第一一話
◇◇◇◇
「皆さまお待たせいたしました!これよりランクC、チーム対抗戦初戦を開始します!」
はぁ。ついに始まる。大型スクリーンにはお互いのチーム情報が映し出される。相手チームは、キングが九勝一敗の5位のヤツ。どんなヤツかは覚えてない。オッズは別にいいか。関係ねーや。
「コハク、なんで練習来なかったのよ!」
「はっ?」
意味が分からねえ。
「リナくん、コハクくんは空気を読んで来なかったんだよ。そんなに責めることはないよ」
「パーンさん、でも... ...」
何この三文芝居?リーダーが連絡寄越さなかったんだろうが。はぁ、白ける。
「それでは、今期から行われるチーム戦についてご説明... ...」
あれ?始まんねぇの?今更説明?長くね?客も待ってんだろうが。
「それでは両チーム、自陣に入って下さい」
司会の合図で両チームが各々のチームの陣地に走る。
「コハクくん、作戦通り、全力で逃げてくれよ。健闘を祈る」
けっ!何が「健闘を祈るだ」!てめぇはクソったれの代表だな。そのクセェ芝居をやめやがれ!
「それでは... ...開始!」
俺を除く五人が一斉に走っていった。
このバトルフィールドは、正方形で一辺が2kmある。このフィールドには仮設の建物が建てられている。廃屋の様に造られているが、これは演出らしい。
屋内には入れないように造られている。まぁ、建物の中で戦闘しても客からは見えないからな。当たり前だ。
俺らのチームのみんなは、一直線に相手チームの陣地に走っていった。なんか、戦術だとか偉そうなことを言っていたが、戦術でもなんでもねぇ。
近くの廃屋と廃屋の間の路地に入り、壁を蹴りながら壁を登る。三階建ての廃屋の屋根に登ってうつ伏せになる。親方に作ってもらった双眼鏡を覗き込むと、そーら見えて来たぜ。
あれは我らのリーダー様だな。なんだか目立ってるが、あれだけ目立つと相手チームの的になりそうだな。
で、相手チームは、あれがキングかな?二人を護衛につけてる。二人とも全身鎧の大楯だ。大将も全身鎧に盾に片手剣か。
相手チームの残り三人は... ...発見!目立たないように建物に隠れながらこっちに向かってるな。まぁ、そうだよね。普通、目立たないようにするよね。うちのリーダーは、何故、あんなに目立ってるの?
あっ、相手チームのキング、隠れた。ってことは、あの大楯の二人で、うちのチームの五人を相手にすんのか、大変そうだな。
いやいやいや、俺は、一人で三人を相手にするから、俺の方が大変そうだな。
誰から仕留めるかな... ...先頭は、小盾と短槍か。二番目は、双剣使いか。三番目は、丸腰?いや、銃だな。それも、拳銃じゃねぇ。あれはスナイパーライフルだ。ほぅ、何だか色々考えてるみたいだな。
相手チームの方がよっぽど戦術っぽいぞ。多分、キングは隠れて二人が時間を稼ぐ。で、攻め手の三人のうち二人が陽動で、決め手はライフル持ちの遠距離攻撃だろう。気付かれずに眉間に一発ってところだ。
よし、決めた!まずは、ライフル持ちを仕留めるぜ。ライフル持ち達に気付かれないように、大回りに相手の裏を取るか。あのままの速度で物陰に隠れながら進むなら、ルートは読みやすい。時間もまぁなんとなく読めそうだ。よしよし。待っとけよライフル持ち。
双眼鏡を腰の革鞄にしまい、建物の裏手に飛び降りる。ライフル持ち達の予想ルートを頭に描きながら移動開始。
予想ルートの側面に到達し、建物の陰に身を潜める。
目の前を短槍持ち、双剣使いの順で通り過ぎた。暫く待ってもライフル持ちが来ない。
おかしいな。
俺は、この日の為に取得し直した特殊能力を発動する。
気配察知・一定範囲内の生物(に類するモノ)の気配を察知する能力
試してみると一定範囲ってのが思ったよりも狭かったのが難点だった。
もう一つ迷った特殊能力もあった。
俯瞰視点・一定範囲内を俯瞰的に視認する能力
一定範囲ってのが気配察知よりも少し広かったのだが、建物の陰に隠れた相手を見逃す可能性があった。
で、気配察知を発動すると、いたよライフル持ち。
俺が隠れている建物を回り込んで背後を取ろうとしているようだ。
もしかすると、ライフル持ちも「気配察知」を持ってるのかもしれない。
先に行った二人は俺に気付かなかったようなので、先の二人は「気配察知」は持っていないだろう。だが、ライフル持ちがついて来ないことに気付かれたら最悪挟み撃ちに会う可能性がある。
ライフル持ちには俺が気付いたことを勘繰られないように、ギリギリまで引き付けてから、一気に決めるか。
ライフル持ちが、建物を回り込んで、更に隣の建物の陰に隠れている。少しずつ俺の背中が見える位置に移動しているようだ。
...
...
...
ライフル持ちの移動が止まった。狙いをつけているのだろう。
まだだ。まだか?いや、行けるか、行くか?よし、行こう。
一気にダッシュ。射線を遮る物を探しつつ、最大速度で走り抜ける。
鋭い風切り音とともに、銃声が響く。
俺の耳のすぐ横を銃弾が通り過ぎたようだ。
ライフル持ちの目の前に辿り着くと、トンファーを叩き込む。右、左、右... ...相手も手に持っていたライフルで防ぐが、俺の攻撃の方が速い。
少しずつだが、相手の頭部や腕にトンファーが当たるようになった。
らぁ!
遠心力を乗せた渾身の一撃が相手の側頭部に決まった。相手が怯んだ隙にトンファーの刃の部分、鉈を首筋につけ、一気に掻き斬る。
頭部を失ったライフル持ちの体がゆっくりと倒れるが、倒れきる前に俺はその場をあとにした。
二つ隣の建物の壁を蹴りながら登り、屋根から下の様子を見ていると、戻ってきた二人が直ぐにライフル持ちの死体を発見した。
キョロキョロと周りを見回し、ライフル持ちを殺ったヤツを探しているようだ。この距離で俺を発見出来ないならば、「気配察知」を持っていないことは確定だな。
俺は残念ながら「気配察知」を常時発動することは出来ない。馴れない情報が脳に送り込まれるのに耐えきれないからだ。だが、ライフル持ちは、多分、常時発動していたようだ。この短期間でそこまで仕上げた努力は凄いと思う。
で、目の前の二人は、一旦、広い道に戻って行った。
俺の「気配察知」の範囲外まで行ったようだ。
流石に二人同時に相手は出来ないから、バラけてくれないかな。二手に分かれて俺を探すとか。
周りを見回し、高めの建物に移動する。屋根に伏せ、双眼鏡を取りだし覗き込む。
うちのリーダー達はどうなったかな?
あれ?一人減ってる。あ、ダンだ。倒れてる。早くも脱落か。ダンが減って、相手のライフル持ちが減ったから数の上では同点か。それにしても、リーダー達は相手二人に苦戦しすぎだよな。相手のキングは... ...見当たらない。さっきの短槍持ちと双剣使いは... ...いた!建物の陰に隠れながら戻ってるな。あのまま背後を取られるとリーダー達はピンチだ。
どうしようかな... ...
◇◇◇◇
ほぼバトルのみって、どうなんでしょうか?飽きますか?このままでも良いですか?




