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この学園は最強しかいない!  作者: 魔王さん
少年よ!もっと強くなりま章
16/38

待ってろ…あとから絶対にお前らに追いつく!(死亡フラグではありません)

 人生って……進めば進むほどいいって訳じゃない。

 そりゃあ進まなきゃ先に何があるかなんて分からないし、逆に未来が分かってたらつまらない。

 自分の選んだ道で後悔するなってよく聞くけど……そんなこと、絶対に無理だ。人間は後悔してやっと次の道にいけると思うから。

 だが、そんな長い道も…もう、終わりが近づいていた。

 

 「だぁあああああ!!株が大暴落…3万円銀行に払う。無い場合は借金……ついに借金背負っちまった…3万は痛すぎだろ…」

 「ふっふっふ~!ユキノー!人生は非情ですねぇ!」

 「……金は命より重い…」

 「どこのカイジですか?……ユキノさんしっかり!まだこれからですよ!」

 「あと3マスでアガリなんですけど!?どう見ても借金でしか終わんねぇだろーが!!」

 

 俺達は例のヘッドギアをかぶってメディカルチェックを受けながら、4人仲良く人生ゲームをしていた。

 現在アガリはソフィと神埼。暁は俺のコマより若干後ろに居たが、諭吉さん(レプリカ)を異常に所持している弁護士さんになっていた。……くそ、こっちなんて職に就いた4つ先のマスで会社が倒産して仕事失ったのに…

 近くの椅子に腰掛けている保険教師の夏見先生は、呆れるように俺達を見る。

 

 「しっかし…まさか二日連続で保健室に送られてきたのは…君達が初めてだよ……」

 

 暁は照れるように頭を掻く。正式にはヘッドギアをだが。

 

 「いやぁ…褒めても何もでないですよぉ!」

 「いや、褒めてないよ。……まぁ、相手がルシフェルなら納得だけどね。」

 「先生、ルシフェルのこと知ってるんですか?」

 

 俺はつい反射的に聞くと、夏見先生は「一年生以外は多分全員知ってるぞ。」と深く頷く。

 

 「彼、ルシフェルは……幾たびの戦場を越えて不敗……ただ一度の敗走もなく、彼はきっと最強で出来ている…」

 「どこぞの固有結界の詠唱混じってますけど!?」


 士郎かアーチャーに怒られるぞ!

 頭の上からピコーンと軽快な音が響き、夏見先生が「もう外せるよ。」微笑む。

 夏見先生は、全員の機械を回収しながら続ける。

 

 「しかし…彼と闘った後なのに精神の乱れが少ないね…通常は精神不安定に陥って暫く安静にしてなければいけなくなるんだけど…」

 

 …本当に、俺達は凄いバケモンと闘ったもんだな…

 

 「ふわぁ…あぁ………よし!準備万端気合十分元気百倍エネルギー充填率120パーセントぉ!!」


 暁は少し欠伸をした後、勢いよく跳ね上がりながら腕を振り回していた。お前どんだけエネルギー積めるんだよ。


 「…ところで君達は…これからどうするの?」

 「えぇーと…もう放課後になるので帰ろうと思うのですが…」


 俺が答えると、夏見先生が「違う違う。」と、首を横に振る。


 「君達は…これから…どうやってこの学園で過ごすって意味でだよ。」

 

 その言葉を待っていたかのように、暁はニヤリと不敵に笑いながら、人生ゲームのルーレットを指で勢いよく回して加速される。


 「そんなこと…決まってるじゃないですかー!!」


 ぐるぐると回る羅針盤も速度がゆっくりとおちていく。ルーレットが指し示す数字は、最も進める数字である、10だった。

 暁が動かすコマは丁寧に、だが確実にゴールを捉える。


 「私は…いえ…私達は必ず!この学園の頂点に立ちます!!」


 夏見先生は、暁の不敵な顔を見て呆れるような顔でふっと笑う。


 「めげないねぇ。負けたばっかりだって言うのに。」

 「………何度でも立ち上がる……それが主人公補正…」


 ソフィはゆっくりと、だが真剣な眼差しを夏見先生に向ける。

 神埼も暁の腕にぎゅっと絡まると、楽しそうに言い放つ。


 「そうですよ!(わたくし)達が勝つまで何度でも立ち上がって見せます!…ですよね、ましろ。」 

 

 暁は「当ったり前よぉ!!」と大きく頷いて続ける。


 「私達は友情努力勝利がモットーだからね!」

 「何でこれジャンプみたいになってんだ!?」


 ……だけど安心した……こいつらとなら、どこまでもいける気がして。

 なんだか自然に頬が緩んでしまう。…ここに来て…暁たちと出会えて、本当によかった。

 さぁ…立ち上がろう。こいつらと道を歩いていこう。

 ルーレットを指でくるっと回す。

 指し示したものはソフィや神崎、そして暁がいる、ゴールだった。



 ※   ※



 夏見先生は「また遊びにきてね。」と笑顔で手を振って送り出してくれた。それに対して暁も「じゃあね、夏見ちゃん!」と手を振り返す。すっかり友達になっているようだった。


 「さて、あいつに勝つために…頑張りますかぁ」

 

 暁の言うあいつとは、おそらくルシフェルのことだろう。

 

 「じゃあまず、ユキノー…勝つために何したい?」

 「何で俺に振るん…」


 そこまで言ってハッとなる。暁は知ってるのだ。俺が自分が弱いせいで悩んでいることを、俺が暁の隣に居続けたいことを。


 「ありがとう、暁。……俺絶対に強くなって見せるから。」

 「うん!期待してるよ!私のユキノ君!」


 お前の期待点絶対に裏切りたくは無い。

 覚悟を決めた俺達が向かった場所は……



 ドォーンッ!!


 「またまた失礼しまぁーす!!」

 「「「「「「だからドアを壊すなぁああああああ!!」」」」」」


 俺と2年6組全員の叫びが、エヴァでも乗れるレベルのシンクロ率で重なった。

 

 「だから言ってるじゃない!!…そこにドアがあるから壊すのよ!」

 「何度でも言おう!山みたいに言ってんじゃねぇ!!」

 

 情報屋である雷電は呆れるように肩を落とした。


 「んで?今日は何の用事だ?」

 「また情報をもらいに来ましたぁ!!」


 暁は小学生のようにハイハイと手を上げる。

 雷電先輩は「だと思ったよ…」と相槌を打つ。


 「何の情報が欲しいんだ?」

 「ユキノーどんな情報が欲しい?」

 「えぇーと……とりあえず、俺が強くなれる情報なら何でも欲しいです…」

 「ほぅ…何故そんな情報が?…」

 「それは……いっつも暁たちばっかりが闘って…俺が何も出来ないのが嫌なんです。だから…少しでも闘えるようになりたいなって…」

 

 雷電は少し考えるようにあごに手を当て、空中に表示された映像に忙しなく指を走らせる


「なるほどな…………お前は確か…不死身だったよな?」 

 「え?…は、はいそうですけど…なん…」

 「何で知ってるかは聞かなくても分かるな?それは俺が情報屋だからだ。…よし、ちょっと情報を送るから電子生徒手帳を出してくれ。」

 

 言われるがままに生徒手帳を渡すと、赤外線通信のように雷電先輩の生徒手帳と俺の手帳を背中合わせに近づけると、ポンッという音と共に手帳が蛍のようにちいさく光った。

 雷電先輩は俺に手帳を返しながら続ける。


 「先輩…何の情報入れたんですか?」

 

 雷電先輩は俺達を一瞥すると、ふぅ…と息を吐く。


 「………渚ユキノをまともに闘える戦力にしたいんだろ?」


 雷電は確認を取るように全員に顔を向ける。一同は同時にコクリと頷く。

 

 「送った情報の中には、ユキノ次第で理論上学園トップクラスの実力になれる可能性がある。」


 「「「「!!!!」」」」


 一同が驚愕で固まる。………は?つか嘘だろ冗談だろ?何この急展開?!

 そんな思考の追いつけない俺の思考などお構いなしに雷電は続ける。


 「……俺の書いた情報どおりに進めよ。不死身のお前なら…もしかしたら認めてもらえるかもしれない。」

 

 認めてもらえる?何が?何に?どういうことだってばよ?


 「今回はとりあえず、不死身である渚ユキノが強くなれるかもしれない情報を入れておいた。それ以外の奴の為の情報は…また今度ってことでいいか?」

 

 「もちろん!!」

 「………異論…無し…」

 「私はましろがいいなら問題ないですよ!」


 暁たちは笑顔で承諾してくれた。お前ら……


 「ほんっとうに…悪いな…俺のために…」

 「何言ってるのよ!!私は決めてるのよ!ユキノと、ソフィと、愛佳、皆で一緒に頂点立つんだってね!!」

 

 …そっか……お前はそういう奴だったな。

 暁、ソフィ、神崎の順に顔を見る。どの顔もそのつもりらしい。


 「…じゃあ…行きますかぁ!強くなるために!!」 

 「「「ぉおおおっ!!」」」


 送られていた情報には行くべき場所への複雑な地図と、そこに置いてある『あるモノ』の情報が書かれていた。


 ≪ 魔剣NO.999『代償の(つるぎ)


  代償を捧げし者よ。命を捧げることを恐れるな。だが決して捨てるものを間違えるな。  

                           ≫

 

 ……え?…なにこの…ゲームっぽい中二病説明…




 ※   ※   ※



 同時刻、学園長室。

 その部屋の主であるラティアは、何も書いてない本に何かを書き入れていた。

 が、眉がピクリと反応し、ゆっくり本を閉じると、誰も居ない部屋に話しかけた。


 「どう?君にとって彼らは面白かった?」

 「全く、…よく気づけるねぇ…これでも気配は消したつもりだったけどなぁ…」


 虚空にポッカリと穴が開き、その中から漆黒の翼を持つ少年、堕天使ルシフェルが顕現された。

 ルシフェルはピンクのフリフリが目に付くソファにどっかりと座り、苦笑する。


 「まぁ…あいつらの感想を言わせてもらえば………有り得ねぇくらいに……最高だったよ全く!…特にあの暁とか言う奴…あいつの攻撃を受ける時だけ30%も力使わなきゃいけねぇなんてなぁ!!まだアイツの覚醒率は、4%にも達してねぇのになぁ!」

 

 ルシフェルは自分の右手を見ながら、新しいオモチャを与えられた子供のように笑う。

 

 ラティアはそんなルシフェルを見ながら、向かいのソファにドサッとダイブする。


 「君が名前を覚えるなんて、よっぽど気に入ったんだね。……今度あの子達はあの剣を取りに行くらしいよ。」

 「……なんだと?あの剣って…代償の剣かぁ?」

 「そっ……君が手に入れられなかったあの剣」

 「馬鹿いえ、死にかけたんじゃねぇよ。俺には合わなかっただけだ……くっふふふふ…あはははははははははははははぁ!!…楽しみだよぉ!あいつ等との闘いがぁ!」


 学園長室は暫くの間、笑いに満ちた空間と化していた。

 

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