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12話 愚かな罪を重ねて

side:マゼン


「何故だ!! 俺はラブメアと会いたいだけだ!!」


 門番に阻まれてマゼンが騒ぎだす。

 自身の正当性を主張しながら、強引に前へ進もうとするが門番は許さない。


「お帰りください、今の貴方とラブメア様は釣り合う存在ではありません」 

「釣り合わない……? どういう事だ!!」

「貴方はもう、辺境伯ではありませんから」

「は……」


 そのまま押し出され、倒れた所を門番達によって槍を突きつけられる。


 一歩後ずさるマゼン。

 冗談のような現実だと始めは思った。

 しかし、兵士達の対応や辺境伯では無いという現実が、マゼンの胸の奥に刺さる。


「だがラブメアは関係ない!! ラブメアー!! ラブメアアアアアアアア!!」


 尚も騒ぎ続けるマゼン。

 この現実は嘘だと否定するように。

 

 この後、半分くらい呆れた門番達に拘束され、そのまま領地へと返されてしまった。


 ◇◇◇


「この阿呆が!! 勝手に婚約破棄をするなぞありえん!!」

「ぐぅ!?」


 そしてオルクス家の領地に戻ったマゼンは父親から怒りの拳を喰らった。


「お前が伯爵以上の権利や行動を起こせた理由が分からんのか!? ああ、余計な仕事が増えるではないか」

「まさか、ノエルのおかげ……」

「そうだ。あの傷アリ令嬢が持っていた、名ばかりの地位のおかげだ!!」


 自分の愚かさをようやく理解したマゼン。

 

 マゼンが伯爵家出身にもかかわらずラブメアと交流が持てたのは、ノエルという辺境伯令嬢との関係があったからだ。

 

 家は伯爵。

 でも実質的な立場は辺境伯。

 政略結婚によって得られた立場や地位はマゼンや伯爵家に多くの利益をもたらせた。

 

 しかし、婚約破棄をしてしまった今、マゼンの地位は伯爵へと戻る……


「辺境伯と同等の立場として得られた関係や取引はどうなる!? お前の勝手な行動が、我が伯爵家を追い詰めたのだぞ!!」

「そ、それは……あのノエルが醜いから……」

「割り切る事もできんのかお前は!!」


 再び殴られるマゼン。

 

 父親もノエルという辺境伯令嬢としての価値を高く見ていた。

 いくら傷アリと言えども、その地位は本物。

 

 だからマゼンとの政略結婚をしたというのに。

 その計画も全て終わった。


「クソッ……ノエルめ……!!」


 だがマゼンの頭の中にはノエルへの強い憎しみが湧き始めていた。


 ラブメアといたいのに、

 ノエルなんかと過ごしたくなかったのに、


 我がままで自分勝手な被害妄想。

 愚かな伯爵家の男は、頭の中にある考えを閃かせた。


「そうだ、僕がまたノエルの元に行けば……」


 あれは不満を爆発させただけ。

 だからもう一度やり直さないかと。


 父上にも失望され、身に余る立場を失ったマゼン。

 

 今の彼には、ノエルと仲直りして辺境伯の地位を取り戻そうという浅はかな考えしかない。


「くくくっ……あははははは」


 あまりにも醜い。

 ノエルがマゼンを受け入れるワケがないのに。

面白かったら、ブクマ、★ポイントをして頂けるとモチベになります。

m(_ _)m

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