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第30話 オーロラドラゴン

遺跡の奥へと続く通路は、冷気に満ち、天井からは無数の氷柱が垂れ下がっていた。足元は凍てついて滑りやすくなっており、一行は慎重に歩を進める。


「外も凄い吹雪で寒かったけど、遺跡の中はもっと冷たいね。まるで別世界……」

 

アイリスがフェザーの防寒機能を調整しながら呟く。


「やっぱりここはただの古代の遺跡じゃない。恐らくは精霊の力をそのまま残してる……」

 

マコトが周囲を警戒しながら、足を進める。


壁には精緻な彫刻が施されており、その中には神話のような光景が描かれている。フィオナが立ち止まり、壁画を指差す。


「この模様……この国の歴史ね。古代の時代の精霊と人間の共存する姿が描かれているわ」

 

彼女は氷を払いつつ、彫刻の中に記された古代文字を読み解き始める。


やがて、一行は通路の先に広がる大きな空間へと足を踏み入れる。天井は高く、壁一面に描かれた壁画が冷たい光に照らされ、宝石のような輝きを放っている。

中央には円形の台座が設置され、その周囲に魔法陣が刻まれている。


「ここは多分、記録の間……アルカディア・エルドリム滅亡の真実が隠されている場所ね」

 

フィオナが興奮を抑えきれない表情で壁画に近づき、解読を始める。


壁画には精霊と共存し、繁栄を築いたアルカディア・エルドリムの歴史が描かれていた。その一方で、後半には凍結災害の光景が描かれ、国家全体が吹雪と氷に包まれる滅びの様子が詳細に記されている。


「この国が氷ついてしまった原因……それは……精霊を制御するために作られた『封印装置』……でも逆に精霊の力が暴走した……?」

 

フィオナが壁画の一部を指差す。そこには巨大な結晶のような装置が描かれていた。


「その封印装置が、今もどこかにあるってことか?」

 

マコトが壁画を見つめながら質問する。


フィオナは頷きつつ、さらに読み進めた。

 

「『封印装置に至るには、極光(オーロラ)の試練を乗り越えよ』……そう書かれています」


「極光……嫌な予感しかしないよ〜」

 

アイリスがハンマーを構えながら警戒を強めた。


記録の間の中央には、大きな多面体が浮いており表面には幾つもの魔法陣が描かれていた。

魔法陣は複雑な紋様を描きながら淡い光を放ち、冷たい霧をまとっている。


「この魔法陣、まだ稼働している……」

 

フィオナが慎重に魔法陣を調べ始めた。


だがその瞬間、遺跡全体が低く唸るような音を立て、床が震え始めた。


「な、何が起きてるの!?」

 

アイリスが声を上げ、すぐにハンマーを構えた。


フィオナが触れた事で多面体の魔法陣が起動した様子だった。多重魔法陣が回転しながら強い光を放った次の瞬間、周囲の空間が急激に拡張されていく。

元々それなりの広間だったが、今は果てが見えない程の広大な氷の空間と化している。


そして何も無い虚空に巨大な骨格が、光に包まれながら姿を現した。

それは……ドラゴンの骨格であった。

しかも唯の骨格では無い、至る所にに古代の魔法具が組み込まれている。その無数の魔法具が光を放ちながら作動すると、骨格の全身を覆う光の膜が形成されていく。

30m近いその巨体が光の膜と分厚い氷の鱗で覆われたその姿は、生きているドラゴンと変わりのない神々しさと屈強さを併せ持つ姿だ。


「我が国の象徴……極光竜(オーロラドラゴン)に己が武勇を示せ……これが記されていた遺跡の……!」

 

フィオナが先程壁画に記されていた「試練」の正体に気づく。


極光竜が低い唸り声を上げ、その瞳が一行を侵入者と認識するように光を放った。骨の隙間から溢れる極光が空間を染め上げ、ドラゴンの全身から冷気を伴った風が吹き荒れる。

 

「アイリス、戦闘準備だ――!」


マコトが叫ぶ。


 (あの巨体相手に|バイパー&コブラ《こいつら》じゃ不利だ……)


「来い、シルバレオ!竜退治(ドラゴンハント)だ―!!」


マコトが収納袋を開き、銀色の巨獣を召喚する。蒸気を吐き出しながら現れたシルバレオは、極光竜と相対する。


極光竜が低い唸り声を上げ、翼を広げて空中へ飛び上がった。その動きは巨体とは思えないほど素早く、一瞬で高高度へ達する。


極光竜が大きく口を開き、冷気と極光を纏ったブレスを放つ。その光線は空間を凍てつかせながら一直線にシルバレオへ向かってくる。


「回避だ――!」

 

マコトが操縦席で叫び、操縦レバーを急旋回させる。

シルバレオが蒸気を最大出力で噴出。ブレスの冷気を中和しつつ、一瞬でその場から飛び退いた。


「なんとか躱せた……けど、この威力、まともに食らうとヤバいな」

 

マコトが冷静に状況を見極めながら攻撃の準備を進める。


シルバレオは瞬時に加速し、巨体でありながらその鋭い動きで極光竜の死角に回り込む。そして、高くブースターの勢いのまま一気に飛び上がり高熱を纏った前脚の爪で極光竜の翼を狙った。


赤熱した爪が極光竜の翼に直撃――

するかと思った瞬間、極光竜はすぐに体をひねり、尾でシルバレオを弾き飛ばす。


空中と地上、極光竜と銀獅子王。

二体の強大な獣の戦いの幕が切って落とされた。

遂に大ボス、オーロラドラゴンが登場しました。

獅子と竜、男の子の大好きな戦いです。

果たして強敵相手にマコト達はどう勝ち筋を見出すのか…

次回にご期待ください!


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