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この学園は最強しかいない!  作者: 魔王さん
あなたのやりたいことはなんで章
37/38

新たなるものへの挑戦!(既存のものをクリアしたとは言ってない)

 




 ※   ※   ※





 学園のグラウンドは夕焼けで徐々に赤みを帯び始めたが、そんなことまったく関係無いようにスクリーン内の最強達は、互いに全力を出し合い、互いに己の勝利を信じて闘う激闘を繰り広げている。

 ボクが思わず笑みをこぼすと、隣から怪訝そうな顔が覗いてきた。

 

 「何を気持ち悪く笑ってんだ?」

 「気持ち悪くは余計だよね!?」

 「あぁわりぃ、訂正しよう。……お前気持ちわりぃ」

 「もっとも文章で大事だったであろう疑問文が消失してるんだけど!?」

 「…きもい」

 「ただ省略したら訂正されてると思ったら大間違いなんだからねっ!?」

 

 ボクを罵倒しまくってくる少女は、「冗談だ。」と少しはにかみながら、ポケットから今度は大き目の棒付きキャンディーを口に運ぶ。この子のポケットにはきっとお菓子しか入ってないのだろうね。

 ジョーカーはしばらく幸せ全開の顔で飴を頬張っていたが、スクリーンに再び顔をむけるとその笑みは楽しそうな嗤いへと変貌した。


 「あいつ、自身の『存在』を無限に生成し、『肉体』と『魂』に変換できるのか……不死身のわけだぜ」

 「ほほぅ…ジョーカーちゃんは『存在』っていうのが何が、もう知ってるみたいだね~」

 「当然だ、『存在』っていうのは、そいつの『肉体』と『魂』を繋ぐモノだろ?」

 「大せいかーい!賞品は学園長じきじきの頭なでな…」 

 「消すぞこの野郎」

 「じょ、冗談だよ…」




 生命というものは3つの要素で形成されている。

 一つ目、『肉体』

 その生命の外見、力、能力をつかさどる。これが果てたとき、俗に言う『死』が訪れるんだ。ま、『肉体』の『死』だけなら蘇生魔法なんかで生き返られるよ。

 二つ目、『魂』

 その生命の意思、本能、心の働きをつかさどる。『肉体』が『死』を迎えてもそこに存在するもの。『肉体』が復活した瞬間に、そこに瞬時に付加されるものだね。これが消えたら生命は抜け殻にみたいな感じになるってこと。もちろんこれにも蘇生方法はいくらかあるけど今は省くね。

 だがこの二つ自体には、互いを繋ぐ力などまったく無いんだ。

 でも繋がれなければ、その生命が成り立つことなどあり得ない。ま、当然だよね。君は肉体の無いものを生きてるなんて言えないだろう?逆もまた然りだよね?

 

 ではどうやって生命は成り立っているのか? 

 その疑問は三つ目の要素、『存在』が解決してくれるだろう?

 『存在』は『肉体』と『魂』を繋ぐモノ。(大事なことだから二回説明したよ!)

 『存在』の復活はあり得ない。…何故かって?消える前提が無いからね。

 え?もし…これが消えたら生命はどうなるのかって?…うーん…残念ながら転生もできないし、蘇生は絶対不可能になってしまうね。

 ………え?…分かりにくい?……それじゃあ例を挙げようか。

 


 例Ⅰ 『肉体』だけが消えた場合。

 この場合、『魂』と『存在』は消えてないから、RPGとかでよくある蘇生魔法なんかを使えば生き返るよ。


 例Ⅱ 『魂』だけが消えた場合。

 この場合、『肉体』と『存在』が残っているから、『魂』の再構築できるイベントをこなせば復活するね。イベントとは何だって?…その話はまた今度話すよ。


 例Ⅲ 『存在』だけが消えた場合。(本来はあり得ないんだけど)

 この場合、『肉体』と『魂』は確かに残ってる……でも、その二つを繋ぐことができないから生命を蘇生は…絶対に出来ない。

 


 結論!たとえ『肉体』と『魂』が消えても生き返れるけど、『存在』が消えたら絶対生き返れない!

   

 以上!!分かったかな? 

 じゃあそろそろ………彼らの物語の続きといこう!


 


 ボクはジョーカーに子供のような笑顔を作って手を出す。そう、いつものロリ学園長の子供っぽい顔をつくって。


 「あ、ジョーカーちゃん、ボクにもお菓子くれないかな~?」

 「断るざけんな冗談ほらよ」

 「わーい!じゃあ一緒に続きを見ようか!といっても…もうすぐこの戦いは終わっちゃうけどね!」


 ボクはでっかいラムネを口に頬張り、多くの者がとても幸せそうだと判断できる顔をつくった。





   ※   ※   ※




 昼休み。会議室を借りた俺達4人+(はるか)は各々の席につくと、暁の方に自然と注目が集まった。

 

 「えーこれより、前回の戦いの反省点を生かすために作戦会議を始めるわ。」


 結論から先に言うと、四天王ウィルミラ=ゲオルダカーハとの戦いで完全敗北と認めざるを得なかった。

 まず、もっともウィルの近くにいた暁が倒され、続いて神崎、ソフィが瞬きより速く倒され、俺はもうその時点で自然と降参を選びとるという選択しか頭に思い浮かんでいなかった。


 「しっかしまー、ウィルたんマジTUEEEEEE!やっぱりそう簡単に美幼女prprは出来な…四天王の称号は手に入らないわね…」

 「おい今犯罪混ざってたぞ」

 「うっさいわね!言い直すわよ!んんっ!!……やっぱりそう簡単に美幼女はprpr出来ないわね…」

 「なんで一番言っちゃいけねぇのを繰り返してんだ!」

 「人は同じ過ちを繰り返す…全く…!」

 「どこのアムロだ!」

 「元ネタは知らないけどね」

 「とりあえずZガ○ダムファンに全力で謝れ!」

 

 安定の暁ペースに振り回されながらも俺は暁に疑問を投げることに成功した。


 「んで、あの化け物みたいな四天王はどう攻略はどうすんだ?お前の得意の特攻だけじゃ倒せる相手じゃねぇぞ?」

  

 同席しているソフィと神埼も苦々しい顔で頷いて意見を挟む。


 「……攻撃力が……規格外だった……」

 「そうですねぇ…速さも明らかに異常でした。まずは相手の強さを知るためにも情報を収集する必要があるかと」


 ソフィと神崎は何時に無く真剣な言葉を紡いでいく。お前らいつもより滅茶苦茶頭良く見えるぞ!

 

 「……ついでに言うと……第二形態のウィル……マジ…天使……」

 「分かります!ドラゴン美少女で擬人化させたらきっとアレになるんですよ!あ、でも私のましろの方が可愛いですけどね!」

 「誰がアンタのよ!」

 「え?あなたに決まってるじゃないですか!?最強に可愛いましろは、(わたくし)神崎愛佳の嫁確定ですけど?」

 「そんな『何言ってんだコイツ』みたいな顔して嘘つかないでよ!」

 「現在の嘘は未来で真実になるのです。とりあえず結婚しましょう」

 「だ・ま・れ!ああああああ!愛佳のせいで私がボケからツッコミキャラに!!」

 

 ………残念ながら…いつも通りだったようだ…。あと暁、お前のボケとツッコミ比率は9:1でボケキャラだから心配すんな。

 平和なのは俺の膝の上で可愛らしく寝息をたてて寝ている(はるか)だけである。

 暁は深呼吸を何度か繰り返すと、ようやく話を本題に戻す。

 

 「それじゃあ……そうね、まずはウィルたんの情報収集からもう一度はじめましょう。次回の決闘はそれが完全にすんだ後。私とユキノとその膝に寝てる(はるか)は、一旦情報屋の元に向かって、ソフィと愛佳はウィルたんの弟から情報を聞いてくる。何か異論はあるかしら?」


 異論をあるかと言われても、それ以上の策は思いつかない。残り二人の方に顔を向けるが、いつもながら曇りの無い、むしろ楽しそうな顔である。


 「……問題……なし…」

 「えぇ!(わたくし)も、ましろの指示ならば異論なしです!」 

 『はい~。異論ありま~~~す』

 「「「「っ!!?」」」」

 

 突如教室のスピーカーからゆったりとした声が響きわたる。というかこの声はいつも聞いてるうちの…


 『はい~~異論があるのは~1年2組担任の倉野静(くらの・しずか)で~す』

 

 やっぱりか、最近戦闘系の記憶が深すぎて授業関連の事柄忘れそうだったぜ。

 暁は驚いた顔をすぐさま不満げに歪めてスピーカーを見上げる。

 

 「…先生に私達の行動に異論をもたれる記憶無いんですが?」

 『私も~出来れば口を挟みたくは無かったんですけど~~義務ですから~』

「義務?」

『はい~あなた達は~四天王に挑む前に~~やるべきことがあるので~すよ~~』

「……やるべき…こと?」


 怪訝そうに暁は首をかしげて言葉を鸚鵡返しにする。…つかこのスピーカー通信できたんだ…


『はいな~それは~~部活動見学&体験なのです~~!わ~~パチパチ~~』

 

 ほんわかとした拍手がスピーカーから響く間、全員が首を傾げていた。暁は困ったように苦笑しながらスピーカーに応える。


「あの先生、それって強制参加ですか?面倒なのであとにし…」

「ダメダメで~すよ~」

「「!?」」

 

 突然物凄い力によって^体全体が引っ張られた。はるかを咄嗟に剣に戻し、左手に持ったまま力の根源に思わず向き直ると、そこには我ら1年2組の担任にしてさきほどまでスピーカーで話していた倉野先生本人だった。反対の手では暁が捕獲されていた。


「ちょっ!?放して!なにすんのよ!このっ!…くっ…力つよ!?」


暁は必死に抵抗を試みているが、まるで意に介さずに倉野先生は足を部屋の出口へと足を進めていく。


「さぁ~~!しゅっぱ~~つで~す!」


ずりずりと引きずられながら俺と暁が会議室を出た瞬間、倉野先生が思い出したように勢いよく体を反転され、会議室に残された二人に微笑んだ。ちなみに先生が回転したときに俺の顔に会議室の壁が激突した…痛い…超イタイ…


「あなたたちは~~自分たちでよろしくで~すよ~もし~行かなかったら~ふふっ信頼してます~~」


柔らかながらも有無を言わさぬその言葉にソフィと、神崎はただコクコクと何度も頷いた。



数分間の引きずりは絶対に逃げないという条件で解放された。どうやらここはサークル棟と呼ばれる建物の正門のようだ。一見建物はそこらの学校と同じくらいに見えるが、なんでも部室一つ一つが部活動に合わせて扉を異世界と繋いでいるので内部総面積は平均的な恒星並らしい。(……んだよ、意味が分かんねぇ)

暁はサークル棟を見て小さくため息をついた。が、その顔は新しいオモチャを与えられた子供のように眩しく輝いていた。


「ったく、仕方ないわねー。体験するからには面白い部活、見つけるしかないわね!」

「面白い部活ねぇ…お前に見合った部活なんてあんのかな……っと…悠、もう出てきていいぞ」


剣の状態にしたままの悠の存在を思い出し、俺は剣に話しかけると、それは一瞬で幼い少女へと形状を変えた。

少女はこちらの腕に抱きつきながら、快活そうな声で疑問を投げてきた。


「お兄ちゃん!今から何するのー?」

「そうだなー、楽しいものを…探しに…かな?」


まぁ、隣の破壊者である少女と体験するものなら、きっとどんなモノでも大いに楽しめるだろうがな。


「よし、正面から殴り込みに行くわよユキノ!」

「いや殴っちゃ駄目だろ!!」


………楽しむことより苦労する方が、1000倍くらい多いかもしれない。


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