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第54話 不滅の巨影、ヴァルザークの恐怖


「吠えろ、ライオカイザーッ!!」


マコトの叫びと同時に、ヴォルテックスホーンが蒼白い軌跡を描き、一直線にヴァルザークを貫こうとする。


対するヴァルザークは光学迷彩を展開し、姿を霞ませながら後退──だが、


「そんな小細工で俺を出し抜けると思うな!」


ライオカイザーの両眼が鋭く輝き次の瞬間、回転機関砲が咆哮し、不可視の敵へ正確な弾幕を浴びせた。


弾丸が装甲を貫き、ヴァルザークの肩部が弾け飛ぶ。だが、ゼファルドは動じなかった。


「……なるほど。貴公、思ったよりも腕が立つな」


「そんなの、最初から分かってるはずだろう?」


「ハハハ!確かに……ヴェイラスをも倒した貴公を侮れる筈もない。だが私にとって貴公は恐れる対象ではない、むしろ、“興味深い”観察対象だよ」


「俺は、お前の興味を引くためにここにいるわけじゃない。目的は一つ──お前を……倒す!!」


「本当にそんな事ができると……思うのか?」


ゼファルドの声音が低くなる。ヴァルザークの両腕が展開し、瘴気を帯びたエネルギーが収束していく。


「……巨人を作り上げる技術、戦闘センス、どちも素晴らしい。そしてこの蒸気技術は貴公を模した物……だが、だからこそ貴公は私には勝てん。我が創り上げたこのヴァルザークは、貴様の巨人の力を凌駕するのだからな」


「なら、試してみるか?こっちは何度だって、お前を超えてみせる!」


ブースターを全開にし、ライオカイザーが疾風のように突進。ヴァルザークと激しく激突し、戦場が爆発的な衝撃に包まれる。

ヴォルテックスホーンがヴァルザークの胴体を大きく貫き、致命的な傷を与えたかに見えた。


しかし──


ヴァルザークの装甲が異様に蠢き始める。砕けた金属の隙間から黒い粘液が溢れ出し、それがまるで生きているかのように組成を修復していく。


「そんなバカな……確かに貫いたはずだ……!」


ゼファルドが冷笑を浮かべる。


「見たか? これこそが魔物と蒸気の技術を融合させた”ヴァルザーク”の真価だ。貴公の攻撃は、無意味だったのだよ」


「くっ……!」


「驚くのも無理はない。だが、理解しておけ。これは単なる自己修復ではない。“進化”だ」


ヴァルザークの装甲が元通りになるだけではない。攻撃を受けた部分の構造が、僅かに変化している。


「貴様の一撃、確かに強力だった。しかし、それを受けたことで、ヴァルザークはより”適応”した。次はその程度の攻撃では、通用しない」


マコトは歯を食いしばる。


「つまり、やるたびに対策されていくってことか……面倒な機体を作ったもんだな」


「“面倒”? 貴公にとっては“絶望的”というべきだろう?」


ゼファルドの声には、自信が満ちていた。



「……ダメよ、このままじゃ」


通信越しにフィオナの声が響く。


「マコト、あの再生速度……ただの自己修復じゃないわ!」


「フィオナ?どういうことだ!?」


ヴァルザーク(ヤツ)は、戦場の”魔物”たちから魔力と生体部品を吸収して修復してるのよ! 周囲に魔物がいる限り、何度でも回復するってこと!」


マコトの眉が吊り上がる。


「つまり、コイツを倒すには、まず戦場の魔物を全て掃討しなきゃならないってことか……!」


「その通り!だが貴公はここから離れる事は出来ん、そんな事をすればヴァルザーク()が直接都市を攻撃するからな。そして我が軍勢はまだまだ無数に存在し、現在進行形で都市に侵攻中……最早貴公に打つ手は、無い」


くそっ……数が減らねぇ……!」


戦場の空を駆けるアイリスは長銃(フレア・リヴァイア)をフレアガンモードに切り替えて、炎の弾丸を烈火の如く浴びせ、魔物の群れを次々と撃ち抜き吹き飛ばしていく。しかし、次から次へと魔物の群れが押し寄せ、倒しても倒しても尽きる気配がない。


「防衛ラインが崩れ始めています! もう持ちません!」


魔術師団の一人が叫ぶ。仲間たちの魔力も底をつきかけ、炎の奔流や氷の槍が次第に威力を失っていく。

騎士団も傷を負い、体力も底を尽きかけ全員が満身創痍の状態だった。


「マコト! 早く何とかしないと、こっちはもう持ちそうにないよ――!」


アイリスが歯を食いしばりながら叫ぶ。


その言葉に応じるように、ライオカイザーがヴァルザークへと向かう。


「ヴァルザーク……! お前をここで止める!」


マコトの叫びと共に、ライオカイザーが突撃。ヴォルテックスホーンががブレード状に変化するとヴァルザークに袈裟斬りを仕掛ける。


「……終わりだ!」


衝撃波が戦場を駆け抜け、ヴァルザークの巨体が揺らぐ。だが──


「ふん……まだ理解できんか?」


次の瞬間、黒い粘液が滲み出し、傷口を埋めていく。ヴァルザークは、再び完全な形へと戻った。


「また……かよ……!」


何度攻撃しても、ヴァルザークはすぐに修復される。魔物の群れは未だに減る気配は無く、マコトは奥歯を噛み締めた。


「……どうすれば……!」


その時――

 

「舐めるんじゃないわよ!!!」


雷鳴のような声が響いた。


次の瞬間、巨大な魔物の群れが吹き飛ばされた。まるで疾風の如き勢いで、カーヴェル執政官が戦場を駆け抜け、並み居る魔物たちを次々と屠っていく。


「……カーヴェル!?貴様まだ力を隠していたのか!?」


ゼファルドは戦場に舞い戻ったカーヴェルの戦闘力も計算に入れていた。だが彼はその予想を上回る力を発揮しているのであった。


「久々だったから、身体が温まるまで時間がかかっちゃったわ!まだまだこんなもんじゃないわよ……!!」


戦場の中心でカーヴェルがニヤリと笑う。纏う魔力が膨れ上がり、紫電が空を裂く。次の瞬間空を舞う無数の魔物が塵と化した。


「雑魚はアタシたちが殲滅してやるわ!だから、マコトさんはアイツをブチのめしちゃって――!」


その言葉に、マコトの胸の奥で何かが弾けた。

吹っ切れたようにマコトは目を細める。


「ありがとう、カーヴェル執政官。こうなれば……やるべきことは一つだ!」


ライオカイザーのブースターが最大出力に達し、機体が蒼い閃光となって疾走する。


「終わらせるぞ、ヴァルザーク!!」


「ほう……その覇気、悪くない」


ヴォルテックスホーンが旋風を帯び、ライオカイザーが一気に距離を詰める。ヴァルザークも迎撃体勢を取るが再び一撃を喰らう。

そして再生を開始するが――


(やはり、魔物の供給が減ったことで再生が遅くなっている……!)


マコトは確信し、さらに攻勢を強める。


機関砲が火を噴き、ヴァルザークの装甲を抉る。元素噴進弾発射器が放たれ、敵の関節部を凍結させる。


「これでどうだ!」


ヴァルザークの片腕が砕け、脚も凍りつき片膝をつく。その巨体がゆっくりと沈み──


「……ふふ、面白い。面白いぞ……!」


ゼファルドの低い笑い声が響く。


「確かに、私は未だ貴様ら人間の底力をやらを侮っていたらしい……」


ヴァルザークの内部から異様な音が響く。


「だが、それを超える”絶望”を見せてやろう!」


「な、何だ……!?」


ヴァルザークの装甲が展開し、内部の生体部品が蠢き始める。


機械と魔物の融合が更なる進化を遂げる。


「──魔械融合形態マギア・インテグレーション


マコトの目に映るのは、もはやただのロボットではない。“異形”としか言いようのない、禍々しい巨体。


「貴様に、我が最高傑作の究極の力を見せてやろう!」


ヴァルザークの魔力が収束し、戦場を覆うほどの膨大なエネルギーが渦巻き……その力は一点に凝縮された。


「……ッ!!」


マコトは拳を握りしめる。


「……ここからが本番か」


静かに呟きレバーを引くと、ライオカイザーのエネルギーが急速に高まる。

戦いは、最終局面へと向かう──!

ついにライオカイザー vs ヴァルザークの決戦が本格化しました。ヴァルザークの驚異的な再生能力に追い詰められるも、カーヴェルの活躍で戦局が動き、マコトも覚悟を決めて猛攻を仕掛ける展開となりました。


しかし、ゼファルドもこのまま終わるつもりはなく、ヴァルザークが**“魔械融合形態”**へと進化。次回、最終決戦がついに幕を開けます!


マコトとライオカイザーは、この”進化する怪物”を打ち倒すことができるのか!?

次回にご期待ください!

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