02. お姉さんはおかあさん?
お姉さんに話しかけて良いのか分からない私が黙ってお姉さんを伺っていたら、くすっとこれまた上品に微笑まれてしまい、お湯にのぼせたわけでもないのにゆでだこのようになってしまった。
「 貴方本当に可愛いわね~、貴方のような娘ができて本当に嬉しいわ♡ 」
ふふっとこれまた女神のような微笑みを貰い私のHPは大ダメージを食らったわけだが、聞き逃せない単語があった。
「 "むすめ" ?」
「 そうよ~、私の後継者がそろそろ必要になったから、神様に娘をくださいなとお願いしたら貴方を連れてきてくれたのよ 」
えーっと、?時を戻そう(キメっ)
いやいやそんなことしてる場合じゃなくて、どうしよう、もう何から聞いていいのかわかんないけどとりあえずこのお姉さんは私のお母さんなのか、、ん?
「 えと、おねえさんはわたしのおかあさんなんですか? 」
「 ええ、そうよ♡ 」
こういうときはアレだ、犯罪者でも正しいことを指摘すると逆上してくる特徴があるから核心には触れずに穏便に聞き出した方が良いパターンか?
「 わたし、さっきまでひこうきにのっていたとおもうんですけど、、 」
「 ああ、地球の乗り物の話ね。あなたはね、その乗り物の事故で向こうの世界で一度死んでいるのよ 」
「 ええ !!! どういうことですか!!」
どうゆうことだ!? 死んでる!?
これはあれか! 死んで起きたら異世界転生という定番のパターンなのか!?
たしかに、人間以外に生まれ変わる場合もあったが自分が読んでいた作品の過半数が、悪役令嬢に転生だの、自分がやってたゲームのアバターに転生だのだったし、こんな見覚えのない世界観全くもって知らんぞ!?
「 う~ん、そこら辺の詳しい話は私も神様から伺ってないから後で一緒に伺った方が確実だと思うわ 」
「 かみさま?? 」
「 そうよ~、私たちが今いる星の神様よ 」
そういえばさっきもお姉さんが神様にお願いして~みたいなこといってたな。
てことは何だ?
その神様が死んだうちをこっちに連れてきて、子狐の体にした原因ってことなのか?
「 かみさまとおはなしできるんですか? 」
「 できるわよ? そんなに頻繁にお話しさせていただくことは難しいけれど、貴方に関することでのお伺いなら大丈夫だと思うわ。だから、お風呂から上がったら一緒に伺いましょう?
それよりも、貴方について教えて頂戴♡これから家族になるんだもの、貴方の好きなことや地球でのこといろいろ聞かせてほしいわ♡ 」
「 えーと、なまえは、、、え?、、おもいだせない、、 」
「 あ、名前についてはあちらの世界で一番大切なものだからこちらへ持ち込むことはできていないと思うわ。それ以外のことは思い出せるでしょう? 」
そうなのだ、自分が通った小学校から大学に至るまで全ての記憶が自分が記憶していた限り多分全部思い出せている。なのに、自分の名前はおろか、家族や友人に至るまでの一切の名前だけがまるで煙に巻かれているかのように思い出すことができない。
思い出したいのに、『あの子』が私の方を振り向いて笑って呼びかけている。
『あの子』はなんていっているんだろう、そして、あの子の名前はなんだろう。
「 あらあら、大丈夫よ。まだ落ち着かないのね、こっちにいらっしゃい。 」
そういって、お姉さんがお湯に浸かったまま私を抱き寄せて子守歌みたいなのを歌ってくれた。
ああ、わたしは泣いていたのか。だって、悲しいじゃないか、悔しいじゃないか。『あの子』に1年ぶりに会うために、飛行機に乗っていたのに会えないまま自分が死んだとか聞かされてさ。
挙げ句の果てには、大好きな『あの子』の名前も思い出せないんだ。
あー、やっぱり元の世界には帰れない系かなー。
そりゃそうだよな、今までの異世界転生も元の世界に帰りたいムーブ出してるのはごく一部のキャラだけだったし、他は大体楽しんでる人とか多めだったし。現実、自分がなってみるとやっぱり帰りたいって思うんだな~。とか、ここで過ごしていたらそういう郷愁も薄れるのかな、と考えながらお姉さんのふわふわぼでぃーで少ししんみり考え事をしちゃったよ。




