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第29話 氷の守護者


一行が見つけた遺跡の入口は、高さ10メートル以上の巨大な扉だった。その表面は分厚い氷に覆われている。


「これが入口みたいだけど……どうやって開けるの?」

 

アイリスが首を傾げながら扉を見上げる。


「扉の中央に文字が刻んであります。この模様は……古代アルカディア語ですね」

 

フィオナが凍りついた表面を指差し、扉に刻まれた文字を注意深く観察する。


文字の部分だけは氷が薄く、辛うじて読み取れる状態だった。フィオナが指でなぞりながら解読を始め、しばらくして静かに口を開いた。


「『精霊と共に歩むものこそがが偉大なる王国に足を踏み入れる資格がある』……と書かれています」


「精霊と共に……か。となると、やっぱり試してみるしかないな」

 

マコトは扉を見上げ、静かに集中を始めた。


マコトは手を伸ばし、精神を集中させる。すると、手のひらに小さな炎の揺らめきが現れる。それは徐々に形を取り、輝く火の精霊が姿を現した。


「さて、この扉がどう反応するか……試してみよう」

 

マコトは火の精霊に語りかけると、その力を扉に向けるよう促した。


火の精霊がふわりと飛び立ち、扉の表面に触れる。その瞬間、扉全体に複雑な紋様が浮かび上がった。

紋様は光を帯びながら徐々に動き出し、扉の仕掛けが作動し始める。


「見て、扉が……反応してる!」

 

アイリスが目を見開く。


紋様がさらに輝きを増し、扉の表面を覆っていた氷が音を立てて崩れ落ちていく。やがて紋様の光が中心部に集まり、大きな音とともに内部の機構が動き出した。


「なるほど……精霊の力そのものが扉を解錠する鍵だったのね」

 

フィオナが感心したように頷く。


扉がゆっくりと左右に開いていく。重厚な音が雪原に響き渡り、その中から冷たい空気とともに遺跡の内部が姿を現した。


遺跡の内部は一面が氷に覆われ、冷たさと静けさが支配していた。柱や壁には複雑な彫刻が施されており、古代の栄華を物語っている。


「ここまで保存状態の良い遺跡は珍しいですね……まるで時間が止まっているよう」

 

フィオナが感嘆の声を漏らす。


「でも、この空気……なんだか嫌な感じがする」

 

アイリスが周囲を警戒しながら進む。


「この中にはきっと、まだ何かが隠れている。慎重に行こう」


マコトが一行を先導しながら、奥へと進んでいく。


「用心に用心を重ねないとな……アイリス、パワードスーツ着用(アクティベイト)だ。」


「了解、マコト。フェザー、着用(アクティベイト!)

 

アイリスがフェザーを装着する。

関節部が凍結防止の為に外殻に覆われ中には精霊の力で潤滑油が停滞する事なく循環している。

所謂寒冷地仕様――。


「気を抜くなよ。この寒さ、ただの自然現象じゃない。何かいるはずだ」

 

マコトも慎重に周囲を見渡しながらバイパー&コブラの寒冷地仕様を起動する。装甲の各部から白い蒸気が噴き出し、冷気を寄せ付けない防護機能が稼働している。


さらに奥へ進むと、突然、床が震え始めた。低く重い振動が遺跡全体に響き渡り、足元の氷が亀裂を生じさせる。


「何か来る……下からだよ!」

 

アイリスが瞬時にフェザーを纏いハンマーを構えた。


すると、亀裂の中心から氷が隆起し始め、その中から巨大な人型の魔法生命体が姿を現す。

しかも()()()()()()()――!

 

「これは……アイスゴーレム!」

 

フィオナが即座にその正体を見抜く。


巨大な氷の塊が動き出し、二体のアイスゴーレムが形を成していく。全高3メートル以上の巨体が冷気を纏い、赤く輝く瞳がマコトたちを睨みつけた。

そして低い咆哮を上げると同時に前進してきた。


「いきなり二体かよ……! アイリス、援護頼む!」


「任せて――!」

 

冷気をものともしないパワードスーツたちがが力強い駆動音とともに動き出す。


アイスゴーレムの一体が咆哮を上げると、鋭利な氷の拳を振り下ろしながら突進してくる。その一撃は床を砕き、氷の破片が四方に飛び散った。


「思ったより早いな……だが、その程度じゃ当たらない!」

 

マコトはバイパーの補助機能で加速し、一瞬で側面に回り込む。コブラの先端から蒸気を噴射し、高熱のブレードを展開すると、ゴーレムの腕を狙い一閃する。


轟音――

ゴーレムの腕に深い傷が入り、氷の破片が崩れ落ちた。しかし、その傷口から冷気が漏れ出し、再び再生を始める。


「こいつ、回復能力があるのか……! 長期戦になるぞ!」

 

マコトが叫びながら、さらに間合いを詰める。


もう一体のゴーレムがアイリスに向かって突進してきた。彼女はフェザーのスラスターを起動し、軽やかに空中へ飛び上がる。


「今――!」

 

アイリスは空中で旋回し、ゴーレムの背後に回り込むと、蒸気駆動のハンマーを振り下ろした。その一撃がゴーレムの背中を砕き、冷気を含む氷の破片が飛び散る。


「でも……これで終わりじゃないんだよね?分かってる――!」

 

彼女は続けざまにスラスターを噴射し、再び距離を取る。ゴーレムが回復する隙を与えないために、絶え間なく動き攻撃を続ける。


「二人とも!ゴーレムの弱点は魔力を統率する(コア)よ!コアを狙って! 人間で言う肝臓の位置に大きな魔力の流れを感じます!きっとコアはそこにあるわ!」

 

後方で身を潜めていたフィオナが、瞬時にゴーレムの構造を見抜き、二人に指示を飛ばした。


「「了解!」」


それを合図に二人は同時に飛び出した――

アイリスはスラスターで加速しながら二体のゴーレムの胸部を狙い、渾身の一撃を叩き込む。

その衝撃でコアが露出し、冷気が一気に漏れ出し動きが一瞬止まる。


「とどめだ!」

 

マコトがバイパーのブーストを全開にし、高熱のブレードで流れる様にゴーレム達のコアを貫いた。

アイスゴーレムの巨体が瞬く間に崩れ落ち、冷気が霧散していく。


戦闘が終わり、遺跡の冷たい静寂が戻る。一行は息を整えながら、奥へと進む。


「あんな守護者(ガーディアン)がいるなんて、やはりこの場所には……古代国家滅亡の真実が眠っている」

 

フィオナが興奮混じりに呟く。


「だろうな。だが、そのためには更に奥まで進まないとな。」

 

マコトが前方を見据えながら答えた。

 

 

段々と古代国家の姿が見えてきました。

この先には更なる強敵がきっと待ち構えています。

強敵に打ち勝った先に現れる古代国家の真実とは?

精霊の謎とは?

次回にご期待ください!


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