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第36話 三章 エピローグ


冷たい風が吹き荒ぶエルドリム大氷原を、アークティカがゆっくりと進んでいく。遺跡の巨大な扉は閉じられ、その入り口も再び雪と氷に覆われ始めていた。


フィオナは後部座席で、名残惜しそうに遺跡を振り返りながら呟いた。


「……すごい場所だったわ。本当に貴重な発見……記録した内容を整理すれば、もっと多くのことが分かるはず」


「そうだな。でも、まだ謎も多い。そもそもこの高度すぎる技術はどうやって誕生したのか……あの謎の機体との関係も……全て解明するには、相当な時間がかかりそうだ」


マコトが操縦席で冷静に答える。


「それでも、何かが繋がりそうな気がするわ。アルカディア・エルドリムの真実が少しずつ明らかになれば……精霊と人間の関係も見直せるかもしれない」

 

フィオナの声には、知的好奇心と強い使命感が滲んでいた。


「まずは村に戻ろう。この場所で手に入れた情報を整理するのが先だ」

 

そう言うとマコトはハンドルを操作し、アークティカの方向を氷原の出口へ向けた。


走行音が響く車内。フィオナはノートを閉じ、隣に座るアイリスへと視線を向けた。少しの沈黙の後、じりじりと距離を詰めながら話しかける。


「ねぇ、アイリス……さっきの戦い、本当にすごかったわ」

 

フィオナの目は真剣そのもので、アイリスの顔をじっと見つめていた。


「……え、そ、そう? まぁ、私も経験積んで大分慣れてきてるからね!」

 

アイリスは少し戸惑った様子で視線を逸らす。


「武器さばきも判断力も見事だったわ。私……あんな風に動ける人、初めて見た」

 

フィオナは微笑みながら、さらに少しだけ距離を縮めた。


「マ、マコトが作ってくれたフェザーのおかげだよ……私は別に特別なことはしてないよ。普通に戦っただけ……」


 アイリスは困惑しながら答える。


「それでも……あの時、私を守るために迷わず飛び込んでくれた。その姿がとても……かっこよかった」

 

フィオナの言葉に、アイリスの顔が一瞬で赤く染まる。


「かっこいい……それは嬉しい、けど……」

 

アイリスは運転席に座るマコトに助けを求めるような視線を送った。


「ん?どうしたんだ?」

 

マコトは淡々と操縦を続けながら、ちらりと二人を見た。


「(ねえねえ……何故かフィオナが凄く距離感近いんだけど!?どうしたらいいの……?」

 

アイリスが小声ながらも切実に言うと、マコトはわざとらしく肩をすくめた。


「(別にいいんじゃないか? 感謝されるのは悪いことじゃないだろう)」

 

軽い調子で返すマコトに、アイリスは少し声を荒げる。


「(それはそうなんだけど……でも何か目線がね、そういうのじゃない気が……する……!?)」

 

フィオナの視線を背中に感じ、ますます慌てるアイリス。


「ふふ、大丈夫よ、アイリス。あまり困らせないようにするから」

 

フィオナは控えめに笑いつつも、心の中ではこう思っていた。

 

(……もっと近づきたいけど、焦らずゆっくりと、ね)


数時間後、一行は来る途中に立ち寄った村へと到着した。小さな村は雪に覆われているものの、暖かな灯りが点々と輝いている。


「やっと戻ってきたわね。ようやく休めるね……」

 

アイリスが溜息をつきながら車両を降りた。


「得た情報を整理しつつ、次の行動を決めましょう。今日のところは一先ず宿でゆっくりした方がよさそうね」

 

フィオナがノートを抱えながら提案する。


「そうだな。連戦続きだったし、流石にここらで一息つくとしよう……」

 

マコトが頷き、アークティカを村の端に停めた。


「さぁ、まずは温かい食事でも取りましょうか」

 

フィオナの提案に、アイリスは安堵の表情を浮かべた。


暖かな灯りに迎えられた一行は、束の間の休息を楽しみながら、それぞれの考えを巡らせていた。エルドリム大氷原で得た手掛かりと、それに続く新たな謎が、彼らの旅をさらに深くしていくのだった。

これにて三章完結です。

獅子型ロボ「シルバレオ」の活躍、いかがだったでしょうか?

竜と獅子のガチンコ勝負、異世界ならではの戦いになったんじゃないかなと思います。

次回はシルバレオの追加装備をまだまだ登場させる予定です、もし面白い案が有れば教えてください。

作中に登場するかもしれません。

次回は幕間になります、謎の敵機の出自が明かされる…かもしれません。

それでは次回にご期待ください!


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