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第27話 銀獅子王、登場

吹雪が少しずつ和らぐ中、アークティカが静かに停止した。周囲は雪に覆われた静寂の世界だったが、目の前には古びた石柱が埋もれていた。

石柱には風化した古代文字が刻まれており、崩れかけた入口がその奥に続いている。


「ここが……アルカディア・エルドリムの遺跡の入口でしょうか?」

 

フィオナが雪を踏みしめながら石柱に近づく。空気は静まり返っており、吹雪の激しい外界とは異なり、この場所だけは奇妙なほど穏やかだった。


「これだけ穏やかな環境だと、魔物にとっても住みやすそうだな」

 

マコトが周囲を見回しながら呟いた。


その言葉が終わる前に、遠くから低く唸る音が聞こえてきた。続いて、吹雪の中から巨大な影が現れる。


吹雪の中から姿を現したのは、全長8メートルを超える巨大な獣だった。獅子のような体に氷のような翼、尾には鋭い棘が並び、体全体から冷気が立ち上っている。


フロストマンティコア(氷霜魔獣)……」

 

マコトがその名を口にすると、魔物は低い咆哮を上げて威圧感を放った。


「なるほど、ここを縄張りにしてるわけか。確かにこんな場所なら、外の寒さよりはマシだろうな――!」

 

マコトは苦笑しながらも、すぐに構えを取る。


氷霜魔獣は吹雪を操るように冷気を放ち、地面を凍りつかせながら一行に向かって突進してきた。


「流石に縄張りにしてるだけあるな……動きが速い!」

 

マコトたちは咄嗟に身を翻し、突進を避ける。


「結構大きいね……気をつけて!」

 

アイリスが警戒を強めたその瞬間、氷霜魔獣が冷気のブレスを吐き、穏やかだった環境が外界を上回るブリザードに変わる。


「こいつは、やばいな……!」

 

マコトは冷静にアークティカに向かい、腰に取り付けた収納袋(シュリンク・スペース)を外した。


「ここは新しい相棒の出番だ! みんな、下がれ!」


マコトが袋に手を入れると、次の瞬間、空間が歪み、収納袋から巨大な機体が現れた。


それは、氷霜魔獣に匹敵する四足歩行の機械獣だった。銀色に輝く装甲に包まれたその体は、鋭い爪と牙を備え、凍結した大地でも確実に動ける設計が施されている。

蒸気を吐き出しながら地面に降り立つ姿は、まるで雪原の王者のようだった。



「すごい……これが新しい(機体)なんだ!」

 

アイリスが驚きと興奮を隠せない様子で声を上げた。


フィオナは一瞬息を飲み、後ずさりする。

 

「もう一匹魔物が……!?いえ、 これも……マコトさんの”ロボット“ですか?」

 

彼女の驚愕は続き、その目には全容を捉えきれない動揺が浮かんでいた。


「そうです、こいつが俺の新しい相棒、その名もシルバレオ(銀獅子王)。寒冷地用に設計した四足歩行型の機体、そして何より……カッコいい!!」

 

マコトが操縦席に乗り込み、機体を起動させる。

重厚な駆動音が雪原に響くと、蒸気を吐き出しながらシルバレオが静かに動き出した。


氷霜魔獣は目の前の異質な存在に威嚇の咆哮を上げると、一気に間合いを詰めてきた。四足で雪を蹴り、巨体を活かした低い姿勢からの突進。

シルバレオも同じく四肢を踏み込み、正面から迎え撃つ。


互いの爪が交錯し、雪が大きく舞い上がる。氷霜魔獣の爪が装甲をかすめ、耳をつんざくような金属音を響かせた。一方で、シルバレオの赤熱した爪が氷霜魔獣の肩を切り裂き、氷の外皮の一部を削ぎ落とす。


氷霜魔獣は反撃とばかりに尾を振り上げる。その動きは予想以上に速く、鋭い棘が風を切ってシルバレオの側面に衝突した。

装甲が軋む音とともに冷気が散り、シルバレオの動きが一瞬鈍る。


「冷気が侵入している……蒸気を回せ!」

 

マコトが操縦席で操作を行うと、シルバレオの関節部から蒸気が吹き出し、凍りつき始めた装甲を熱で溶かしていく。

 


両者は距離を取り、再び睨み合う。

氷霜魔獣は翼を広げ、冷気を撒き散らしながらシルバレオの動きを制限するように足元を凍りつかせた。視界を遮る吹雪がさらに強まり、戦場全体を覆う。


「こいつ、本当に賢い……足場を完全に奪うつもりか!」


 マコトは操縦席で歯を食いしばる。


「その翼が厄介ですね……動きを封じるには、まずそこを狙うべきです!」

 

フィオナが冷静に提案する。


「よし、シルバレオ……突っ込むぞ!」

 

シルバレオが低い姿勢から一気に飛び出し、高熱を纏った爪を振り下ろす。氷霜魔獣も同じく爪を振り上げ、互いの攻撃が交錯する。雪原が大きくえぐれ、周囲に飛び散る。


「まだだ……!」

 

マコトがさらに動きを仕掛けようとした瞬間、氷霜魔獣が突如として方向を変え、翼で雪を巻き上げながら視界を完全に遮る。


「何!? どこに行った……!」

 

マコトが焦る中、アイリスが叫ぶ。

 

「あそこ! 横に回り込んでる!」


氷霜魔獣はシルバレオの死角に回り込み、牙を剥いて襲いかかる。その巨体がシルバレオの側面に衝突し、金属の軋む音が響き渡った。


「くそっ……!」

 

魔獣の冷気がシルバレオの装甲をさらに蝕み始めていた。


「マコト……?」

 

アイリスが不安げな声を上げる。


「大丈夫だ……だが、こいつの冷気は予想以上だ。どうにかして動きを封じないと……!」

 

その言葉とともに、氷霜魔獣が次なる攻撃に向けて再び咆哮を上げた。


雪原には冷気と蒸気が交錯し、戦いの行方は誰にも読む事はできなかった――


新機体、シルバレオが登場です!

ここまでは人型ばかりでしたが、満を持して四足歩行型ロボットの出番がやってきました。

昔から今までゾ◯ドみたいな獣モチーフのロボットが大好きです。

もし皆さんが好きな機体、劇中に登場させてみたいモチーフがあれば教えてください。

次回は氷霜魔獣との決着と古代国家の遺跡の探索パートです、一体どんな謎がパーティを待ち受けるのか…

次回にご期待ください!


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