第一五話
◇◇◇◇
「うおぉぉぉぉぉおおおおおおおおお!」
本日何回目となるか忘れた、と言うか数えてないが、俺は吠えた。思いっきり。
二人目を撃破後、草原に戻って仁王立ち。いくら待っても誰も来ない。何度か吠えたが誰も来ない。
俺は「気配察知」も「俯瞰視点」も持ってないから森の中をさまよって敵を探すのは下策だと思い、ひたすら待っているのだが誰も来ない。
さっき戻ったヤツは何をしているのだ。さっさと仲間を引き連れて戻って来い。早く来い。
寂しいじゃないか... ...
「試合終了~~~~~~~~~~!」
「えっ!えぇ~~~~~~~~~!」
終わっちゃったの?
◇◇◇◇
最終的に生き残っていたのは、俺、リナ、ドラグの三人だった。残りの三人は、相手のキング、キングの守護者とやりあって、やられたそうだ。
最後、相手のキングとリナがやりあってる最中に、ドラグが狙撃で仕留めたらしい。
結果は、
〇コハク、撃破数2、合計7ポイント獲得
〇リナ、撃破数0、合計5ポイント獲得
〇アリサ、撃破数1、合計6ポイント獲得
〇サスケ、撃破数1、合計6ポイント獲得
〇ドラグ、撃破数1(キング撃破)、合計10ポイント獲得
〇マンダ、撃破数1、合計6ポイント獲得
前線で一番頑張ったリナだけが撃破数0。へこんだそうだ。
「まぁ、なにはともあれ、勝ったから良かったんじゃねーの?」
「キング、今度、囮になってくんね?」
ドラグである。
「はっ?お前が囮になれよ」
「キングが最前線で戦えば、皆がキングに集中するから」
「良いわね!」
ドラグにアリサが乗った。俺がやられたら終わりって、知ってる?
「皆があんたに集中してる隙に狙撃するわ!」
「えっ!マジで言ってんの?」
「うん!こうなったら、私もライフルに転向ね!」
アリサがかなりやる気出してる。俺、囮になるの合意してないけど?
「私も撃破したい。どうすれば... ...」
リナが悩んでる。その内、私もライフル!とか言いそうだな。チーム全員ライフルとかあり得ないし。
「そう言えば、相手のキング、念話持ちかもしれないよ」
サスケだ。特殊能力「念話」は、同じく「念話」持ちと遠距離で会話が出来る能力だ。でも、どうして分かったんだ?
「相手のキングの背後に回り込んで、様子を窺ってた時、こそこそと宙に向かって話をしてた。その後、相手の仲間が一人戻ってきたら」
「そうか、俺んとこに来た二人組が一人戻ったよ。そのタイミングだったのか」
中々使えそうな気がするが、同じく「念話」を持ってる相手だけに限定されると、使いどころが難しいな。と言うか、使える気がしない。俺が誰と念話するの?誰か俺と話してくれるの?
「コハク殿は遠吠えの特殊能力を取ったのでござるか?」
ござる?マンダって、こんな話し方だったの!
「遠吠えって特殊能力あったの?私、見たことないけど」
「俺も見たことないな」
「俺もない」
アリサ、ドラグ、サスケは見たことがないらしい。俺も見たことないし。
「マンダ、遠吠えってどんな能力なんだ?」
「いや、拙者も知らないでござる。てっきりコハク殿なら知ってるかと... ...」
拙者?自分のこと、そんな風に呼ぶ人初めて見たよ。
「俺の遠吠え、能力でも何でもないし。単に思いっきり吠えてるだけだから」
「えっ!」
「えっ?」
「へっ!」
「えっ!」
マンダ、アリサ、サスケ、ドラグが驚いている。別に驚くことないだろうが。
「なんか、あんたの遠吠え聞くと胸が気持ち悪くなるのよね」
「俺は何だか焦らされるな」
「俺は集中が乱される」
「拙者は、何だか恐怖を感じるでござる」
「それだけ聞くと呪いが込められていそうな感じがするな」
ってことは、相手を少しはビビらせたのかな?
「能力じゃないならやめて欲しいわ。ホント気持ち悪くなるから」
そうか。敵だけじゃなく味方もだよね。
「だが、やめん!」
「なんでよ!」
「俺が気持ちいいから!」
「さいあく~~!」
何とでも言えばいい。俺はジユウダ。誰からも強要されん!
「じゃあ、遠吠えはしていいわ。その代わり矢面に立って敵を引き付けること。分かった!」
「はっ?やだよ」
「なんでよ!」
「気分が乗らないから!」
「超さいあく~~~~~!」
何とでも言え!... ...さっきからリナが大人しいな?
「リナ?どうした?」
「... ...」
どこか別の次元に旅立っているようだ。小声でブツブツと呟いている。
「リナ?」
「...よ... ...」
「え?」
「めんたま潰せばいいのよ、そうよ、そうだわ!... ...」
やばい。やばいよ、これ。
「よ、よし!今日は解散しよう!じゃ、また連絡するから!じゃあな!」
「お、おう、じゃあ!」
「じゃあ!」
「じゃ、じゃあね」
「さ、さらば」
皆、早足で部屋を出た。
◇◇◇◇
「おう。勝ったらしいな?」
「楽勝だったぜ」
「らしいな」
珍しく肯定的な親方だ。何かあったのか?
「親方、嬉しそうじゃね~か、なんかあったか?」
「おう。全財産賭けた賭けに勝ったからな」
「随分とでけぇ勝負したな?」
「おう。おめぇのチームに賭けた」
「そ、そうか。俺らのチームって前評判低くなかったか?」
前期の順位だけ見れば半分が49位以下だからな。弱く見られて当然だと思う。そんなチームに全財産って...あんたすげぇよ。
「てめぇ、始まる前に、俺に全財産賭けやがれって吠えたろうが」
そう言えば、そんな事もあったかも。なんか喧嘩っぽくなって、売り言葉に買い言葉的な感じだったが。そんなんで全財産賭けるか?
「そういや、次の対戦相手って、あいつらだろ?」
「あいつら?誰だ?」
「てめえが問題起こした最初の試合の元チーム」
あぁ。あのリーダーがキングに成り上がったくそったれチームか。そうか、次の対戦相手なんだな。
「どうだ?勝つ自信は」
「負ける訳がねぇな!」
「ほぅ。じゃ、また全財産賭けても大丈夫か?」
「あったりめぇ~よ!勝つに決まってんだからよ!」
「負けたらてめえ、責任取れよ?」
おっ思い出した!前回もこんなやり取りしたんだった。これって、俺が負けたら俺から金を巻き上げる気満々じゃねぇーかよ、おい!
「ちょっと待て、俺に賭けるか賭けないかは、自己責任だからな?」
「けっ!自信ねぇなら、そう言えよ」
「勝つに決まってんだろが!」
「責任取れよ?」
「おお!幾らでも賭けやがれってんだ!」
おいこら!てめえ乗せられすぎだろうが!俺!前回と全く同じ流れじゃねぇーか!少しは成長しやがれ!俺!
◇◇◇◇




