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第34話 敵機襲来

氷嵐の守護神との試練を終え、静寂が訪れた遺跡内。マコトは精霊との契約を果たした証である青白い結晶を手の中に収め、深呼吸していた。


「これが……精霊の力を象徴する結晶なのね」

 

フィオナが興味深そうにマコトの手元を覗き込む。


「精霊の力がそのまま込められている感じだな。でも、下手に使ったらどうなるか……」

 

マコトが苦笑しながら答えると、フィオナが頷く。

 

「確かに契約したばかりだから、慎重に扱うべきね。精霊もそれを望んでいるはずよ」


「ああ、だけど……これで終わりじゃない。この遺跡をまだまだ調べる必要がありそうだ」

 

マコトが気を引き締めた表情で語ると、アイリスが軽く肩を叩いた。


「そうだけど……とりあえずは一息つきましょ?マコトもここまで戦いっぱなしだし、ちゃんと休まないとダメなんだからね?」


アイリスの最高の笑顔からの最高の無言の圧力に、マコトは従う他に選択肢は無かった。


その後一行は遺跡内の広間に腰を下ろし、持参した食料で軽い食事を取りながら周囲を観察していた。壁面には古代文字や絵が刻まれており、フィオナは興味深そうにそれらをスケッチしている。


「この遺跡、思った以上に保存状態がいいわね。壁画も鮮明に残っているし、貴重な資料になるわ」

 

彼女は壁画の一部に触れ、何気なく魔力を込めた。

すると突然、壁画が輝き始める。次の瞬間、立体的な映像が空中に投影され、古代の人々が精霊と共に生活する様子が映し出された。


「これは一体……? 古代の技術がこんな形で残っているなんて!」

 

フィオナが驚きの声を上げる。


「立体映像か……ただの壁画じゃなかったんだな。遥か古代にここまで精巧な魔法技術が使われているとは……」

 

マコトも感心しながら映像を見つめる。


さらに、部屋の中央にある祭壇の様な場所に目を向けると、複雑な魔法陣と精霊のシンボルが刻まれていることに気付く。


「この祭壇もただの宗教的なものじゃないわ。精霊の力を利用した動力制御装置の一部みたい……」

 

フィオナが興奮気味に説明する。


「本当に高度な技術を持った文明だったんだな。封印装置を作れるだけのことはある」


その時――遺跡の入り口側の通路から金属的な足音が複数響き渡った。

 

「なんだ……?」

 

マコトが警戒の目を向けると、薄暗い通路の先に複数の赤い光点が現れた。


「魔物……!? だけど……あれは……蒸気機関!?」

 

マコトの目の前には、逆関節型の二足歩行の物体が複数現れた。しかもその姿は生物的なフォルムを持ちながらも、蒸気機関と魔法具が組み合わさった異質な存在だった。


「こんな技術、一体誰が……?」

 

マコトには、異世界人である自分以外に同じような技術を持つ者がいるとは到底思えないという確信があった。それだけに、目の前の光景に驚きを隠せない。



「あれ……もしかして、マコトが作るのと同じ……ロボット……?」

 

アイリスが未確認の二足歩行体に目を凝らしながら問いかける。彼女の声には驚きと戸惑いが混ざっていた。


「いや、違う……あれは俺と同じの技術じゃない……」

 

マコトは冷静を装いながらも、内心では明確な困惑を覚えていた。この世界で、ロボットのような機械兵器を開発できる存在は、彼以外にいないはずだった。


薄暗い通路から現れた逆関節型の二足歩行体。それは蒸気を噴き出しながら生物のように滑らかに動きいている。

そして関節部分には輝く結晶体が埋め込まれていた。その結晶は不気味な輝きを放ち、どうやら機体全体に魔力を供給しているようだった。


「なんてこと……あれはマコトさんのロボットみたいに生物を模しているんじゃない。生物そのものに蒸気機関や魔法具を組み合わせているのよ……!」

 

フィオナが驚愕の声を漏らす。


「理論的には先ほどの極光竜に近い……でもあれはあくまで精霊と魔法具で動かす純粋な魔術理論の産物だった……目の前のアレとは似て非なる物です!」


「確かに出自は気になる……でも今は驚いてる場合じゃない。来る――!」

 

マコトが叫ぶと同時に、先頭の機体が高速で接近してきた。突進の勢いで石床が砕け、機体のスピードと重量を物語っていた。


「油断するな……!行くぞ!」

 

マコトはシルバレオを起動し、迎撃態勢を整える。ブースターが火を吹き、巨大な機体がその場から跳び上がるように加速した。


逆関節型機体は距離を保ちながら、肩部に搭載された魔力弾発射装置から攻撃を仕掛けてきた。金属と魔力が混ざり合った弾丸がシルバレオに向かって飛来する。


「避けろ!」


マコトが操縦桿を引くと、シルバレオは軽快な動きで弾丸を回避する。そのまま接近しようとするが、敵機は再び後退して距離を取り、射撃を繰り返す。


「くそっ、近づけさせない気か……」

 

マコトは焦りを隠せなかった。敵はおそらく無人機でありながらも、人間のような戦術的な動きで戦闘を繰り広げている。


「アイリス、撹乱を頼む!」

 

マコトが指示を飛ばすと、アイリスはスラスターを全開にし、敵機の周囲を旋回し始めた。



「マコト、ちょっと待って!」

 

アイリスは敵機の周囲を高速度で旋回し撹乱しながらも、その動きを観察して、声を荒げてマコトに声をかける。


「どうした……!?」

 

マコトが問いかける間にも、アイリスは敵機の動作に注目し続ける。


「こいつらの背部と関節部分に埋め込まれている結晶……多分あれがアイツら動力炉よ! 常にあの部分を庇って動いてる――!」


アイリスの声には確信があった。彼女はこれまでマコトと共にロボットを設計・開発してきたことで、機械に対する観察眼が磨かれていた。


「動力炉を壊せば、動きを止められる!」

 

その言葉にマコトも納得し、ヴォルテックスホーンを展開する。


「ありがとう、アイリス! 今度はこっちの番だ!」


しかし、敵機は小型で素早い。極光竜を倒した正面からの突進では捕捉しきれないことを察したマコトは、操縦席で切り替えのスイッチを押す。


「ヴォルテックスホーン、第二形態――!!」

 

巨大な槍状のツノが、右側へ大きくスライドし、鋭いブレードへと形態を変えた。その刃には、先ほど契約した氷嵐の守護神の力が宿り、冷気がまとわりついていく。


「これで素早くても関係ない、纏めて一気に薙ぎ払う……!」

 

マコトがブースターを全開にすると、シルバレオは回転軌道を描きながら敵機へと接近する。



「これで終わりだ――!」

 

マコトの叫びと共に、ヴォルテックスホーンから放たれた冷気が、刃の範囲を遥かに上回る広範囲を覆い尽くした。


冷気は一瞬で辺り一帯の空間を凍結させ、敵機もろとも大地を氷塊と化した。その後、シルバレオが旋回しながらブレードで薙ぎ払うと、氷塊はバラバラに切り裂かれ、粉々に砕け散った。


戦闘が終わり、フィオナとアイリスがシルバレオの元へ駆け寄る。


「すごい……これが氷嵐の守護神の力……」

 

フィオナが息を呑む一方で、マコトは操縦席で険しい表情を浮かべていた。


「この力……強すぎる。扱いを誤れば、敵だけでなく周囲のすべてを巻き込んでしまう」

 

彼はシルバレオの刃を見つめながら、自らを戒めるように呟いた。


「力は使い方次第で災厄にもなるのね、嘗てのこの国みたいに……」

 

アイリスが静かに同意する。


「今後はもっと慎重に使うべきだな。この力を……仲間や無関係なものを傷つけないように」


残されたのは、冷気に覆われた静寂の空間と、バラバラになった敵機の残骸だった。

 

謎の機体の襲撃、そして氷嵐の守護神の強すぎる力を改めて知ったマコト。

今後この力をどう活かすのか。

そして謎の機体の正体は……

次回にご期待ください!

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