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第55話 極限砲撃戦!グレイシャル・テンペスト・バスター


轟音とともに、ヴァルザークの装甲が開き、内部の異形の機構が露わになる。肉と金属が融合したその姿は、すでに”魔物”の枠を超えた異形の存在と化していた。


「アニメでこういう敵も居たっけな……」


マコトは思わず息を呑む。ヴァルザークの全身から吹き出る蒸気が、ただの蒸気ではないことは明らかだった。


「これが我が究極の力、魔械融合形態マギア・インテグレーションだ」


ゼファルドの声は、どこか満足げだった。


「過去の戦闘記録、そして精霊を操る能力……すべては解析済みだ。貴公に勝機などない!」


次の瞬間、ヴァルザークの腹部が開き黒紫に輝く球体が露わになる。球体に禍々しい瘴気と魔力の奔流が凝縮されていく――


虚晶崩滅砲コラプション・ストーム、発射――!!!」


瘴気と蒸気を圧縮して膨大な魔力を超高熱線にして打ち出す、ヴァルザークの最大最強の火力。

 

「これはヤバい――!!」


マコトは機体を急旋回し、ギリギリでその直撃を避ける。しかし、爆風の余波が周囲の地面を抉り取り、瓦礫が宙に舞う。強烈な衝撃波で回避したはずのライオカイザーが吹き飛ばされる。


その余波は都市の外壁まで届き、防衛軍も一部が衝撃で吹き飛ばされ、戦場はさらに混乱を極めた。


「……あの砲撃、まともに食らったら終りだな」


マコトは額の汗を拭いながら、ヴァルザークの動きを冷静に観察する。だが、圧倒的なパワーを前に、突破口は見えなかった。


「……マコトさん、ヴァルザーク(あいつ)の再生能力の分析ができたわ!」


通信越しに、フィオナの声が焦燥感を帯びる。


「ヴァルザークの自己修復はあくまで魔物、生体部分が中心となっているの。生体部分の活動を一気に停止させられればそれ以上再生はできない筈よ……!」


フィオナの言葉にマコトは拳を握りしめる。


「そうか、冷気の力を最大限に発揮できれば……!」


「そう……凍らせて修復機構を停止させると同時に一気に全身を砕く、それしかないわ!」


アイリスが驚いたように叫ぶ。


「さっきの物凄い砲撃、きっとまた撃ってくるんだよ!?アレをもしマトモに喰らったら……!」


「分かってる、だけど……やるしかない!!」


マコトは操縦桿を握りしめる。

 

しかしその間にもヴァルザークの砲口にエネルギーが収束し、圧倒的な熱量が戦場を包む。


「何をしようと無駄だ、虚晶崩滅砲、魔力最大充塡(フルチャージ)……!!」


ゼファルドの宣告とともに、砲口が黒紫の輝きを放ち、瘴気と魔力の奔流がいつでも解き放たれる態勢に入った。


だが、それを見てもマコトの表情に迷いはない。

迷わずレバーを引き、一気に指令を下す。


「……こっちも”最大火力”で迎え撃つ!!蒼装天嵐形態(モード・テンペスト)、起動!!」


その瞬間、ライオカイザーの背部が大きく展開する。


背中に格納されていたフロストバスターキャノンが駆動音を響かせながら上方へと可動し、戦闘モードへ移行。従来の狙撃形態から、大口径の”砲撃モード”へと変形を開始する。


同時に、ライオカイザーの首元から蒼い閃光が迸る。


ヴォルテックスホーンが根元のジョイント部から分離され、可動アームによってスライド移動を開始。通常の槍のような形状から、砲撃モードに最適化された形へと変形していく


ホーンの基部が180度回転し、そのフォルムが大きく変化する。

かつて鋭く尖っていた先端部が、まるで大砲の砲口のような形状へと収束。

スパイラルブースターが展開し、内部で冷却エネルギーと砲撃エネルギーが急速に循環し始める。


砲撃用に最適化された形へと変わるにつれ、ホーン全体がわずかに震え、内部から冷却システムが稼働していくのが伝わってきた。


「エネルギーライン、フロストバスターキャノンと接続開始──」


ヴォルテックスホーンが移動し、フロストバスターキャノンの砲口へとドッキングする。

滑らかにスライドするように接合されると、装甲の隙間から青白いエネルギーが脈動し、

冷却装置と砲撃システムの統合が完了したことを示していた。


「冷却システム、全回路同期完了──砲撃形態、固定!」

 

ドッキングした瞬間、キャノン砲全体が通常の2倍近い長さへと拡張され、

より強大なエネルギーを放つ”超大口径冷凍砲”としての最終形態へと進化を遂げる。


砲身全体から氷の粒子が舞い散り、霜が張り付き始める。

機体内部の冷却装置が限界まで稼働し、圧縮された極低温のエネルギーが

ヴォルテックスホーンへと流れ込んでいく。


ライオカイザーの全身が冷気の波動を放ち、砲口から蒼い冷気が溢れ出す。


戦場の気温が急激に低下し、まるで吹雪が巻き起こるかのような異常気象が発生する。

霜が大地を覆い、敵味方の機体すらも凍りつきそうなほどの冷気が充満する。


「全システムリンク完了──蒼装天嵐形態への完全移行を確認!」


マコトはレバーを強く握りしめる。


「これで……決める!!」


ライオカイザーの背後には、凍てついた嵐が吹き荒れ、

その姿はまるで”氷の神獣”のように荘厳な光を放っていた──!!


ヴァルザークの砲撃が放たれる。


膨大なエネルギーが螺旋を描きながら疾走し、灼熱の奔流が戦場を飲み込もうとする。


「名残惜しいが、ここまでだ。消え去ってしまえ――!!!」


ゼファルドの叫びとともに、破壊の波動が炸裂する!


しかし──


「いくぞ……!!」


マコトが叫び、砲口をヴァルザークへ向ける。


「グレイシャル・テンペスト……バスターァァァ!!!!!」


ライオカイザーの砲口が閃光を放つ。


超圧縮された冷凍エネルギーが放たれ、氷嵐を纏った極限の光線がヴァルザークの砲撃と衝突――

灼熱の奔流と、氷嵐の閃光が激突する。


瘴気と蒸気が入り混じった超高熱と嵐を纏った極寒の冷気がせめぎ合い、戦場の大気がねじ曲がる。

吹き荒れる衝撃波が地面を削り、瓦礫が空へと舞い上がる。


「……まだだ、俺のロボット愛はゼファルド(お前)なんかに負けやしない!!!」


マコトがさらにレバーを引くと同時にスロットルを吹かし、ライオカイザーの全出力を解放する。


すると、氷嵐の光線がじわじわとヴァルザークの砲撃を押し返し始めた。


「な、何――!? バ、バカな……!計算ではこのヴァルザークが貴公の機体に負ける筈が……!?」


ゼファルドの動揺した声が響く。


「アンタは確かに凄いよ、俺の技術を模倣して魔物を利用した生体ロボットを作り上げるなんて……」


その瞬間、グレイシャル・テンペスト・バスターがヴァルザークの砲撃をさらに押し返す。


「だけどな、アンタはまだ分かっちゃいないんだ。ロボットを動かすのは計算だけじゃない……心が、魂が必要なんだ――!!」


ヴァルザークの胴体が一気に凍りつき、破裂音とともに全身へと冷気が広がっていく。


「心だと……魂だと……!?そんな下らぬ物が、必要だというのか!?ぐっ……!貴公の言葉、理解できん――!!」


ゼファルドが苦悶の叫びを上げる。

砲撃がヴァルザークの胸部を貫通し、その内部が瞬間凍結していく。


ヴァルザークの全身に無数の亀裂が走り、蒸気が漏れ出した。自己修復システムは機能せず、氷結が機体全体に広がっていく。


「な、なぜ……!? こんな……こんなことが……!!」


ゼファルドの叫びが虚しく響く。

ヴァルザークの巨体が軋み、凍結が完全に装甲を覆い尽くした瞬間──


──轟音とともに、砕け散った。


ヴァルザークは、戦場の中央で崩れ落ちる。

冷気が吹き荒れ、氷塵が舞い散る中、ライオカイザーはゆっくりと砲口を下げた。


勝負は、決した。

ついに、ライオカイザーとヴァルザークの決戦が決着!

巨大ロボット同士による最大火力の砲撃戦は、王道ロボットバトルの醍醐味を詰め込んだ展開になりました。

しかし、新たな脅威が動き出そうとしています──


次回、第56話では戦いの余波と、さらなる伏線が明かされます!ご期待ください!

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