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第53話 超越合体! 覚醒せよ、ライオカイザー!


セレスティア・ノーヴァの防衛線に、突如として嵐が吹き荒れた。


それは、敵が生み出したものではない。ただ一人の人間が戦場に立っただけで、戦況が劇的に変わったのだ。


「アタシがいる限り、この街は落とさせないわよ――!」


カーヴェル・エスパーダが、重厚な剣を片手に魔物軍のど真ん中へと突っ込んだ。


「おおおおおおっ!!!」


防衛騎士団の兵士たちが歓声を上げる。

彼らにとって、カーヴェルは単なる都市の首長、執政官ではない。


かつてアルヴェスタ連邦が魔王軍の侵攻を受けた時、一人で最前線に立ち、祖国を守り抜いた英雄。

それが今、この場で再び戦場に立っているのだ――


「来なさい、このゴミ共!!」


カーヴェルの身体が、雷のように駆け抜ける。


剣閃が空を裂いた。次の瞬間、半径十メートルにいた魔物たちが、一瞬にして消滅する。


ズバァァァァッ!!!


衝撃波が走り、地面に巨大な裂け目が生じる。


その脅威的な戦闘力を流石に危険視したのか、犠牲を厭わず突撃していた魔物の群れが一斉に後退する。


カーヴェルは肩を軽く回しながら、ふっと笑みを浮かべた。


「ふふ、まだまだこんなもんじゃないわよ」


そのまま、彼は瞬時に魔物の群れへと跳躍する。


足が地面を蹴った瞬間、まるで大砲が炸裂したかのような轟音が響いた。

カーヴェルは空中で一回転しながら剣を振り抜く。


「オラァァァッッッ――!!」


衝撃波が炸裂し、魔物の集団が吹き飛んだ。


「流石は“大陸十強”と讃えられるだけのことはあるな……だが、銀獅子も、この国も、そして貴様自身も――全てを滅ぼし、魔王陛下への捧げ物とさせてもらおう!」


カーヴェルの圧倒的な戦闘力を目撃しても尚、ゼファルドはその無機質な表情を崩すことはない。


「さぁ、もう少し暴れさせてもらうわよ!!」


カーヴェルは突進する敵の魔物兵たちを次々と粉砕しながら、一直線に敵陣へ突っ込んでいった。


「すげぇ……」


防衛騎士団の兵士たちが唖然とする。


「あれが……“救国の英雄”……」


「これが……大陸十強……!」


カーヴェルの想像を絶する戦闘力に、連邦軍の士気は限界を超えて高まった。


「総員、執政官殿に続けぇぇ!!」


騎士団が一斉に突撃する。

魔術師団も後方から魔法支援を開始し、防衛軍は一気に攻勢へと転じた。


「……凄い。カーヴェル執政官って、あんなに強かったのか」


マコトは驚きを隠せなかった。

彼は”政治家”としてのカーヴェルしか知らなかったのだから、その反応は当然だった。


「ありがとうございます……これで、心置きなくコイツ(ヴァルザーク)に集中できる!」


マコトは操縦桿を握り直し、シルバレオのエネルギーを最大限に解放した。


「行くぞ、ヴァルザーク……!!」


ヴァルザークもまた、戦闘態勢を取り直し、蒸気を激しく噴出させる。


「フフ……愉快だな。では、続きを楽しもうか」


ヴァルザークが再び姿を消し、光学迷彩の効果で戦場を駆ける。

その瞬間、マコトは腰部の回転機関砲を展開。


「さあ、ばら撒け――!」


冷気を帯びた圧縮空気弾が無差別に撃ち放たれ、戦場の気温が急激に下がり、霧が発生する。

ヴァルザークが自ら発した蒸気の中を移動し、再びシルバレオに不可視の攻撃を放とうとするが――


急にヴァルザークの動きが鈍り、異音が鳴り響いた。

 

「……なるほど。貴様、この霧で我が機体の動力伝達を鈍らせたか」


ヴァルザークの蒸気機関がわずかに軋む。

冷気が機体にまとわりつき、機械部分の動きを阻害していたのだった。


「今だ!!」


マコトは両側面の元素噴進弾発射器を開放。

青白い光を放つ冷気弾頭が無数の煙の尾を引きながらヴァルザークの装甲に命中し、表面を凍結させていく。

しかし――


「この程度で我が最高傑作(ヴァルザーク)を止められると思うのか――?」


ゼファルドが笑う。


次の瞬間、ヴァルザークの全身から高温の蒸気が爆発的に噴出すると凍結した装甲が瞬時に解凍され、ヴァルザークは完全に機能を回復させた。


マコトが息を呑む間もなく、ヴァルザークが跳躍し、拳を叩きつける。

シルバレオが地面に叩きつけられ、衝撃波で地面が割れる。


「……くっ……!!」


このままでは、埒が明かない――


――フロストバスターキャノン。


マコトの脳裏に、最後の手段が浮かぶ。


超高威力エネルギー砲――フロストバスターキャノン。

ヴァルザークの装甲を貫くには、これしかない


だが、問題はチャージ時間。


「フルパワーで撃てば、倒せる可能性が高い……でも奴が大人しく的になってくれる訳がない」


ヴァルザークは光学迷彩を駆使し絶えず高速移動しながらマコトの死角そ突いてくる。

今のままでは標的を捉えきれないのは明白だった。


「……なら、こっちも出し惜しみはしない!」


マコトの声がコックピットに響いた瞬間、シルバレオが不思議な動きを見せた。

機体の関節部が次々と可動し、四肢の先端が折り畳まれながら形を変えていく。

そして──獅子の姿をしていた頭部がゆっくりと胴体部へ沈み込み、新たな頭部がせり上がる。


その瞬間、シルバレオのシルエットが完全に変わった。


四足歩行の獅子型から、二足歩行の人型へ。

機体全体のフレームが再配置され、より洗練されたフォルムを形作る。


「……これは、見事だ……!!」


ヴァルザークのコックピット内で、ゼファルドが興味深げにその変形を見つめた。

その瞳には、驚きよりも純粋な感嘆の色が滲んでいる。


「獅子が人の姿を取るか……素晴らしい機構だ。だが、それが何になる? その小さな姿で、このヴァルザークにどう抗うつもりだ?」


ゼファルドは冷笑を浮かべながら言い放つ。

確かに、ヴァルザークの20m級の巨体と比べれば、シルバレオの人型形態はまだ一回り以上小さい。

だが、マコトはまだ奥の手を全て見せてはいなかった。


「これだけじゃ終わらない……!」


マコトの合図とともに、戦場の上空に二機の機影が現れる。

それはかつてヴェイラスとの戦いで大きく損傷した二体のサポートメカ――ストームレイブンとバスターブロウだった。

以前よりも一回り大きく、力強く、そして焔紅鉱(イグナリウム)輝霊鋼石(アークナイト)を用いたその装甲は以前にも増して強く輝いている。


「まさか……あの時の補助兵装か!」


ゼファルドの目が僅かに細められる。

彼のデータにも記録されている二機――だが、あの戦いで破損し、もはや使い物にならないはずだった。


しかし、マコトは彼らをただの過去の残骸にはしなかった。彼は密かに修理と改修を施し、二体を新たな力として蘇らせていたのだ。


「合体プロトコル起動!パワーリミッター解除!超越合体オーバーエボリューション――!!」


マコトの指令と同時に、ストームレイブンとバスターブロウがそれぞれ変形を開始。

流れるような動きでシルバレオの人型フレームを中心にに接続されていく。


ストームレイブンのパーツが背部と脚部に装着され、バスターブロウのパーツが腕部と肩部へと展開。

機体が徐々に巨大化し、重厚な装甲と新たな武装が各部に組み込まれていく。


そして最後の仕上げ――


右腕にはヴォルテックスホーンが展開し、鋭利な槍のような形状を形成。

背部にはフロストバスターキャノンが装着され、冷気を纏うエネルギーが収束していく。

さらに、全身各所に元素噴進弾発射器と回転機関砲が配置され、新たな火力が備えられた。

そしてグレイシャルバスターの頑強な装甲が全身を覆う無敵の鎧と化す。


「……なるほど、これは全くの予想外だ!」


ゼファルドは低く笑う。

そこには驚愕ではなく、マコトの技術への純粋な敬意が滲んでいた。


「……貴公は自らの積み重ねた理を融合させ、新たな技術を生み出したのか」


合体が完了し、雄々しく聳える巨大なロボット――それは、まさにシルバレオの進化系。


銀獅子の闘志が、人型の巨神へと昇華した瞬間だった。


「これがヴァルザーク(お前)を倒す力……」


ゆっくり息を吸い込むと、マコトはゼファルドに向けて名乗りを挙げた。


「天地を震わす銀の獅子! 吹き荒れる嵐を従え、悪を断つ覇道の王――銀嵐覇王ライオカイザー!! ここに見参!!」


今回はついに、マコトの切り札 ライオカイザー が登場しました!

獣型のシルバレオが人型に変形し、さらに支援機と合体することで誕生する超戦闘形態。まさに「超越合体」の名にふさわしい姿となりました。


ゼファルドのヴァルザークとの決戦もいよいよクライマックスへ。ライオカイザーがどのように戦い、どんな必殺技を繰り出すのか……次回もぜひお楽しみに!

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