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高飛車令嬢クラリス、颯爽登場!

穏やかな陽射しが降り注ぐ中庭で、セシルとエリスは昼休みのひとときを過ごしていた。セシルは満面の笑顔で持参したハンバーガーを頬張り、エリスはそんな彼女の姿を微笑ましく眺めつつも、内心では気が気でなかった。


(今のところ平和だけど……こういう何も起こらない時間の後に、大抵波乱は訪れるんだよね……)

エリスがそんなことを考えていると――不意に足音が響き、場の空気が一変した。


「ごきげんよう、庶民の皆さま?」


上品な声音とともに現れたのは、金髪を綺麗にカールさせた高飛車な美少女――クラリスだった。彼女はゲーム内でヒロインに嫌がらせを仕掛けるライバルキャラであり、名門貴族の娘だ。


「えっ、だ、誰ですか?」

セシルはキョトンとした顔でクラリスを見上げる。

(セシル、無邪気に聞くんじゃない!ゲームを知っている私からすると、この子は超危険人物なんだから!)


「ふん、ご挨拶ね。私はクラリス・フォン・ローゼリア。この学園の中で最も高貴な女性と言っても過言ではないわ」

クラリスは優雅に髪をかき上げ、鼻を高くして名乗る。

「へぇ~、すごいですね! じゃあ、高貴な人って普段どんなことをしているんですか?」

クラリスは一瞬きょとんとしたが、すぐに自信たっぷりに答える。

「当然、庶民には到底理解できないような、気高く品位ある振る舞いをしているのよ」

「へぇ~! 例えば?」

「例えば……格式高い社交界での交流や、礼儀作法、貴族としての教養を身につけているのよ」

「へぇ~! つまり、お話したり、お勉強したりするんですね! なんだか、私たちとやっていることは意外と変わらないんですね!」

(待ってセシル! その純粋な反応は最悪のスイッチを押すやつ!)

「……何ですって?庶民と貴族を一緒にするなんて…あなた、私を侮辱するつもり?」

クラリスの眉がピクリと動く。

「えっ!?そ、そんなつもりは全然なくて、本当にすごいなーって思ったんです!」

セシルは慌てて手を振って弁解するが、クラリスの不愉快そうな表情は変わらない。

「ふん……まぁいいわ。あなたのような庶民に私の高貴さを理解しろというのは無理な話だったわね」

クラリスは冷たく微笑みながら、セシルを見下ろす。


(うわぁ、ゲーム通りの高飛車ムーブだ……ここでセシルが何か言い返したらイベントが悪い方向に進んじゃう!何とかしなくちゃ!)

エリスは素早く思考を巡らせ、できる限り穏便に済ませるため、微笑みを浮かべながら口を開いた。


「クラリス様、ごきげんよう。私たちはただ、中庭で少し休憩していただけでして――」

「まぁ、庶民風情が優雅にお茶なんて、滑稽なものね。せいぜい貴族の真似事をして楽しみなさいな」

クラリスの嫌味たっぷりの言葉に、エリスの笑顔が少し引きつる。


「ありがとうございま――」

「クラリス様、何か怒ってるます?」

セシルがまたしても無邪気に尋ねてきた。

(セシル!? そういうことは、心の中だけで聞いておこうね!?)

クラリスの目が鋭くなり、エリスは心の中で悲鳴を上げる。

「ふふ、怒ってなんかいないわ。ただ、私は学園の秩序を守るためにここにいるの。あなたたちみたいな庶民がこの学園に通えるのも、私の寛大さのおかげなのよ」

クラリスは冷たく微笑みながら言い放つ。

「わぁ、寛大なんですね!すごいです!」

セシルは心底感心したような声を上げる。

(……褒めるところじゃないでしょ)


「クラリス様って貴族なんですよね? じゃあ、やっぱりお城に住んでるんですか?」

「……まぁ、そうね」

クラリスは少し困惑しながらも答えた。

セシルはエリスの袖を引っ張りながら期待に満ちた目で見上げる。

「……セシル、それは無理だから」

エリスは冷や汗をかきながら、小声で現実を突きつける。

「ふふ、庶民には無縁の世界よ。あなたたちが私の城に足を踏み入れることなんて、夢のまた夢ね」

クラリスは得意げに笑う。


(なんでこんなに疲れるんだろう……普通に中庭でお茶するだけのつもりだったのに……)


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