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この学園は最強しかいない!  作者: 魔王さん
あなたのやりたいことはなんで章
33/38

よく考えたらこの学園の女主要キャラだいたい幼zy(ry

 第3グラウンドど真ん中には、二つの人影があった。

 

 「ふっふっふっ、今宵はかなり楽しめそうじゃ…」


 一つは【四天王】称号【アルテミス】保持者、ウィルミラ=ゲオルダカーハ、通称ウィル。まぁ自分でも悪くない通称だとは思っている。

 ドラゴンの姿をその身に宿し、威風すら漂う仁王立ちで堂々と佇みながら己の戦いへの渇望を高めている。

 

 「ねぇねぇ!この服どうかな?似合ってる?やっぱりユキノ君を振り向かせるにはもう少し可愛らしいほうがよかったかなー?」

 「…………はぁ…」

 

 深いため息をつかれたもう一つの影は、今回ウィルに決闘の立ち会い人として呼ばれた少女、もといこの学園を異世界ごと創設した(おさ)、ラティア・フォルティシムス。

 見た目は完全にアホな小学生だが、彼女は任意のタイミングで自分の言葉を全て真実へと昇華するという反則すぎる能力を持っている為、事実上誰にも勝てない。噂では他にも能力を持っているらしいが、真相は定かではない。

 

 「はぁ…ユキノ君…はやくボクと結婚してくれないかなぁ…」

 

 ……現在はユキノに会えるというだけでテンションがおかしくなっているようだが…

 そんな反則駄目ロリ学園長に対し、ウィルはもう一度大きくため息をつくと、前もって聞きたかったことを切り出す。


 「ラティアよ、質問してもよいかのう。」

 「んー?オーケーだけど、どしたのん?」


 ラティアはニヤニヤしていた顔を一瞬で引っ込めて首をかしげる。


 「お主、あの暁ましろ達が所持しているカード、『だとう!してんのう』カードのもう一つの効果を何故黙っているのじゃ?」

 「ギクリンチョッ!?な、何故そのカードのことを!?」


 ………擬音を口に出したことはあえて突っ込まない。

 

 「情報屋に我が【四天王】という情報と自身の能力のことを話したら何でも話してくれたぞ。」

 「ぐぬぬ…さ、さすが雷電君だ…はっ!?じゃなくて!な、なんのことやら…はははっ」


 視線を高速で泳がせながらラティアは乾いた声を出す。そこに畳み掛けるようにウィルは続ける。


 「確かに表向きの効果は【四天王】特権を封じ込めるだけとして扱われているようじゃが…裏では【四天王】の称号を持つ者にランダムなタイミングで拒否不可能な命令を送っておるんじゃろ?」

 「な、なんのことやら……」

 

 その言葉に対し、ウィルは本日幾度とした嘆息をすると、トドメとばかりに懐から電子生徒手帳を取り出す。

 

 「我にその命令が来たのじゃがのー…そのメールに…」




 ≪≪ 【四天王】称号【アルテミス】保持者、ウィルミラ=ゲオルダカーハへ命令

  はじめに このメールは『読み飛ばすことは出来ない』

 

  一週間以内に以下の生徒との同時決闘を命じる。

 

1年2組 暁ましろ

   同組 渚ユキノ

   同組 ソフィ・シュルベルト

 1年4組 神崎愛佳

 

 決闘ルールは相手チームに決めさせる。

   なお、この命令は、とある学園長の絶対命令より『拒否することは不可能』である。 



  差出人 渚ユキノ所持物『だとう!してんのう』カード ≫≫

 

 「がっつりここにその証拠が書いてあるのじゃ!丁寧に差出人も書いてあるのじゃ!しかも!とある学園長の絶対命令って凄まじく簡単なヒントが禁書目録風に書かれているではないかぁああっ!!」


 ウィルは比喩なく口から火炎を吐きながら、ラティアに突っ込みの嵐を吹き荒らした。

 ラティアはその火炎を全身でダイレクトに浴びた後、無傷のまましばらく逡巡していたが、やがて瞬時にケロッと顔を切り替えて無邪気な笑みを貼り付ける。



 「ま、…全てはボクの計画の為さ。ウィルたんにはまだ言えないけどね…ふふっ」

 「……っ!」


 ぞくりとウィルの背筋が凍る。向けられたのは決して殺意ではない。だが本能が、これ以上の深追いを禁じた。


 「あ、来たみたいだよ!ウィルたん!」

 「お主まで我をウィルたん呼ばわりするでない!」

 「おーい!!ボクのユキノくーーーーーん!!会いたかったよぉおおおっ!チュウしよぉおおおおおおおっ!!」



 ラティアは投げキッスを前方に飛ばしながら手をぶんぶんと勢いよく振り回している。対するユキノは苦笑と苦渋を足して2で割ったような顔をしている。

 いつもは隙しかないただのアホに見えるのに、肝心な部分は一切触れさせようとしない。それがこの学園のトップに君臨している少女だ。

 最後まで何を考えているか全く読めなかったラティアを横目で見ながら、ウィルも気持ちを切り替える。

 歩いてくる集団の中に、明らかに気配が別格の少女がいた。紅蓮の髪が不敵になびき、鮮血よりも赤い瞳がこちらを見据えながら不敵に笑っている。

 その様子に、ウィルは自身の体が大きく胎動するのを感じた。


 「来るがよい新世代の最強よ、……我は問おう…さて…」


 ―――お主らにとって、最強とは何じゃ?―――


 


  ※  ※




 いつものメンバーに竜介を加えた俺達は、指定されたグラウンドに向かうと、嘘偽りなく【四天王】は待っていた。


 「おーい!!ボクのユキノくーーーーーん!!会いたかったよぉおおおっ!チュウしよぉおおおおおおおっ!!」


 ……ラティア学園長と共に……


 「お兄ちゃん、呼ばれてるよー?」

 「……ユキノ…モテモテ…」

 「(わたくし)的にはあの子とユキノがくっついてくれれば、ましろとイチャラブ出来ますので構いませんよ。……はぁ想像したら鼻血が…」

 「ユキノ、鼻の下伸ばしたら風穴開けるわよ!」

 「お前はどこのアリアだ!」

 

 うわー…どうしよ…帰りたくなってきた。 

 だが、こいつがいる限りは、そんなことは俺には許されない。いや、許されたくはないんだけどさ。


 「ふふっ…約束どおり来たわよ!」

 「待っていたぞ、皆。では早速勝負…と行きたいところじゃが……」


 ウィルはチラッと竜介のことを見ると、ふっと頬を緩めた。


 「竜介と一戦交えてよいかのう?コイツとは…昔の約束を果たさねばならんのじゃ。」

 「うん、話は竜介から聞いてるわ。ま、お手並み拝見ってところね。」


 暁はそういって一歩下がりながら竜介に頷いた。彼は凛とした視線で頷き返すと、ウィルと対峙する。

 

 「…お姉ちゃん…約束覚えててくれたんだ。」

 「当たり前じゃ、むしろお前のほうが飯を食べて忘れていたのではないか?」

 「…………否定はしない…」 

 「そこは普通否定する所じゃ……」

 

 ウィルは呆れ半分の苦笑を浮かべた後、俺に必要以上に付きまとっている学園長に問いかけた。


 「ラティアよ、あの命令は別に竜介の後で実行してもよいのだろう?」

 「うん!モチのロンだよウィルたん!」

 「ウィルたん言うな!アホピンク!」


 あの命令?一体何の話なのだろうか?…つかアホピンクって…まぁ外れてないと思うが。

 

 「では竜介、始めるかのぅ。」

 「オーケー…お姉ちゃん。」


 ウィルの黄金の瞳が鈍く光るを帯び、竜介のうつろな瞳も熱を発し始めた刹那、空気がビリビリと緊張感を帯び始めた。この雰囲気は誰もが息を呑み、闘いの幕を嫌でも感じさせr…


 「むむむ…ウィルたん手に入れたらどこの部屋に住ませようかな…やっぱり私の部屋かしら…」

 「……ましろ、私のお家…まだ空き部屋ある…だから私の部屋にウィルおく…」

 「駄目よソフィ!私、ウィルたんは絶対に家に住ませるんだから!」

 「では妥協案として、(わたくし)の家にましろが住んで、ソフィの家にウィルさんが一緒に住む。…というのは?」

 「愛佳(まなか)……それ一ミリも妥協案じゃないんだけど…」

 「では私がましろの家に住みます!…はぁはぁはぁ……想像したら…興奮してきました!」

 「どっちも同じ意味よ!興奮すんな気持ち悪い!」

 

 「外野うるさいんですけど!?」


 お前ら空気読めよ!さっきの緊迫した空気返せよ!!


 「……あ、すみません…こっちに構わず始めて下さい。」


 俺は馬鹿三人の頭を無理やり下げさせ、呆れながら対峙する二人に謝罪すると、ウィルから「お主も大変じゃのう…」と苦笑を貰う。

 二人が互いの瞳をもう一度深く見つめ、右腕を高く上げたのを合図に今度こそ全員が黙る。

 そこにラティア学園長もテンション↑↑で手を上げる。

 

 「はーい!それじゃあ!二人の決闘を許可しちゃうぞー!ど・う・ぞ!」

 「「アビリティ・リリース!!決闘開始デュエル・スタート」」

 

 対戦者の声と眩い閃光は、辺り一帯に戦いの火蓋が切られたことを強く知らせた。

 俺達の正面に球体上のモニターが、異世界に転送された二人の様子を映像として鮮明に写していた。

 そんじゃま、【四天王】の実力、見せてもらいますかね。

 ふと、横目で暁の様子を見ると、ぞくりと背筋に何かが走る。

 そこには先ほどまでとは別人の顔、無邪気な可愛らしい笑みとは違う、まるで獲物を見定める絶対的な破壊者のような不敵な笑みがあった。


 

 

 

 

 

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