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第一四話

 ◇◇◇◇




「皆さまお待たせしました。これよりランクC、チーム対抗戦第二試合を始めます!」



「両チーム、自陣に戻って」




 今回のフィールドは森林・草原タイプ。現在、用意されているフィールドは、市街地タイプ、森林・草原タイプ、山岳・草原タイプの三種類。


 市街地タイプは、前回のチーム対抗戦で使用したフィールドだ。建物が視界を遮るが、幅の広い道もあるので、複数対複数の戦闘が可能なフィールドである。


 森林・草原タイプは、森林内に入れば、視界は悪く、木々が邪魔となり、複数対複数の戦闘が向いていない。


 山岳・草原タイプは、かなり視界が開けているため、不意討ちに向いていないが、重鎧を身に付けた者には移動が困難である。広い場所が多いため、複数対複数の戦闘に向いている。


 他にも色々とフィールドごとの特性があるのだろうが、森林・草原タイプは、俺らのチームにとっては都合が良いフィールドだってことだ。


 自チームの陣地はお互いに草原となっているので、開始早々に、森へ隠れるのが常套手段なのだろう。




「それでは... ...開始!」


「キング、俺らが相手のキングを倒すまでやられんなよ!」




 ドラグだ。他の者達も、俺に似たような言葉をかけ、次々に森へと入っていった。お前ら、俺がチーム内で一番つえーってこと知ってる?


 俺は自陣、草原のど真ん中で仁王立ちし、吠える。




「うおぉぉぉぉぉおおおおおおおおお!」




 フィールドに俺の遠吠えが木霊しているようだ。気持ちいい。んでもって、更に吠える。




「うおぉぉぉぉぉおおおおおおおおお!」




 俺はここだ。早く見つけやがれ!


 三度目の遠吠えをしようかと迷っていると、やっと待っていたものが引っ掛かった。


 危険感知である。


 森林の出口辺りから、木の陰に隠れてこっちを見ている。かなり早い到着だから、相手はスピードタイプなんだろうな。


 この感覚だと、あそこから狙撃される感じではない。様子を窺っているだけだろう。隠れてこっちを窺っているってことは、「無影無踪」持ちかもしれないな。気配は探れないが、敵意を込めた目で俺を見た時点で、お前のことは認識しているからな。


 俺は唐突に森へと入る。


 敵も俺の動きに合わせて木に隠れながら距離を詰めてくる。


 他には... ...危険は感じられない。アイツ以外には近くに敵はいないのだろう。早く来い。


 アイツが徐々に距離を詰めてくるのが手に取るように分かる。「気配察知」で捉えることが可能な範囲内に入ってきても警戒する素振りがなく、徐々に距離を詰めてくる。


 やはり、「無影無踪」持ちなのだろう。


 あと数メートルでヤツが俺の背後を取る。待ち遠しい。嬉しくなりすぎて、怪しまれないようにしなければ。


 ...


 ...


 ...



 来た!


 濃厚な危険を感知した。殺意を込めた一撃を放つ瞬間だ。


 俺は最高速度でサイドステップから、相手の背後に回り込む。俺の動きを予想していなければ、消えたように感じただろう。


 思った通りの軽装備。これなら十分に攻撃が通る。旋棒(トンファー)を回転させ、遠心力に俺自身の突撃速度、俺の体重を加えた最高の一撃を無防備な後頭部に叩き込む。


 骨を砕いた感触と何かを撒き散らす音。相手の頭上に浮いている数字は赤くなり0を表示している。


 相手に悲鳴も上げさせずに一撃で葬ったようだ。


 まず1人。


 あっ、やべ... ...恐怖を与えるの忘れた。



 直ぐに気を取り直して、自陣の平原に戻る。少しは考えてみよう。


 さっきの場面、背後から羽交い締めにして、首筋に鉈を当てて、ゆっくりと撫でた方が良かっただろうか?


 もしくは四肢を落としてから、殺した方が良かっただろうか?


 悲鳴を上げる隙もなかったのだから、恐怖を感じる隙もなかっただろう。


 失敗した。



 などと落ち込んでいると、新たな危険を感知した。今度は二つ。


 こいつらもまあまあ早い到着だと思う。重鎧タイプではないだろうな。


 殺気は感じない。


 こいつらも様子を窺っているだけだろう。


 2対1なのだから攻めてきても良いだろうに。


 どうしようかな... ...


 二人組ってことは、どちらかは「気配察知」か「俯瞰視点」は持っているのだろう。


 今度はどんな感じで倒すかな。おっと、どんな感じで恐怖を与えるかの方が優先だ。


 えーと... ...


 さっき倒した相手の死体を見せびらかす... ...


 いや、非道なだけで恐怖は感じないだろう。怒りを買うだけな気がする。


 死体を食...、危ない。危なく危ないヤツになるとこだった。


 後ろから突然大きな声を出す。恐怖ってより、一瞬驚くだけだろう。何より、やつらに気付かれずに背後に移動出来ないし。瞬間移動とかの特殊能力があれば良いのに。


 いや待てよ。さっきの敵を倒したように、至近距離からならば、背後に回り込むことは出来るな。いやいやいや、そしたら目の前から消えたことでまず驚くし、驚くだけだし。ひとまずこの思考から離れたいな。


 そんで、やつらは未だに様子見か。


 どーしよ... ...


 よし!決めた!何も考えねぇ!そうと決まれば、やるだけだ!


 何も考えずに、真っ直ぐに木の陰に隠れている二人に向かって突き進む。




「うおぉぉぉぉぉおおおおおおおおお!」




 突然吠えてみる。うん、気持ちいい。


 隠れていた二人のうち、一人が森から姿を現した。もう一人は、森の奥へと消えていく。危険も感じられなくなった。どーゆーことだ?


 まぁ、気にしねぇ。何も考えねぇ。目の前の一人をやるだけだ。


 相手を見ると、革兜、革鎧、小盾、ショートソード。攻撃力を捨てて、回避、防御に専念しそうな感じがする。他には特に変わった様子もなし。


 んじゃ、やりますか。


 加速を爆発させて、一気に距離を詰める。


 反応したヤツが、小盾を僅かに前に出す。


 右腕の旋棒(トンファー)を遠心力を乗せて、小盾にぶち当てる。と、同時に左脚でヤツの右手を蹴り上げる。


 手応えが無い。


 右の旋棒(トンファー)も左の蹴りも空振った。ヤツは、さっきと同じ構えで一歩引いてるだけ。


 はっ?


 左右の旋棒(トンファー)で、素早く連撃を繰り出す。が、小盾で受け流され、ショートソードで受け流され、全く当たらない。


 次々に殴打、斬撃、突き、蹴りを繰り出すが、暖簾に腕押し、糠に釘な状態。全く手応えが無い。


 苛つく。


 旋棒(トンファー)を腰に差し、今度はゆっくりと近付く。


 相手の攻撃範囲に入っても、一向に攻撃してこない。


 ちっ!




「てめぇ、何が狙いだ!」


「... ...」




 予想以上に出来るな。回避、防御に徹されると当てられない。せめて、相手から攻めて来ないと隙もできないしな。


 これは、明らかに時間稼ぎ。さっきのもう一人が、背後から奇襲するか、仲間を呼びに行ったか。


 いずれにせよ、このまま膠着状態は不味いだろうな。


 無手のまま突撃する。


 明らかに隙を見せているが乗ってこない。


 捕まえようにも捕まらない。


 最高速度で動いても触れられない。


 マジか... ...




「スピード特化タイプか?」

「... ...違う」

「はぁ?」




 俺が触れないのにスピード特化タイプじゃないだと?考えられるのは、こいつ自身の反応速度、いや、読みだな。


 勉強になるな。じゃあ、これはどうだ?


 右腕だけ旋棒(トンファー)を装着し、目にも止まらぬ速度で打ち込む。左手はゆっくりと相手の右手に... ...




「捕まえた!」

「ちっ!」




 相手は振りほどこうとするが、それこそ思う壺。掴んだ右手の力の向きを変えてやる。ほうら、バランス崩してるぜ!


 相手から初めて焦りの色が感じられた。


 ほら、ほら、どうした?


 右手を取って、相手を自在に動かす。相手は体勢を大きく崩して地面に衝突する。


 うつ伏せ状態の相手の上に乗り、右手の旋棒(トンファー)を首筋に当てる。




「てめえの狙いは時間稼ぎだろ?成功したか?」




 ゆっくりと旋棒(トンファー)の鉈の部分で相手の首筋を撫でる。


 血が吹き出し、頭上に表示された生命力(HP)の数値が急激に減っていく。




「お前、勿体無いな」

「はぁ?」




 もうすぐ生命力(HP)がなくなるってとこで、相手が話しかけてきた。




「普通にやれば、多くの者に賞賛されるだろうに」

「普通?てめえの言う普通って、どんなだよ?」




 相手は、俺の問いに応えることなく、事切れた。




 ◇◇◇◇

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