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03.ひとあんしん

「 落ち着いたかしら? 」


お姉さんが子守歌のような歌を歌い終えるとゆったりとそう聞いてくれた。


「 はい、ありがとうございます。ぐずっ。 」


言葉通り、おかげさまで少し落ち着きを取り戻した私は魅惑のふわふわぼでぃーから顔を上げてお姉さんを見上げた。そうすると、優しく微笑んでくれたお姉さんが先ほどまで座っていた段差に戻してくれて、そこに落ち着いた。


「 大丈夫?のぼせてない? 」


「 たしかにすこしあつくなってきたかも、 」


「 じゃあ体だけ先に綺麗にしちゃいましょうね 」


そういって、洗い場まで私を再度抱き上げて運びそのまま、石鹸で綺麗に洗ってくれた。わたしを洗い終わった後に、自分の体も洗ったお姉さんともう一回お風呂に浸かる。


「 それじゃあ、さっきのお話しの続きをしましょうか。まずは、私の自己紹介からするわね。

私の名前は、エマよ。この星の調停者と呼ばれる存在で、貴方の新しいお母さんです♡

急なことで戸惑うと思うけれど、貴方を愛して守ると約束するわ。これからよろしくね♡

よければ貴方のことで、覚えていることを教えて頂戴?」


「えと、わたしはちきゅうでは21さいで、だいがくせいっていうがくせいで、ともだちがりゅうがくにいっていたくににあそびにいくためのひこうきにのっていたのがさいごのきおくで、かぞくはおとうさんとおかあさんの3人かぞくで、それから、えーっと、、」


「 大丈夫よ、慌てなくて良いの。これから時間はたっぷりあるんだもの、いきなり私と家族と言われてもすぐに受け入れることは難しいでしょう。ゆっくりと家族になっていけたら嬉しいわ。 」


微笑みながらそう言ってくれるお姉さんの言葉はどうしてこんなにも心にしみるんだろうか。独特なその間合いが心地よくスッと私の心に入ってくる。いきなり家族になるだなんて言われても意味が分からないし、しかもこんな綺麗なお姉さんがお母さんだなんてもっと意味が分からない。


私にはちゃんと家族がいたのに、。


いきなり貴方は死にました。だから、これからこの世界で暮らしていきます。なんて言われても全然受け入れられないよ、、。


でもたしかに、彼女となら穏やかな家族生活が送れるんだろう、と納得してしまう。そう思わせる何かがお姉さんにはあった。


「 あなたを神様につれてきてもらったのはね、私の調停者という役割を引き継いでくれる適任者が必要だったからなの。このお仕事は適性がある者しかなれなくて、その器が貴方だったのよ。 」


「 ちょうていしゃ? 」


「 簡単に言うとこの星のバランスを保つことがお仕事かしら。自然現象も、生物たちの争いも、あらゆる事象においてこの星の生命バランスを保つことが私たちのお役目。それぞれの星は、星を管理する調停者と調停者を管理する神様がいることで成り立っているのよ。 」


なるほど、、。大分分かりやすくお姉さんはまとめて話してくれたんだろう。私をこの星に連れてきた理由は分かった。


だがしかし、ここで疑問に残ることがいくつかある。それは、何故この星の中でその器を持った者を見つけなかったのかということだ。


多分だが、今の話から推測するに、違う星の人間を連れてくるのはその星の神様と調停者とやらとの連携が必要となり、自分の星から探すよりも面倒なことなのではないだろうか?


第二に、自然現象さえもバランスを保つといったが、そんな超能力的な力が備わっているのだろうか、この狐の体に?だと、、


うーん、全然何にも感じたりできないけど本当にそんな力あるのかな?


「 そのちょうていしゃのうつわになるひとはこのほしにはいなかったんですか? 」


「 それがね、本来であれば調停者は神様が1から作り上げる存在なのだけれど、1から作り上げる時間がないのと、神様のお力がだんだん弱まってしまっていることが原因で作り上げることができなかったのよ。

けれど、違う星の者がこの星に渡ってくるときに神様のお力をまとわせることでこの星での魂に染め上げることで段階を省略して調停者の器を作ることができるの。これがこの星にいる者で行おうとすると、この星にその者の魂がなじんでしまっているから新しくまっさらな状態ではないということで、調停者の器として作り上げることができないのよ。難しくはなってしまったけど大体こんな感じの理由ね 」


ふむふむ。なるほど、そういう事情から地球から私が来た訳か。まあ、そこで何で私が選ばれたのかとかまだ疑問は残っているけど、、


もうそろそろゆであがりそうだ!


「 なるほど、ありがとうございます。あの、、そろそろあつくなっちゃって、、 」


「 あら、ごめんなさいね。そろそろ上がりましょうか♡ 」


そうして、また抱き上げて貰い先ほどの脱衣所まで移動する。そこでまたお姉さんが、「(スミ)」と呼ぶと、さっきの忍者お姉さんが音もなく現れて私たちをタオルで拭き、服を着せてくれる。


いや、本当にお姉さんは一体何者なんですか??


さっきから、よく分からない話の連続でもうそろそろ子のよく分からない状況にも少し慣れてきた気もする。そうして、着替えた私たちはスミさん?の先導で中華風なのか和風なのかよくわからない廊下を歩き、居間のようなところへ案内された。


そこには、一本の木から切り出したであろう黒壇の机と座布団にクッションのようなものがあり、奥には先ほどのような大自然が広がっているがその手前にはガラスのような膜みたいな何かがあって通気性が良すぎるといった心配はなさそうだ。


そうして、お姉さんに座布団に座らせて貰い落ち着くと、スミさんがお茶とお茶請けをこれまた音もなくいつの間に取りに行ったんだ?という具合で持ってきてくれたと思ったらまたいつの間にか消えていた。


うん、やっぱり彼女は忍者なんだろう。そう心の中で納得した。


「 その姿の貴方もとっても愛らしいけど、やっぱり人間の形の方が生活はしやすそうね~ 。」


そう言いながら、私の口元に飲み物とお菓子を運んでくれた。この姿では、カップの中のお茶をなめるのも一苦労だしお菓子もうまく持ちづらい。そうだよ、なんで人間の形じゃだめだったんだ!


「 わたしはいっしょうこのすがたなんですか、? 」


そう恐る恐る聞いてみると、


「 いいえ、そんなことはないわよ?ほら、 」


そういって、お姉さんが頭をふらっと横に振ると何ということでしょう、愛らしい狐のような耳が頭に生えたではありませんか。思わず、口を開けたまま呆然とお姉さんの新たな耳に視線が釘付けになってしまった。


「 貴方も成長すれば私のように人型をとったり、耳や尻尾も自在に出し入れすることができるようになるわ 」


「 ほんとですか!? 」


先ほどよりも妖艶な雰囲気を漂わせながらお姉さんがそう教えてくれた。


それはなんとありがたいことだろうか!目を覚ましてからこの短時間の間ではあったが、こちらの世界での私の人生?狐生?はもう一生狐の姿なのかもしれないと決意を固める寸前であったが、お姉さんの言葉で一気に希望が見えてきた。


やはり人間そう簡単に、人としての形を手放すことはできない。なんたって、生活がしづらいし手元の作業が圧倒的にしづらそうだ。


ああ、よかった。これで、この星での生活に対する不安が一つ消えた。成長したら、という点が年齢的成長なのか、能力的成長なのかは義慰問が残るが人型になれる未来があるというコトが分かっただけでも安心感が大分違う。


そうして、また頭を緩く振ると狐の耳と尻尾が消えて先ほどの姿に戻っていた。


「 貴方の人型もいまからたのしみね~、きっと世界で一番可愛いに違いないわ♡ 」


わたしのお母さんは親馬鹿なのかもしれない。嬉しいと思う反面、そこまでの気体に自分が答えられるのか分からず不安もよぎる、が落ち着かなくて思わず照れ笑いをしてしまう。


「 さっきの疑問もあるだろうし、落ち着いてきたから神様と少しお話ししましょうか。 」


そういって、おもむろにお姉さんが何かの祝詞のような歌のようなものを唱え始めた。え、ちょっとまって!神様ってそんなノリで呼んでも大丈夫なの!?とか、聞きたいことはいっぱいあるけど、自分の頭の中でも整理し切れてないから待ってほしい!


とかいろいろなことを思いながらも ”ふわっ” という効果音が似合うような優雅な仕草でその人?は目の前に現れた。

ああ、この人は確かに神様なんだろうなっていうのは、明らかに人間離れした美貌となんか分からん神々しさから理解した。


「は~い!僕が神様です!」


うん、見た目と中身が合ってないタイプの神様なんだろうなっていうのが神様との初対面の印象であり、その見解が概ね変わることなくわたしはこの後の生を過ごしたよ。







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