表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

5/74

第4話 初陣(前編)

マコトは森の中でそびえ立つ大きな岩を見上げ、スピナーくんの脚先を見つめた。

高さ2メートルほどの岩――小さなスピナーくんにとっては挑戦に十分な難易度だ。

先日で基礎的な動きは出来たので、今日は応用的な動作のテストを行う予定である。


「よし、スピナーくん。この岩を登ってみようか。」


土の精霊の力を脚先に付与することで、誠は新たな指示を試みる。


「土の精霊、脚先に力を込めて、接地面を少しだけ削るんだ。滑らないように足を引っ掛ける!」


スピナーくんは指示通り、前脚を慎重に持ち上げると、岩肌に接地した瞬間、脚先が微かに岩を削る。削られた岩粉がパラパラと落ちる音が響き、脚はしっかりと引っかかった。


「いいぞ、その調子……!」


次の脚も同じように動き、スピナーくんはまるで蜘蛛のように岩肌を這い上がり始めた。四脚が交互に動き、滑ることなく安定して岩肌を登っていく。


マコトはその様子を息を呑んで見守った。岩の途中で脚を広げてバランスを取るスピナーくんの動きは、まさに生き物そのもののように滑らかだった。


「……まるで蜘蛛だな。すごいじゃないか、スピナーくん!」


最後に後脚を強く蹴り上げ、スピナーくんは頂上に到達した。脚をしっかりと広げ、岩の上で安定した姿勢を取る。


「やった! 完璧だ!」


ジャンプでの高所からの安全着地テスト


「さて、登れたなら、次はジャンプで降りるテストだな。」


スピナーくんに指示を出しつつ、今度は風と土の精霊の力を活用する方法を考えた。


「風の精霊、降下中に空気のクッションを作って衝撃を和らげてくれ。そして、土の精霊は脚先を安定させて着地時に滑らないようにするんだ。」


スピナーくんが岩の端までゆっくりと進み、合図を待つ。


「行け、スピナーくん!」


マコトの指示と同時に、スピナーくんが勢いよく岩の上から跳び下りた。風の精霊が瞬時に反応し、脚の下に空気の層が集まり、まるで見えないクッションのように降下の衝撃を吸収する。


「いけるか……?」


誠は息を呑みながら見守る。スピナーくんが地面に触れる直前、土の精霊が脚先をサポートし、柔らかく安定した着地を実現した。


着地したスピナーくんは脚を広げ、姿勢を保ったまま静止する。誠はその完璧な動きに思わずガッツポーズを取った。


「やった! ジャンプも成功だ!」


スピナーくんの四脚が適切に働き、精霊の力によって高所からの着地が無傷で完了したのだ。


「スピナーくん、すごいぞ。これなら岩場だけじゃなく、高所を利用した動きもできる……!」


スピナーくんを撫でながら、その可能性に興奮を隠せなかった。精霊の力と自分の想像力を組み合わせれば、スピナーくんはどんどん進化していく。


「次はどんなことができるんだろうな……。」


マコトの頭に新たなアイデアが浮かび始めたその時、森の奥から遠くに人の叫び声が聞こえた。


「――助けて……誰か……!」


マコトの顔色が変わる。声の方角に耳を澄ませると、それは確かに聞き覚えのある声――鍛冶屋の娘、アイリスのものだった。


「アイリス!?」


その瞬間、マコトは全力で駆け出していた。

 

前後編に分けました。

前編はスピナーくんのテスト、後半はいよいよ戦闘となります、ご期待ください!


良ければレビュー、感想や評価、ブックマークを頂けると大変励みになります!ぜひよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ブクマお願いします!励みになりますので何卒m(._.)m 感想もいただけると喜びます(*´ω`*)
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ