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その4
ルーのところと同じようなバルコニーが続く中で、人が出ているところがあります。リーナはそこへ箒を近づけました。
「おはよう、ミスター」
リーナが声をかけたのは金髪の巻き毛の人でした。瞳がきらきらしてる人です。
「やあ、リーナ。君は、今日もマダムに似て美しい、暗黒のブラックホールのようだよ」
この人はどうしていつも同じ意味の言葉を二回使うのかしらとリーナは思っていました。
巻き毛の人は相変わらずきらきらしています。
白い歯までもが輝いています。
「ねえ、ミスター。あなた、それが増えたりしないのかしら?」
「どれだいハニーハニー」
「それよ」
「どれだい? ああ、どうして君や君のママはこう謎めいているんだ、マイスウィートスウィート」
「増えちゃえ」
リーナは巻き毛の人に向かって杖を振りました。彼は瞬きを三回して巻き毛を三回かきあげました。
「ボクに魔法のマジックの魔法をかけたのかい? 甘いスウィートチョコレートレディ。…ああ、ボク何か変だよ、変だ、変」
恍惚の表情を浮かべる巻き毛の人を置いて、リーナはその上の上の上の階のバルコニーに降り立ちました。