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❄*1st -高1




「君、名前なんていうの?」



この言葉を何回掛けられたことだろうか。


高月こうづき紗和さわと言うと、いきなり呼び捨てされたり。


そして1つのクラスに女子は1人。


理数系であるからだろうが、とても心寂しかった。


同じクラスの男子が、こちらをちらちら見て、授業にまともに集中できない。


休憩時間になると忽ち周りに男子が集まった。


可愛いとか言われても、全然嬉しくなどないし、馴染むことがなかなかできなかった。


そして私はいつの間にか保健室ばっかり行くようになっていた。


保健室の先生、矢野やの先生はこの学校で唯一の女性教師で、私の話にも親身に聞いてくれた。


昼休みになると必ず保健室に行くのだ。


昼休みのチャイムが鳴り、私は席を立った。



「紗和、また保健室?」


男子から話しかけられても軽く頷いて足早に向かった。



保健室の扉を開いて、矢野先生はいつも通りにこやかに笑って椅子に座っていた。


「失礼します…」


ここまではいつも通りのはずが今日は少し違った。


「あ、紗和ちゃん。今日はちょっとベッド空いてないのよ…」


ここの保健室のベッドはふわふわしてて、ここで昼休みいつも寝るのが日常だった。


私は空いてないことを知らされて、俯いた。


すると、不意にベッドのカーテンが開いた。


「せんせ、俺もう大丈夫なんで。高月、使え」


ベッドで起き上がっていたのは、生徒会長の三瀬みつせ疾風はやてだった。


「あ、か、会長…体調悪いんだったら良いんです。ただ寝に来ただけですから」


私は遠慮気味に足を引いた。


すると会長は頭を掻いて立ち上がった。


「いや、良いんだ。もう十分寝たし。ふあぁあ…良く寝た良く寝た」


いつも走り回って注意を叫んでいる会長だし、疲れているんだろうな…。


少し心配に思い、会長を見てみると、ばっちりと目が合った。


「ん、大丈夫だっつってんだろ。俺、仕事あるし、どうせ行くから」


そう言って、私の頭を撫でた。


背が大きくて大きな手のひらに撫でられて、少し照れてしまう。


「さ、じゃあ、矢野せんせ、寝かせてもらってありがとうございました」


「良いのよ。またいつでも来なさい。あなたはいつも頑張っているから…」


「じゃ、また来ようかな。高月とも、もっと喋ってみたいしな」


「…えっ」


まさか、そう言われるとは思ってなくて驚いてしまった。


ん…?ていうか、あれ?


「何で私の名前知ってるんですか?高月って…」


「ん?当然だろう。この学校で数少ない女子の名前ぐらい覚えてる」


「そ、そうですよね」


私はつまらない質問をしてしまったと顔を赤らめた。


「それにお前、可愛いからな」


さらっと恥ずかしいことを言われさらに顔が赤くなるのが自分でわかった。


「こらこら、紗和ちゃんを口説かないの」


矢野先生は、会長の背中を扉へ押し出した。


「お仕事頑張りなさいね」


「はいはい」


会長はだるそうに手を振って出て行った。


「紗和ちゃん。寝て良いわよ。今日も疲れたでしょう?」


「まだ男子と話すこと慣れなくて…」


「そのうち、すぐに慣れるわ。私だって、この高校初めて来たときは暑苦しい男子ばっかりでうんざりしてたけど、今はとても楽しいもの」


「そうですよね…じゃ、少し寝ます」


「おやすみなさい」



すぐにふかふかのベッドの上で眠りに着いた。






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