獄潰し ~ラブコメ的出会いについて~
軽い気持ちで読んでください、何度も何度も読み直したりしてはいけませんよ。
獄潰し ~ラブコメ的出会いについて~
時雨「はぁ、僕もラブコメ的な出会いがしたいなぁ」
賢治「へぇ、どんなのだい」
時雨「そりゃあ、ほら、こういった屋上とかあの青い空から女の子が降ってきたり、曲がり角でぶつかったりそんなのかなぁ」
賢治「………空から女の子が降ってきた事さ、一回だけあったよ」
時雨「え、嘘っ。どんなのだったの」
賢治「あれは、やられるともう………ね、心に残っちゃうくらい。救急車とか警察とかいろいろと来て大変だったよ」
時雨「いやっ、もう言わなくていいからねっ」
賢治「それと、曲がり角でぶつかったこともあったよ」
時雨「………一応聞くけどさ、どんなの」
賢治「出会いがしらの衝突、女性の運転している車と」
時雨「ははぁ、そこからラブロマンスが発展したんだね」
賢治「いや、普通にひき逃げされてさぁ、あと十分遅れていたら危なかったでしょうって言われたよ」
時雨「…………ネガティブだなぁ」
賢治「君が適当すぎるんだよ、大体、そんな出会いが実際にあるわけないって」
時雨「むっ、夢見るぐらいいいじゃないか」
賢治「もう高校生だから子供じゃないでしょ。夢を見るのは子供だけ、白昼夢見てちゃいろいろと支障が出るよ」
時雨「まぁ、そうかもしれないけどさぁ」
賢治「そういえばさぁ、この前一人の男性で実験したんだけど」
時雨「唐突に話が変わったね」
賢治「いやいや、つながってるよ………それで、その男性はいたって普通の人で、まぁ、若干チャラチャラしている人だねぇ。一カ月十万円渡すって約束でとある実験を行ったのさ」
時雨「どんな実験………あ、わかった、暗がりに閉じ込めて一カ月過ごさせるってやつでしょ?あれ、やると人の心が壊れる………」
賢治「そんな変な実験しないさ」
時雨「じゃあ、どんな実験したの」
賢治「十体のうち、自分の好みのマネキンを選ばせて一緒に生活させる」
時雨「へ………」
賢治「男性には普通に生活してもらうが、実験の事は誰にも言わない、マネキンを人として扱う、マネキンと話すときはしっかり目を見て話すってところだね」
時雨「………」
賢治「最初はまぁ、お金のためにやっていたんだろうけど半分過ぎた時点で男性の目がなんだろうねぇ………ツカレテイルって感じだったのが印象的だったなぁ」
時雨「つ、ツカレテイル………あ、ああ疲れている、ね。そうだよね、マネキンなんかと一緒に暮らしてそんな実験したら疲れるよねぇ」
賢治「そっちのツカレルじゃあないけどね。まぁ、既に十万円前金として払っていたから引き受けてくれたんだけど………最後は逃げられたんだよ」
時雨「ははぁ、やっぱり耐えられなかったんだね」
賢治「ううん、手紙を残していてさ、『他のマネキンが窓から俺を見ている、きっと俺の事が好きなんだろう…だけど、俺は明美の事が好きだから、駆け落ちしますって』逃げられちゃったのさ」
時雨「………それがオチなの」
賢治「駆け落ちだけに………ね。あ、ちなみに明美って言うのはそのマネキンの名前だから」
時雨「なんだかそんな話あったような気がするなぁ………」
賢治「でもまぁ、時雨君も恐れ多い事をするよねぇ、君、彼女がいるだろ」
時雨「え」
賢治「とぼけちゃってぇ、ほら、あそこに」
時雨「ええっ」
たーたーたたー、たーたたたー
亜美「お父さん、お母さん、私をここまで育ててくれてありがとうございます………」
時雨「あ、亜美ちゃん………あの、なんでそんなウェディングドレスなんて着てるの………」
亜美「もう、やだぁ、あ・な・た……が買ってくれたんじゃない、うふっ」
時雨「ええっ、僕知らないよ。それと、あなたなんて呼ばないでよっ」
亜美「わかったわ、だ~りんっ」
賢治「時雨君、よかったじゃあないかっ。ほら、意外と近くにラブコメ的な出会いがあるだろう」
時雨「いや、まぁ、確かにそうかもしれないけど………亜美ちゃんはちょっと怖いから遠慮したいな、なぁんて……あははは………」
亜美「………そういえばあなた、この前一緒に歩いていたあの女子高生は誰なの………」
時雨「ひいっ、ほ、ほらっ………え、ちょ、ちょっと、それはケーキを切るためにあるやつだよっ………ぎゃああああ」
賢治「まぁ、これもラブコメにありがちな展開だなぁ………もっとも、ラブはあるけどコメがない………でも、大丈夫っ、ラブ・コメった(困った)って事にしておけば面白くなくてもラブコメだからっ………あ、ラブ・コメったっていうのはコメを困ったとかけていてですね………」
時雨「いちいち説明するのは痛いと思うよ………うわ、また来たっ」
亜美「あなた、しっかり説明してもらうからっ」
賢治「いや、二人とも落ち着くんだ、オチ、つくんだ(作るんだ)………あ、オチ、つくんだというのは落ち着くとオチを作るんだをかけて………」
時雨「だから、説明してたらだめでしょ」
亜美「待って、私がオチを作るわ………」
時雨「え、出来るの………」
亜美「ええ、オチを作る………略してオチる」
どんっ
時雨「って、僕が落ちるのぉぉぉぉぉ」
亜美「そう、主人公はオチを作るのが仕事っ」
賢治「一概には言えないでしょ」
――――――――
蕾「あ~あ、空から運命の人でもやってこないかしら」
吏子「いや、ないでしょ」
時雨「ごはっ」
蕾「お兄ちゃんっ」
吏子「……ふ、降ってきた………」
時雨「よ、よし、これでオチた………はず」
さぁて、こういった短編に感想をいただくというのは結構難しい、まぁ、感想がほしくてやっているわけではないのですが、感想をもらってエンジンがかかり、次の作品の栄養源となるのは当然ですけどね。ここがよかった、駄目だったというのがあれば出来るだけ感想を頂けると嬉しいです。よろしくお願いします。