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第40話 暴走する知の守護者

翌日もマコト達は大図書館で情報収集に勤しんでいた。

図書館内部は全てを見る為には一生掛けても足りないのではと思わせる程の広さと、砂浜で砂粒を数えるのに等しい程の蔵書の量であった。

その為一先ずは古代国家に関する文献や精霊に関する記述、魔王軍についての情報を中心に調べる事とした。


朝一番に入館してから、気づけば陽の光が頭上から落ちる時間になっていた。

一度休憩を取ろうとマコトが言いかけたその時――

突然、図書館の奥から轟音が響き渡った。


「な、なになに――?」

 

アイリスが身構える。


続いて、人々の悲鳴と床を揺るがす振動音が聞こえてくる。空気がざわめき、魔法の光球が不規則に揺れ始めた。


「様子を見に行ってみよう!」


そう言って駆け出すマコトに続きフィオナとアイリスも走り出す。


悲鳴が聞こえた方向へ駆けつけると、そこには混乱に陥った大勢の利用者たちの姿があった。そして、その中央には

全身を古代の紋様が覆い、神秘的な光が脈動する物体が、10体失い暴れ回っていた。


「これは……書庫の衛士(ルーンキーパー)?!」

 

フィオナが驚きの声を上げる。


「フィオナ、あれは一体何なんだ?」

 

マコトが敵を睨みながら尋ねる。


「大図書館を守るために設置された防衛装置よ。図書館の秩序を司り、知識を守る“静かなる守護者”……のはずだけど、あの様子だと完全に暴走してる!」

 

フィオナの説明を終える間もなく、ルーンキーパーが図書館内の利用者を排除しようと動き出した。


「マコト!まずはあの人達を避難させないと……!」


アイリスは即座にフェザーを装着すると翼をシールドモードに展開した。大空を舞う鋼鉄の翼は巨大な盾を形成し、周囲の利用者たちを守りながら指示を飛ばす。


「皆さん、こちらへ避難を! 急いで――!」

 

アイリスは次々と襲いかかるルーンキーパーの攻撃をシールドで防ぎつつ、人々を安全な場所へ誘導していく。


「っ、もう少し……落ち着いて、慌てずに!」


彼女は冷静に声をかけながら、重い攻撃を耐え続けた。


「俺があいつの注意を引く! アイリス、もう少しだけ頑張ってくれ!」

 

マコトはバイパー&コブラを装着し、ルーンキーパーの正面へと飛び込む。


ルーンキーパーの両腕に相当する部位には尖った槍の穂先のようになっており、次の瞬間――そこから魔力の塊が何発も勢い良く発射される。

咄嗟にマコトは横へ飛び、間一髪でかわす。


「さながら魔力の弾丸か……!一発の威力は低いけど、何発も喰らえば危ないな……」


遠距離を不利とみて、マコトは返す刀で一気に距離を縮め光る紋様に覆われた胴体部をブレードで勢い良く斬りつける。


ギャリイイィィィィンッッ――!!


風の刃に覆われたブレードはルーンキーパーの胴体を真っ二つにする筈であったが、不快な衝突音がしただけで斬りさくことは出来なかった。

 

「硬すぎる……ブレードじゃ表面を削るのがやっとだ」

 

彼は冷静に敵の動きを観察しながら、次の一手を考えた。


ルーンキーパーは音も無く床スレスレを浮遊しながら移動しマコト目掛けて魔力の弾丸を雨霰と浴びせ続ける。次々と書架は薙ぎ倒され、流れ弾が蔵書を吹き飛ばし、破壊の輪をを広げていく。アイリスが人々を避難させる時間を稼ぐ為、十体のルーンキーパーを相手にマコトは止まる事なく動き続ける。


フィオナはマコトとルーンキーパーの動きを観察しながら、ある事にきづいた。

 

「マコト! 背中に多重魔法陣が刻まれているわ! あそこが制御の要かもしれない!」


「制御の要だって……確かに、そこを庇ってるのか動きに癖があるな――!」

 

マコトは敵の動きを見極め、背中の魔法陣を狙うべく機動力を活かして接近する。


ルーンキーパーは攻撃を仕掛けてくるが、マコトは冷静にかわしながらブレードを振り下ろした。背中の魔法陣を貫いた瞬間、ルーンキーパーの動きが大きく鈍った。


「まだだ!もう一撃!」

 

再度の攻撃で、魔法陣の中心に埋め込まれていた動力源が砕けると、ルーンキーパーは音を立ててその場に崩れ落ちた。

相手の動きを見切ったマコトはブースターを不規則に吹かして複雑な軌道を描く事で的を絞らせない様にしながら、次々とルーンキーパーの機能を停止させていく。


やがて戦闘が終わり、静寂が戻った大図書館。フィオナはすぐに倒されたルーンキーパーの残骸へと駆け寄った。


「これは……動力炉に似た構造ね。ここに魔力を送り込んで制御していたみたい」

 

フィオナは背中の破損部分を注意深く観察する。


「見て……動力源の一部に何かが埋め込まれているわ」

 

フィオナが破片を拾い上げると、それは微かに光る青い結晶だった。


「これ……虚晶石(ヴォイドクリスタル)?!」

 

フィオナは目を見開いた。


「虚晶石だって? それって魔王軍の技術じゃないのか……?」

 

マコトが驚きながら尋ねる。


「そう、虚晶石は魔王軍の固有技術のはず。でもこのルーンキーパーは元々は古代の魔法具。大図書館ではそれを防衛装置に利用しているだけ……どうして古代の魔法具に虚晶石が使われているのかしら……」

 

フィオナの声には困惑が混じっていた。


さらに調べると、虚晶石に外部から魔力を送り込まれた形跡が発見される。

 

「ここに痕跡があるわ……外部から強引に魔力を送り込んだのね。それが暴走の原因だったみたい」


「つまり、誰かが意図的に暴走させたってことか……」

 

マコトは険しい表情を浮かべる。


「でもそれ以上に謎なのは、虚晶石がどうしてここにあるかよ」

 

フィオナは手元の結晶を見つめながら呟く。


「誰かが後から埋め込んだ…とか?」

 

アイリスも驚いた表情で話に加わる。


「ううん、それは難しいと思うわ。古代の技術は未だ謎が多いから……これだけの数のルーンキーパーに誰にも気付かれずに細工を施して正確に暴走させるのは困難よ」


フィオナはさらに考え込む。

 

「(もしくは……そもそも虚晶石は魔王軍が古代の技術を復活させたもの……?)」


一行はルーンキーパーの残骸を調査し終え、図書館の騒動を収束させた。しかし、フィオナは今回の発見が新たな謎を生んだことを確信していた。


「虚晶石の正体が分かれば、魔王軍の動きを掴む手がかりになるかもしれないわ」

 

フィオナは決意を新たにし、ノートに詳細な記録を残した。


「俺たちの知らない所で何かが動いている……これからさらに厄介なことになりそうだな」

 

マコトは静かにそう呟きながら、図書館を後にした。

さりげなくアイリスのフェザーの新形態の登場回でした、戦う鍛冶屋の娘の相棒はまだまだ進化します。

そしてルーンキーパーの暴走、魔王軍の技術と思われた虚晶石が何故古代の魔法具に使用されているのか更に謎は深まります……

そして今後の脅威に備え、マコトは新たなメカを開発する…

次回にご期待ください!


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