2話 ワイ、美少女に拾われる
「ここは、どこだ、、、、?」
気がつくと俺は見知らぬ草原で横たわっていた。
「さっきまで俺はマンションの屋上で飲んでて、、、それで、そうだ。上から落っこちたんだ、、、。ここは一体?。」
目の前の光景は現実とは思えなかった。21世紀の日本とはかけ離れた、中世ヨーロッパのような田園風景が確かな存在感をもって広がっていた。
(遠くに見えるあれは、、、城か?まるでドラ⚪︎エみたいだ。なぜこんな所に俺はいる?訳がわからない。)
立ち上がって辺りを散策しようとした瞬間、膝裏を棍棒でぶん殴られたような衝撃が走った。
「痛ってえええぇェェ!!!」
それもそのはず。振り向くと棍棒をもった奴が立っているのだ。
(子供のような体型。醜悪な顔つき。緑色の肌。こいつ、まさかゴブリンって奴か!?)
「テメェ何すんだ、このハゲ!痛てぇじゃねぇか!!」
「なんだお前、意外と元気だなぁ。ギシャシャ!!もっと痛めつけてやる!」
(いや喋れるんかい!やばい、なんかやる気になってるぞ。こっちはもう限界だっつーのに!ゴブリンにも土下座とか通じんのかな、、、)
「そこまでよ!!」
俺の腰の角度が限りなく鋭角になろうとしていたその時、馬に跨ったブロンド髪の美少女が颯爽と現れた。
「ギシャシャ!!今度は女か!お前も俺のペットに、、、ゴグェ!!!」
一瞬だった。馬がゴブリンの傍を通り過ぎたと思った時には、奴の首は血潮を吹き出しながら宙を待っていた。
(彼女がやったんだ、、、。見えなかったが、腰に腰に帯びている剣で居合斬りのように瞬時に首に跳ね飛ばしたんだ。)
少女は馬から降りると、剣についたゴブリンの血をハンカチで拭きながら俺に近づいてこう言った。
「私はラーミアよ。あなた見た感じこの近くの人じゃないわね。どこから来たの?」
(俺はこの世界について何も知らない。下手な嘘はすぐにバレるし、逆効果だろう。)
「何も分からない。少なくともこことはまるっきり別の世界だ。」
「なるほど、、、貴方”転生者”ね。この国では初めてなんじゃないかしら?珍しいこともあったものね。足を見せて。歩ける?」
「いや、全然力が入らない。ワンチャン折れていそうだ。」
(転生者?もしかして異世界転生的なやつか?)
「この先の村に私の家があるわ。そこで治療しましょう。待ってね、今馬に乗せて連れて行ってあげる。」
ラーミアは軽々と俺の身体を持ち上げて馬に乗せると、バイクの二人乗りのような形で自分の胴体に俺の腕をしがみつけさせた。
「貴方、名前は?」
「矢部健。ヤベケンとでも呼んでくれ。」
「そう、ヤベケンというのね。よろしくね、ヤベケン。」
ラーミアの家に向かう途中、足の激痛で朦朧とした意識の中、俺は取り留めもないない思いにとらわれていた。
(この世界に俺の知り合いは1人もいない。道を歩けば棍棒を持ったゴブリンが襲ってくるし、この先どうなるかも何も分からない。だが一つ確かなのは俺はもう研究で悩まされることはないだろう。理不尽な教授もムカつく先輩もここにはいない。俺は新しい人生を歩めるんだ。)
ラーミアの髪の匂いを嗅ぎながら俺は眠った。




