第一〇話
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「じゃ、自己紹介から始めようか」
見た目が三十歳くらいの長身、金髪碧眼、褐色の肌、まあまあ整った顔の男が場を仕切る。この中ではランクCの最古参らしい。
俺らはオーガナイトではなく、生身の人間として集まっている。いや、集められた。後期のチームが決まって、戦術とか、色々考えるらしいよ。
「まずは僕から。ランクCで五年目、パーンという。知ってる者もいると思うが、双剣使いだ。前期の戦績は七勝三敗。順位は17位だった」
三十歳のおっさんが「僕」とか似合わないな。双剣使いって、戦ったことがあるような、ないような
「じゃあ次は私。ランクC一年目、リナです。丸盾と細剣で、前期は八勝二敗で9位です」
よりにもよってリナと同じチーム。顔を合わせたくなかった相手だ。
「次、俺。ランクC三年目、ヤマト。太刀を使ってる。前期は六勝四敗で、32位」
黒髪黒瞳のなかなかイケメン。太刀使いって、確か前期で戦った気がする。なかなか強かった印象だが、それでも32位か。
「私は一年目のアリサ。双銃使ってるけど、格闘術が得意よ。前期は五勝五敗で40位ね」
金髪ツインテールに蒼瞳。美人と言うか美少女。こんな容姿のオーガナイトは見たことないから、オーガナイトの顔は弄ってるのだろう。
「俺、四年目のダン。全身鎧に盾二つ。どうやって攻撃するかって疑問に思ったろ?盾で殴るんだ。前期は五勝五敗で48位だ」
アリサと同率だが、勝ち試合のタイムの差だろうな。見た目はスキンヘッドに碧眼の大男。いかにもタンクって感じの雰囲気だな。
「俺、ランクC二年目のコハク。トンファーと格闘術を使ってる。前期は九勝一敗で、3位だった。宜しく」
「「「「「... ...」」」」」
えぇ~~~~!なんで無反応なの?!
「私、こんなヤツ守りたくない」
アリサだ。俺って世の中の女の敵らしいが、世の中って、騎士も入るんだな。
「まぁ、誰も守りたくないだろうが、一応キングだ。みんな、嫌だろうが、それでも我々は勝たなくてはならない」
金髪碧眼のパーンの発言にみんな耳を傾ける。さりげなく毒を混ぜてくる。そーゆーヤツなんだな。どうせなら、キングやってくんねーかな。
「みんな、気付いただろうが、このメンバだと守り固める戦術は取れない。守りに向いているのがダンだけだからだ」
そうなんだよね。見事にスピードタイプが固まったもんだ。運営の思惑か?あれ?でも、ダンだけ違うな。たまたまか。
「そう言う訳だから、取れる戦術は限られる。速攻か逃げながら隙を突くか」
逃げはしたくねぇな。でも、俺、発言しない方が良さそうだ。少しは空気読める。
「私は逃げは嫌」
リナは俺と一緒か。うぉ!そんな睨むなよ... ...でも、他にも逃げを嫌うメンバーはいるようだ。安心した。俺が発言しなくても良さそうだ。
「ちょっと待ってくれ、速攻って、俺、役に立てねーんだが」
「そうだな」
「仕方ないよ」
ダン、パーン、アリサの発言。まぁ、速攻なら足の遅いヤツは戦力外になるよね。
「ダンは、そいつの護衛すればいいんじゃな?」
「えぇ!やだよ、俺だけハズレじゃんか」
太刀使いのヤマトか。仮にも俺って、キングだよね?俺が倒されるとチームの負けだよね?もう少し労ってもいいんじゃねぇか?
「ダンには、決断してもらいたい。そのスタイルを崩さす、チームのお荷物になるか。それとも、後期に備えてスピードタイプにチェンジするか」
「えぇ!チェンジって、かなり厳しくねーか?」
「俺は知ってるぞ。ダンがランクCに上がった一年目はスピードタイプだったことを」
「まぁ、そんな時もあったが... ...」
この後も、邪魔物(誤字ではない)扱いされ続け、気付けば戦術が決まっていた。俺、除け者?パーンが主役?
「じゃあ、後期に備えて自主トレに励んでくれ。ダンは特にみんなの足を引っ張らないように頑張れよ。一週間後にみんなで合わせよう。場所は連絡する」
やる気が全く出ねぇ... ...
◇◇◇◇
「なんでぃ、しけた面しやがって」
「後期のチーム戦がな。気が乗らねぇんだよ」
「てめぇだけ個人戦のつもりで戦えばいいじゃねぇか」
「... ...いいなそれ。それで行こう!」
「まぁ、ぼっち確定だけどな」
「今更だしな... ...」
「今更だな」
あの金髪碧眼のリーダー... ...あれ?名前忘れてる!まぁいいか。リーダーが考えた戦術だと、元々俺はぼっちだ。俺以外の五人で速攻を決めるんだと。んで、俺は必死に逃げまくるらしい。
決めた。俺は逃げなんてやなこった。ヤツらの度胆を抜いてやる。おーし。そうと決まればやる気も出てきた。やってやるぜ!
一週間後、皆で集まる話があったと思う。多分、間違いじゃないと思う。確か、集合場所は後で連絡が来るはずだ。
で... ...今日が集合の日だと思うが。
連絡来てなくね?リーダー、うっかりさん?しっかりしてそうだったのに、意外とお茶目だよな?
「それ、ハブられてんじゃねぇか?」
「親方、そう思っても口にしちゃあ、いけねぇよ」
「わ、わりぃ」
落ち込むな。ぼっち、はんぱねぇな。後期の最初の試合って、確か一週間後だよな?俺、ハブられたまま、試合に挑まないといけないのかな... ...テンションあがんねぇな... ...
「てめぇ、いつも通りでいいんじゃねぇか?」
「いつも通り?」
「おう。周りの目なんて気にしねえ、てめぇのスタイル貫き通せや」
俺のスタイル?周りの目なんか気にしねえ?そー言えば、そーだよな。周りなんてクソったれだ。クソったれな連中なんて、どーでもいいじゃねぇか。阿呆だ俺は。先週、決めたじゃねぇか。ハブられたって、どーでもいいじゃねぇか。俺は俺だ。何も気にしねぇ。立ちはだかるヤツは全員ぶちのめす!
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