サスケ、マンダに置いていかれる。と言うか、置いていくつもりでヤツらは急いで下っている。待てって。


 俺も急いで山道を下るフリをする。


 すぐ近くの岩に身を潜める。今回取得した特殊能力を使うためだ。前回の「危険感知」も良かったんだが、新しいモノに目移りしてしまう。仕方ない。で、今回の特殊能力「飛耳長目(びじちょうもく)」。遠くの音を聞き、遠くのモノを見通す能力である。早速、奴等の集まっている場所に注意を向ける。




「王様、ヤツらは一人残して全員移動を始めましたよ」

「じゃあ、無理して山道では狙わなくていい。草原で必ず仕留めろ」




 え~~と、王様?キングってこと?思い出せないけど、リーダー(今のキング)って、スピードタイプだったと思うが、全身鎧にチェンジしたのか。あの青いふさふさした毛が兜から生えてるヤツがキングか。分かりやすいな。目立ちたがりやか?


 あっ!


 キングの頭が弾かれたようになり、転んだ。すぐ近くから銃声が聞こえたのでドラグの狙撃だろう。


 キングの頭上の生命力(HP)は... ...0ではないが、かなり削られたようだ。色が赤に近くなっている。


 もうちょっと楽しませてくれよな。


 キング達は慌てて近くの岩に隠れた。てめえらライフル持ってるんだから、此方も持ってるって考えなかったのかな?危なく終わるとこだったじゃん。




「キング!大丈夫ですか?」

「相手にもライフル持ちがいますから気を付けて下さい!」

「大丈夫じゃないから。言うの遅いよ... ...」




 ぶふぅっ... ... 超ウケるんですけど!リーダーって、そんなキャラだっけ?




「作戦変更。五人が草原に出てくるまで、相手のライフル持ちを徹底して狙うこと。出来れば仕留めるように!」

「「御意!」」




 御意っ!どこまでも王様ロールプレイかっ!


 やべっ!早くキング...王様に会いたくなってきた。全力で向かうから待っててね!



 俺は全力で坂を下る。今まで出したことのない速度がでる。景色が飛んでいく。超はえー。あっ!リナたちが見えてきた。




「お先!」

「あっ!抜かれた!」




 アリサかな。一生懸命追い掛けてくるけど、徒競走じゃないから、一位とかないよ?


 もうすぐ草原だ。此処からは直進は不味いよな。かといってジグザグ走行じゃ、スピードでないし... ...


 考えてもしょうがない。


 相手が此方を見えてるなら、俺からも... ...見えた。引き金に注目する。指が動き出した瞬間に合わせてサイドステップ。ほぅら、避けられた。




「王様!アイツ、此方の弾を全部回避してます!」

「慌てるな。偶然だろ?数撃てばその内当たるから。続けて」

「王様!アイツ、もう此方の岩山までたどり着きました!」

「えっ!じゃあ、後続のヤツらを狙うように。残りは前面を固めて。一匹も通さないように」




 岩で相手からの射線を遮るようにして、ダッシュで坂を駆け上がる?でも、ちょっと疲れたので休憩。岩影からヤツらの様子を探ってみよう。


 此方から真っ直ぐに登ると、三人の鎧大楯が待ち構えている。キン...王様は見えない。隠れてるのかな?ライフル持ちも見えない。移動したのか?


 音に注意を向けると、会話が聞こえてきた。




「いいか、ヤツらが来たらそこで足止めすること。で、ヤツらの死角から狙撃。狙撃班は今すぐ配置に付くように。俺は三人の壁を抜けたヤツを相手にするから」

「「「「「御意!」」」」」




 出た~~「御意!」、皆ノリノリじゃんか。




「お先!」「お先!」「お先!」




 アリサ、リナ、サスケが俺を追い抜いて山道を駆け上がっていく。振り返るとマンダもすぐそこに。




「お先でござる!」




 四人は真っ直ぐに登るようだ。ヤツらの作戦を伝える間もない。頑張って!俺は迂回して背後から近付くか。直接王様とヤリたいからな。


 ヤツらに見つからないように、大きく迂回する。幸い、大きな岩がごろごろしているので、見つからない。あっ、「気配察知」持ちがいたらアウトか。


 まぁ、いいか。ヤツら作戦ガッチガチだから、気付いても直ぐに動けないだろう。





 ふぅ。ちょっと時間が掛かったが、何とか背後に回り込めたかな。姿は見えないが、激しい戦闘の音が聞こえる。


 リナの細剣の音、アリサの拳銃の音は判別できるが... ...サスケの小太刀、マンダの刀の音が聞こえない。もしかして、あの二人、もう殺られた?相手は重そうな大楯の音、鎧の音、足音から... ...鎧の三人は無事のようだ。


 ライフルの音が聞こえないな。


 王様は、後ろからボソボソ応援してる。三対二だから、余裕があるようだ。お待たせしちゃったかな?


 そろそろと背後から王様に近付く。あれ?頭上の生命力(HP)が満タン近くまで回復してる?もしかして「自己修復」?




「うおおぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおお!」




 とりあえず、何の前触れもなく、突然、吠えてみた。


 皆、ビクッとしておれを振り返る。




「よう!王様、久し振り!特殊能力「自己修復」使ってんだ」

「き、貴様!」




 挨拶がてら、鋭い踏み込みから旋棒(トンファー)の先で突きを顎に入れる。




「ぐぇっ!」




 王様は、分厚そうな鎧と大楯に見た目が派手な片手剣を持ち、これまた派手な兜を被ってるんだけど、顔は出してるんだよね。なんで?


 再び、顔面に突きを入れる。




「ぐへっぇっ!」




 王様、元スピードタイプだったのに、反応遅いな。耐久特化か?


 王様がノロノロと片手剣を振り上げ、振り降ろす前に、もういっちよ突き。




「ふぶぅっ!」




 流石に耐久特化でも、顔に直撃すれば、腫れるらしい。顔が青黒く腫れてきた。




「王様」

「ぐぇっ!」


「アリサに」

「ほぶぅっ!」


「セクハラ」

「うごっ!」


「した」

「ふぶぅっ!」


「んだって?」

「んがっ!」




 一言ずつ、顔面に突きを入れてみた。




「リナには」

「げっっ!」


「なにか」

「んでっ!」


「した?」

「ごっ!」




 王様の言葉がいちいち面白い。なんだこれ?新手の漫才か?




「き、きさっふべっ!」




 こっちから問い掛けているが、答えを聞く気はないから喋らせないよ。それにしても、これだけ殴っても頭上の生命力(HP)が僅かしか減ってない。恐るべき耐久特化!




「ギャー!」




 俺の背後から鋭い突きが走った。


 細剣だ。


 注意して見てみれば、いつもより少し長く、先が細くなっている気がする。


 で、細剣の先っちょは、王様に突き刺さっている。みるみる生命力(HP)が減っていき、0となった。


 細剣の先っちょが貫いているのは、王様の目。


 目玉とか、タマを刈るとか、恐ろしい発言って、これだったんだね。


 俺、けっこう楽しかったんだけど、リナ、終わらせちゃったのね。




「あーん、やられた!私も叩きのめしたかったのに!」




 振り返ると、三人の鎧男(男か知らんが)が倒れていた。二人で倒しきったのか。凄いね。王様に対する執念が。




 ◇◇◇◇

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