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第49話 反撃の狼煙


セレスティア・ノーヴァの街が遠くに見えた時、マコトたちは絶句した。


未曾有の戦場が広がり、防衛線は崩壊寸前だった。


無数の飛行魔物が空を覆い、都市郊外では蒸気機関と虚晶石で強化を施された魔物軍団が戦場を蹂躙している。


「これは……今までとは次元が違うな……!」


マコトはアークティカのスピードを上げながら、戦場を冷静に分析する。


「この様子じゃこの街の防衛線はもう長くは持たないわ。このままではセレスティア・ノーヴァが陥落するのも時間の問題よ!」


フィオナが焦燥感を滲ませた声を上げる。


「急ごう! 俺たちが来たことを知らせて、連邦軍と連携を取る!」


マコトの声に、アイリスが頷く。


「了解! 私が空から援護するから、司令部まで一気に駆け抜けて――!!」


指令室では、連邦軍の指揮官や魔術師団の高位術士たちが必死に戦況を分析していた。

中央には執政官カーヴェル・エスパーダが立ち、指示を出している。


「報告しなさい! 防衛線の状況は!?」


「第三区画の防衛部隊が壊滅! 魔術師団が防衛に入っていますが、敵の飛行魔物の妨害が激しく、支援が届きません!」


「西側の防壁も崩壊寸前です! 魔物が非常に高度な連携を取っており、防衛騎士団を圧倒しています!」


カーヴェルは厳しい表情で戦況を見つめ、拳を握り締める。


「奴ら……こちらの戦力を分析した上で、戦術を組み立てているわね……」


その時、扉が開き、マコトたちが駆け込んできた。


「カーヴェル執政官!!」


「マコトさん、アイリスちゃん、フィオナちゃん! 無事で何よりだわ!」


カーヴェルは安堵の笑みを浮かべるが、すぐに真剣な表情に戻る。


「って再会を喜んでる場合じゃないわね……悪いけど、貴方達にもすぐ動いて貰わないといけないの」


「俺たちもそのつもりです。必ずセレスティア・ノーヴ(この都市)を守り抜きましょう!」


彼は普段の軽妙な態度を押し殺し、指揮卓の上に広げた戦況図を示した。


「今のところ防衛軍は持ちこたえてるけど、敵の数が尋常じゃないわ……このまま防戦一方じゃジリ貧よ」


マコトは戦況図を一瞥し、眉をひそめる。


「以前にも魔王軍と戦ったけど、今回は以前の比じゃない位組織的な動きをしている……各都市を襲撃して防衛軍を分散させたのも、ここに主力を投入するための陽動作戦だったようですね」


カーヴェルは小さく頷く。


「ええ。その上、敵は戦線を維持しながら防衛陣を徐々に削り取る作戦を取ってるわ……つまり、ただの力押しじゃなく、私たちの動きを完全に読んで追い詰めているのよ、肉食獣が獲物を狩る時みたいにね」


フィオナが戦況報告を確認しながら分析する。


「各戦線の崩壊時間のズレを見ると、敵の指揮系統が今まで以上に一貫してるわ……おそらくですが、今回は優れた指揮官が直接統率しているのではないでしょうか?」


「これだけの敵の数に加えてそんなに凄い指揮官までいるの?一体どうやって戦えばいいんだろう……」


アイリスが苦々しく呟く。


「……カーヴェル執政官。貴方はどうするつもりなんですか?」


マコトが尋ねると、カーヴェルは自信に満ちた笑みを浮かべた。


「私って待ってるのは性に合わないのよねぇ。マコトさん達が戻ってくれたからには……こっちから攻めに出るわよ!」


その言葉に、指令本部の士官たちが驚いたように顔を上げた。


「攻勢に出る……!?」


「そうよ。このまま守ってるだけじゃ勝てる見込みは薄い……だったら、こっちから出向いて敵の主力を叩く事で戦況を一気に引っくり返してやるの!」


カーヴェルの目が鋭く光る。


「既に魔術師団と防衛騎士団に作戦の概要は伝えてあるわ。連邦(私たち)の戦力を結集して、敵の指揮系統を分断するのよ!」


指令本部に緊張が走る。


「――具体的な作戦を教えていただけますか?」


フィオナが問うと、カーヴェルは戦況図を指し示した。


「まず、東西の防衛線を維持しながら、魔術師団を南部に回し、敵の前衛部隊に大規模な火力攻撃を仕掛ける。そして、その混乱に乗じて防衛騎士団が突撃。敵の戦線を押し返して一時的に陣形を崩させるのよ!」


「そこまでは分かります……でもこの物量差、それだけじゃ決定打にならない――」


「もちろん。決定打を放つのは、あなたたちよ!」


カーヴェルはマコトたちに真剣な眼差しを向けた。


「敵の後方には、おそらく戦況を指揮している存在がいるはず……そこを叩くのが、あなたたちの役目よ!」


「俺たちが、敵の指揮系統を潰す役目か……!」


マコトが拳を握りしめる。


「これは……やるしかないね!!」


アイリスが頷き、フィオナも決意を固めた表情を見せる。


「私たちに出来ることを全力でやりましょう」


カーヴェルは満足げに頷き、戦場へ向かうよう促した。


「さぁ、行ってらっしゃい! セレスティア・ノーヴァの未来は、あなたたちにかかってるわ!」


「任せてください! 行くぞ、アイリス、フィオナ!」


マコトたちは戦場へ飛び出していく。


セレスティア・ノーヴァの命運を賭けた、反攻作戦がついに始まる――!!

いよいよ圧倒的劣勢を覆す為、大規模反抗作戦が始まります。

死力を尽くす防衛軍、彼らに露払いを任せマコト達は敵陣を直接叩く為に決死の特攻を仕掛ける。

果たして作戦は成功するのか、だが魔王軍にはまだ奥の手が……

次回にご期待ください!

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