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この学園は最強しかいない!  作者: 魔王さん
少年よ!もっと強くなりま章
18/38

なぁ…少女と幼女って何歳くらいが境目なんだ?


俺達は結局、その先からは歩いて行くことにした(もう痛いのは嫌です)しばらく一本道を進んでいくと、横に生えるように地面に刺さっている剣が、だんだんと本数を増やしていた。

 そして、回廊の突きあたりまで到着すると、身長の倍以上はある巨大な扉が待ち構えていた。深い宇宙のような藍色の背景に、白い刀身が伸びる剣のレリーフが中心に大きく描かれている。ゲームではよくあるボス部屋そのものだが、いざ現実に目の当たりにすると、緊張で足が竦みそうだった。

 いつもなら軽口を叩く女性陣も、今回ばかりは真剣は眼差しで扉を見つめていr…

 

 「ねぇ皆…剣使いの主人公って聞いて、誰を思い浮かべる?あ、ただし二次元だけね。私はクレス!」

 「……リンク…」

 「(わたくし)は、そうですね…Fa○eシリーズのセイバーでしょうか?」

 

 皆さん………平常運行でした。つかなに?緊張感とか無いの?いや全員分かるし納得だけど…

 

 「じゃあユキノは、誰が思い浮かぶ?」


 暁が真面目な顔でたずねる時は、だいたいがどうでもいいことだな~なんて呆れながら答える。

 

 「そりゃあキリトさんだろ?特にアイ○クラッド編が最高だと思う。」

 「まさに原点にして頂点って感じよね!」

 

 まさにその通り!……あれ?…いつの間にか俺も真面目に談義してるんだが?緊張してた俺が馬鹿みたいに感じ…

 そこで俺はハッとなる。もしかしてこいつ等…俺の緊張を解く為に、あえていつも通り振舞ってくれているのか?…

 そこまで考えきろうとすると、不意に右手が、誰かの温かい手にぎゅっ、と包まれる。それは俺が最も信頼し、大切だと思っている人の手で間違いなかった。


 「ねぇユキノ…一つだけ言っていい?」

 

 暁の声音はとても優しく、俺の耳にふんわりと入り込んでくる。この声をずっと聞いていたいという気持ちが、どんどん強くなっていく。

 暁は俺の無言を肯定と取ったのか、そのまま優しい声で続ける。


 「今回はユキノが超えなくちゃいけない…自分が超えたいと思っている壁なのかもしれない。……でもね、その壁は絶対に一人で超えなきゃいけない壁ではないと思うの。

 私は……ユキノが越えたい壁を皆で越えたい。…いや、壊したいの!」

 

 暁はそこまで言うと、ぎゅうぅ、っと熱が完全に乗り移るうらいの勢いで俺の手を握り直して続ける。

 

 「私は…ずぅと…ユキノの隣にいたいの。」

 「…………………俺もだ…俺もお前の隣にいたい!」

 

 俺は暁の綺麗な手を、強く握り返す。

 暁は頬を少し染めながら続ける。


 「私はあなたの全てを支える。だからユキノは私の全てを支えてね?…これからもずっとずっと………誓える?」

 

 ……そんなこと…決まってるじゃないか。

 

 「もとより俺は…お前に連れ出された時から……誓ってるよ。………それでも足りないなら…何度でも誓ってやる!俺は、お前の全てを支えてみせる。」

 

 ソフィと神崎から小さく、「ぉぉ…」っていう息が漏れる。あ、ヤバッ…今の全部聞かれてた……まぁいいか。

 

 「じゃあ私も誓うわね。」

 

 暁はそういうや否や、ぐいっと俺の腕を引っ張る。咄嗟に反応できない俺はされるがまま、暁の元に引き込まれていき、


 「…!!……」


 唇が桜色の柔らかい感触が押し付けられ、それが唇だと気づいたときには、抵抗する思考は完全に停止していた。

 どれくらいそうしていたのだろうか。長かった気がするし、刹那だった気もする。ただ…言える事は…


 「……幸せタイム…終わり?」

 「うぅ…ユ、ユキノさん!わ、私はま、まだ…ましろを諦めないですからね!」

 

 ソフィは俺を少しジトーっとしたような目で軽く睨み、神崎は少し怒ったような顔で叫ぶ。

 はい…スッゴイ恥ずかしいです。

 暁は暫く紅潮した笑みだったが、大きく息を吐き、不敵な笑みに変える。


 「ふふっ!…恋する乙女は片手で龍をも殺すってね!!じゃあ行くわよ皆!!」

 

 いや、龍なんか出てこられたらシャレにならないけど。

 全員で扉に触れ、ゆっくりと力をこめて押すと、巨大な扉は、以外にも滑らかに開き始めた。まるで部屋へと誘いこむように。

 内部は完全闇に支配されており、一寸先が全く見えない。ソフィの本から発せられる光も部屋全体に届くには弱すぎるのだろうか。

 

 「…………暗いですね…」

 「……暗い…私の魔法で…明るく…する?」

 

 神崎の声にソフィは本を近づけて応答する。


「………じゃあ…」


 俺がソフィに頼もうと口を開こうとした瞬間、背後の巨大な扉が勢いよく閉ざされた。 


 「「「「!!!!」」」」


 思わず背後を振り向くが、更に立て続けに事態は変動する。

 その閉まった扉の近くにシュォンと音を立てて白い炎が燃え上がり、すぐ離れた場所にも炎が揺らめき始めた。

 不思議な音と共に、その炎は俺達の正面、つまり部屋の中心へと真っ直ぐに白い炎の一本道が進んでいく。

 そしてその火柱の立つ先には


 「………私の……マスターはー誰ー?」 


 見ると体躯は暁と同じくらい、幼い少女が可愛らしい目を眠そうにこすりながら一糸纏わぬ姿でその場に座り込んでい…

 ズゴォオオンッッ!!


 ぎゃあああああああっ!!顔があぁ!特に目がぁああああ!!目がぁあ!!…確認する前に顔がつぶれて分からないが、おそらく暁が俺の顔を殴ったのだろう。殺す気か!!

 

 「ゴメンゴメン!ユキノが幼女の裸体見て興奮してたから……殴っちゃった!」

 「いや!あれは不可抗力だろう!?第一興奮してねぇよ!」

 

 そもそも興奮どうこうの前に世界が暗れ塞がったわ!


 「………いい考えがある。……『シャイニング・レギュレート』」

 

 少しして暁と神崎の「おぉ…」という感心の息が漏れる。


 「さっすがソフィ!もうユキノが見ても大丈夫ね!」


 お、やっと目が回復してきた。暁のパンチが再び襲いかかって来ないことを祈りながら恐る恐る目を開けると…


 「…は…?」


 決して男子が許可なくして見てはいけない少女の大切な部分に、深夜アニメとかでよくある、光の規制のようなものが入っていた。


 「どゆこと?…」

 「……これで、秘部は…見えないから大丈夫………ブルーレイでは…外れるかも…」

 「完全に規制じゃねぇか!!」

 

 そして……大丈夫では無いんですがっ!!ギリギリ大切な部分は隠れているものの、八歳前後にしか見えない少女の裸体はそこにある訳で…

 

 「……??」


 黒髪の隙間から覗く、藍色の瞳の少女と合うが、思わず背けてしまった。

 だが、会話をしなくては…剣のありかくらいは知っているのだろうか。

 

 「え、えぇーと……君は…『代償の剣』っていうのを知ってる?もし知ってたら教えて欲しいことがあるんだけど…」

 

 理性をしっかりと繋ぎとめたのを確認して、少女に向き直って話す。顔見なきゃ失礼だもんな。

 だが、その質問に少女は瞳を僅かに見開くと、天使のように可愛らしく笑う。


 「剣のマスターになりたい人は誰なのー?」

 

 語彙が伸ばしながら少女は、質問に対して質問で返す。


 「マ、マスター?…あぁ剣が欲しい人?…お、俺だけど…」

 「そうなんだぁー!お兄ちゃんかぁー!えへへー!」

 

 少女はてててっと、こちらに走り出して来ると…

 ひしっ!…と思いっきり抱きついてきた!!


 「え、ちょ!何してんの!?…てか力強っ!!」

 「えへへー!ちょっと確かめてるのぉー!」

 

 必死に離そうとするが、驚異的な力でぴったりとくっついていて、引き剥がすことが出来ない。

 少女はすんすんと鼻を鳴らしながら、顔を俺に(うず)める。行動は少女どころか、幼女そのものだった。

 

 「ちょっとユキノくぅぅうん!!」

 

 暁はジトーッとした目+怒りの拳が近づいてくる。


 「いやいやいやいや!!見てたろ!今回ばかりは俺のせいじゃ…」

 「ふぅん?じゃあ今までの行為は自分のせいなんだぁ!!」

 「い、いや、そういうことじゃ…」


 拳で吹き飛ぶのは不可避だと覚悟したのだが、意外な場所から制止の声はかかった。


 「……待って…ましろ」

 「ん?どしたのソフィ。」

 

 チラッと俺を見たソフィは少し微笑んだ。もしかしてフォローしてくれるのか?


 「……ユキノは……ロリコンだから仕方ない…」

 「フォローでも何でもなかった!?違うから!俺ロリコンじゃないから!!」

 

 必死に弁論していると唐突に下からくいっと袖を引っ張られる。ふと見ると、謎のしょうz…いや違うか、謎の幼女が悲しそうなつぶらな瞳で、こちらを見上げていた。

 

 「…お兄ちゃん、私のこと嫌いー?」


 お、お兄…ちゃん……ぐっ…ぐっはぁあああああああ!!!!?回復魔法でダメージを負う奴の気持ちが分かった気がした!!可愛すぎr…はっ!?

 

 暁はソフィと神崎を近くに呼び、手をパンパンッと大きく叩いた。


 「これよりユキノを、ロリコンかどうか私達三人のジャッジメントが判断します!まずソフィから!」

 「……全世界ロリコン大賞受賞しても……おかしく、無い…」 

 「どんな大賞だ!!」

 「被告人は黙ってなさい!」

 「……くぅ…」 

 「では次に、愛佳はどう思いますかっ!」

 「そうですね…ロ○きゅーぶしかアニメは見ない人と同じくらいなので…難しいですね…」

 「それもうロリコンって言ってるようなもんじゃねぇか!!」

 

 ちなみにあの中では、袴田ひなた派である。


 「えーでは…最後に私からユキノさんに質問したいと思います。」

 

 少し睨むように暁はこちらに顔を向けてきたので、思わず身を引き締める。


 「3秒以内で答えよ!…小学生は?」

 「最高だぜ!…はっ!!………」

 

 ヤバイ…反射的に言ってしまったぁ!!誰だよ昨日再放送流したの!?…いや、見た俺が悪いんですけどね!

 

 「……………」


 息が詰まるほどの沈黙の後、暁たち女性陣は、一糸乱れぬ動きで右手を下に向け、左手で右の上腕の辺りの服を横に引っ張る。



 「「「ジャッ○メントですの!」」」

 「すみませんでしたぁ!!」


 全力で頭を垂れる。土下座もしたいのだが、あいにく謎の幼女はニコニコしながら抱きついているのでそれは出来なかった。

 暁は呆れながら幼女を見る。

 

 「んで…その子から本当に…何やってんのよ?」

 「俺に聞くなよ……ねぇ本当に君は何やってるの?」

 

 幼女は頬をすりすりと服に押し付けながら、天使の笑みで


 「えへへー…お兄ちゃんー…大好きー!!」


 ……なん…だと…!?…もう、俺は…いいのかな…これで…

 暁はこちらにつかつかと歩み寄ってくると、俺から幼女を取り外しにかかる。


 「もうっ!こっちはユキノの為に剣手に入れなきゃいけないんだから!いい加減にしてよね!」

 「あ痛ててててててていってーえぇなっ!!無理にはがすな!背骨が持たないだろーが!!」

 

 幼女は必死に俺にしがみつき、暁がその幼女の腕を取って力任せに剥がそうとするので、背骨が通常の逆に曲がっていた。

 不意に幼女はムッとした顔を暁に向けると、あからさまな敵意を向けた。


 「あなたみたいな意地悪で小さい【存在】なんか!いらないもん!お兄ちゃんの【存在】の方がお腹一杯になれるし!おいしいもん!!」

 「なに訳の分からないこt…!!!」


 暁は何かに驚くような顔で、後方に大きくジャンプしてさがる。


 「皆さがって!!」


 ソフィと神崎は、暁が退避した場所まで走る。…な、なんだよ?何があったんだ?


 「このピリピリするやばそうな感覚……あなたは何者なの!?」


 先程までのふざけていた雰囲気の暁は既に消え、真剣に相手を探るように幼女を見つめる。

 それに対する幼女はぷいっと


 「やー!!意地悪さんには教えてあげないもんー!」


 暁はピクッと眉を震わせながら俺を見る。聞けって?……はいはい聞きますよ。


 「ねぇ君、君は一体だれ?」

 

 なるべく機嫌を損ねないように話しかけたが、幼女は暁への反応とは打って変わってえへへー、と百パーセントの笑みを向けてくれた。


 「えへへー!私はーお兄ちゃんが欲しいものー!!」

 「は?…それってどういう…」


 暁のジトーッとした容赦ない視線が突き刺さる。いやどういう意味の視線ですか…


 「ごめん、もっと詳しく説明できる?」

 

 幼女は、甘いいい香りを漂わせながら続ける。


 「うん!…えぇとねー…私は『代償の剣』だよー!!」

 「……え?…ど、どういう?」

 

 いや聞き間違いだろうか。それともからかっているのだろうか?だって剣って人じゃないよね?

 

 「えへへー!!だーい好きー!!新しいお兄ちゃんマスター!」


 ……この最強ロリ妹属性の幼女は何を言っているのだろうか。


 「いや、剣って…君どう見てもぉお?!」

 

 俺が彼女の姿を確認しようと見た結果、いきなり彼女の体は七色の光の帯び始め、やがてその渦に飲み込まれていった。


 俺が強くなれる可能性。

 暁の隣に居続けられる可能性。

 学園の頂点に立てる。可能性。

 

 光の渦はゆっくりと奔流が収まりはじめ、それは顕現されていく。 

 まず、全てを飲み込まんとする程の漆黒の(つか)が、そのから徐々に、限りなく無色で透けるほどに白い刀身が伸びていった。

 剣は見えない糸で導かれるように空中を奔り、呆気に取られていた俺の右手にスッポリと収まった。

 剣は中身が詰まってないとでは?、と思わせるほどに、羽根のように軽く持ってる実感が掴みにくい。


 「えへへー…お兄ちゃんの【存在】!とってもおいしいのー!!」


 剣からさっきの幼女の声が響く。…マジかよ。この子が…『代償の剣

』つかさっきから【存在】ってどういう意味だ?

 というか……待てよ?……現状…俺強くなったか?

 

 「なぁ一回、剣振ってみていいか?」

 「うん!!いいよー!」

 

 ブンブンと適当に横に振ってみる。…ただの…剣だな……


 「なぁ…君…『代償の剣』ってとっても強いって聞いたんだけど…」

 「うん!私とっても強いのー!!えへへー!あ、でもー…今は【存在

】を最小限にしか食べて無いから強くないよー…」

 「その…さっきから【存在】って言ってるけど…それはなに?」

 

 剣幼女は、コホンッ!と言いながら説明に入る。可愛い。


 「えーとねー…全部の生命はねー【存在】っていうものを持っていてねー…普通は限りがあって、おいしくないのー…でもー!お兄ちゃんはその【存在】を無限に持ってるのー!そしてお兄ちゃんのはとってもおいしいよー!」



 「…ユキノが…無限に…持ってるもの?」


 ソフィは首をかしげながら考える。

 神崎はむむむと頭を抑えながら、……やはり首を傾げる。

 

 「ユキノさんにしか、無限の【存在】は無いのですかね…」


 暫く皆の唸りが空間を支配すると、暁がハッとしたように俺を見る。


 「もしかして…【存在】って……命みたいなものじゃないの?」

 

 暁の問いに剣はぷいっと顔を背け…じゃなくて刀身を背ける。

 すっかり嫌われた暁は、若干落ち込みながら俺にアイコンタクトで指示。


 「そういう考えであってるかな?」

 「うん!だいたいそんな感じだよー!!…私は今、お兄ちゃんの【存在】を代償に剣になってるんだよー!」

 

 なるほど…ようは…この剣を使うには、使う主の命を代償にしなきゃいけないから『代償の剣』なのか…

 そしておそらく俺の命は不死身なので無限なのだろう。ふっ…俺も意外と理解力が高いな。


 「じゃあちょっと試したいことがあるんだけど…」

 「なぁにー?」

 「【存在】食べてもいいからさ、もっと強くなることって出来る?」

 「…………え?…いいのー?ちょっとクラッって来ちゃうかもしれないよー?」

 「ちょっとユキノ!?大丈夫なのそれ?」

 

 暁の少し不安そうな声が届くが、大きく頷いておく。


 「問題ねぇよ。俺は死なないから…」

 

 そこまで言うと、暁もようやく頷き返す。


 「よし!食べていいよ!」

 「わぁああああー!!うん!お兄ちゃんを食べちゃうー!いただきまーす!!」


 どうでもいいけど…さっきから連呼されてる、食べちゃうが卑猥な方向に捉えられてもおかしくないと思う。

 

 ト…クンッ…

 

 「っつう…な…なんだこれ…」


 心臓の音が妙に大きく響いたと感じた瞬間、クラクラッと視界が揺れ、全身から力が抜けそうになった。

 感覚的には、貧血みたいな感じだろうか。


 トクンッ……トクンッ…トクンットクンットクンットクンッ!…


 心臓の脈拍数がどんどん上がっていき、マラソンしてるみたいに呼吸が浅く速くなってしまう。

 

 「お兄ちゃん!もう少しだけちょうだいー!頑張ってー!」


 剣が眩い薄七色の光を帯び始める。

 剣を地面に突き立て、思わずひざを突く。


 ドクンッ!


 今までで一番大きく心臓が跳ねた。

 それを最後に、苦しみは嘘のようにひいていった。

 

 「ふぅー…少し激しくなっちゃったー…ゴメンねお兄ちゃん……だって……とっても…おいしかったんだもん……ありがとー!私幸せなのー…」

 

 ヤバイ誰かこの子止めて…会話が卑猥すぎて規制される!体に規制掛けられて言動にもされたら、この子悲し過ぎるから!

 

 「これで…強くなった…のか?」

 「うん!ちょっと試してみていいよー!あ、お兄ちゃん!言い忘れてたのー!」

 「?…なにを?」

 「……【存在】を使いすぎると私は意識とかも食べちゃうからねー!」

 「早く言えよ!!」

 「ぐすっ…ふぇ…ふぇぇぇん!ごめんなさぁぁぁい!嫌いにならないでぇぇぇー!!」

 「あぁもう!分かったから!怒ってないから!嫌って無いから泣かないで!」


 ……三次元の幼女って…難しい…


 「ぐすっ…わ、私のこと、嫌いじゃ…ないー?」

 「…あ、あぁ…」


 俺は暁の視線をチラチラ確認しながら頷く。

 

 「えへへ…私もお兄ちゃん…好きー!!」


 三次元の幼女は難しい?…ふっ…馬鹿言え!可愛ささえあれば関係ないよねっ!


 「うしっ!!じゃあ試してみますかぁ!」

 「うん!」

 

 立ちながら眠るソフィの横で、暁は呆れ混じりに「ようやくなのね。」とため息をつく。

 

 俺はゲームで培った剣の構えをとりあえず真似することにする。

 剣がそれに応えるように刀身が虹色に輝き、それに伴ってずしりと徐々に重くなっていく感覚により、ようやく剣という力の胎動を感じることが出来た。


 「……はぁああああっ!!」


 大きく息を吐きながら、掛け声と共に力の限り剣を振る!!


 たった一振りだった。それだけのはずだった。

 振り切った前方の空間は一瞬大きく歪み、刹那にして激しい衝撃の奔流がうねり狂う。

 

 「おわっ!!?」

  

 自分で起こしたことなのに、驚いて思わず仰け反る。いや、違う…目の前で衝撃波が炸裂し、吹き飛ばされたのだ。


 「うっそ…」

 「……これは…」

 「う、嘘でしょう!」


 暁たちも驚きで目が見開かれている。

 それもそうだ。俺だって信じられない。終わってみれば、部屋の半分以上が吹き飛ばされてんだから。

 暁たちが呆気にとられる中、俺はかつて感じたことの無い感情で満たされていくの感じる。

 やっと…暁の隣に…立てるかもしれない。そう思っただけで自然と笑みがこぼれる。

 この剣さえあれば、俺は暁の隣に立てる!

 

 「…………そういや…君、名前あるんだっけ?」

 「うー?名前?お兄ちゃんにお任せします!えへへー!」


 ………言っておこう…俺はもうロリコンとかそういう次元の話はしてない……

       

 可愛いは正義だ!!





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