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その1
リーナの住んでいる世界は、とっても愉快な悪魔さんと、生真面目な人間さんと、そうじゃない人間さんと、色々な人間さん、そして動物植物さんが仲良く、仲良くなく、暮らしている、そんな世界です。
時に食って食われちゃうような世界です。
リーナの住んでいる街は円形の地形を持つ世界の、一番中心に近い場所に位置しています。
ちなみにその世界の他は全て海です。
その海がどこまで続くのか、人々は知りません。
悪魔は知っているらしいです。
ところでその街は、ドーナツ状に穴が開いた湖を拠点にしたとてもにぎやかな街です。商業が発達し、他の町との交易も盛んで、街自体も古く歴史があるため美しい外観を保っていました。
街は煉瓦造りで、家々はサンタさんがやってきそうな煙突を必ず持っています。
勿論、サンタさんは実際にはやって来ません。
この世界のサンタさんはそんなに暇じゃないのです。
サンタさんがけっして入らない煙突は人々の、おそらくほとんどが居間の薪ストーブに直結しております。
リーナは、今、そのストーブの上でスープを煮込んでいるところでした。