16話 それが私への態度なの?
「ここを開けろ!! ノエル!! 開けろ!!」
「……何これ」
門の前に行けば、暴れるマゼンを全力で止める門番の姿が。
伯爵家の次期当主候補がみっともない……
この姿をラブメアやお父様に見せたいくらいだわ。
「ノエル!? よかった、俺の言葉が届いたんだね!!」
「届いたというか、耳障りだっただけですけど」
「ほんと、そうだね」
マヌケみたいに喜ぶマゼンの顔が鬱陶しく感じる。
早く終わらせましょう。
ここの人達にご迷惑をかけ続けるわけにもいかないし。
軽く頭を下げた後、私達二人とマゼンの会談が始まった。
勿論、勝手に中へ入れるワケにはいかないので、門と門番を挟んでの立ち話になるが。
「なんだこれは!? 俺もそっちに行かせろ!!」
「マゼン伯爵。申し訳ないですが、ここはファニング侯爵家の領地です。勝手に外部の人間を私有地に入れるワケにはいきません」
「ふざけるな!! これは俺とノエルの問題だ!! 関係のない人間は引っ込んでろ!!」
エリスさんの対応をマゼンは無視し、それどころか汚い言葉で追い出そうとする始末。
仮にも侯爵家に仕える人間に対する発言ではないでしょ……
エリスさんの今の地位がどれ程かは知らないけど、相手の家にお邪魔する際は執事やメイドだろうと敬意をもって接するのがマナーなのに。
まさかラブメアの家に行った時も同じような態度を?
……考えたくないから次に進もう。
「これは想像以上だね……」
「申し訳ございません。まさかあれほど品位にかけた人間だとは……」
少なくとも出会ったばかりの頃は最低限の礼儀はできていたのに。
これが彼の本性なのだろうか。
「マゼン様、ここまで来たという事は何か要件があるんですよね?」
「あぁ、そうだ」
ま、大体の予想はついているけど。
私と婚約破棄をしたせいで、辺境伯との繋がりが絶たれてしまったからだろう。
伯爵家にとって辺境伯家という深い繋がりは大きな武器だ。
成り上がる為にも、より多くの縁を得る為にも重要だった。
相手が傷アリの私だとしても。
それが絶たれた今、伯爵家は上流階級との交流が難しくなり、地位や経済的にも追い詰められている状態だ。
(愚か……本当に愚かね)
マゼンはなんとしても私を取り戻したい。
だって愛するラブメアと一緒にいたいんだもの。
「ノエル喜べ!! 今戻ってくれば、僕との婚約破棄をなかったことにしてやるよ!!」
「「は?」」
だが、マゼンの口から発せられた言葉は悪い意味で想像以上だった。
明らかに上から目線で、
お願いするのはマゼンの立場なのに、
反省の様子や謝罪の言葉すらないというお粗末な内容。
たった数秒の出来事なのに、私とエリスさんは思わず呆れた声をだしてしまう。
それくらい、マゼンの態度はありえないし理解できなかった。
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