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第23話 二章 エピローグ


ヴァルカニック・ブレイカーは激闘を終え、基地へと帰還した。工房の扉が開くと、仲間たちの歓声が彼を迎えた。

ハッチが開き、マコトが機体から降りると真っ先にアイリスが真っ先に駆け寄ってくる

 

「マコト!……無事で、よかった……!」


アイリスは瞳に涙を浮かべながら、マコトに抱きついた。

彼女の温もりと声に、マコトは戦いの緊張が解けるのを感じた。


「心配かけてごめん。でも、アイリスの、みんなのおかげで…勝てたよ。」


少し離れた場所で、エルナが腕を組み、にやりと笑みを浮かべている。


「おやおや、えらい熱烈なお出迎えやなぁ。二人とも、見てられへんわ。」


その言葉に、アイリスの頬が赤く染まった。


「ち、違います! 私はただ、無事でよかっただけで……!」


マコトは苦笑しながら、エルナに目を向けた。


「エルナ、からかうのはその辺で頼むよ。」


エルナは肩をすくめて笑う。


「ほな、これくらいにしといたるわ。でも、ほんまによぉやったで、マコト。」


彼女の言葉に、周囲の技術者たちも頷き、拍手を送る。司令官のダリウスも歩み寄り、厳格な表情の中に微かな笑みを浮かべた。


「よくやった、マコト。君の勇気と技術者たちの努力が、この勝利をもたらした。」


基地全体が歓喜に包まれ、兵士たちも次々とマコトに声をかけ、称賛の言葉を贈る。その夜、ささやかながらも勝利の宴が開かれ、笑顔と笑い声が絶えなかった。


深夜、皆が休息を取る中、マコトは工房でヴァルカニック・ブレイカーを見つめていた。

戦闘中に起きた出力限界突破――あの現象が頭から離れない。


シャドウベヒーモス戦、そして今回のヴェイラス戦で起こった異常な現象。設計には存在しない、出力の限界を超えた力。

マコトはその原因を探るべく、戦闘中の記録やエネルギーの流れを再確認していた。


その時、背後から柔らかな声が響いた。


「考え事ですか?」


振り返ると、エルフ技術者のセリアが落ち着いた表情で立っていた。彼女もまた、ヴァルカニック・ブレイカーに視線を向けている。


「セリアさん……ちょっと引っかかることがあってね。機体の記録を見ていたんだ。」


マコトはデータを示しながら続けた。


「この出力値……明らかに設計を超えた数値が出ている。現在の精霊の力では、ここまでのエネルギー上昇率なんて絶対にあり得ないんだけど。」


セリアは静かに頷き、機体をじっと見つめた。


「それはおそらく…外部からのエネルギーが流れ込んできた可能性がありますね。」


「外部からのエネルギー……それは一体?」


マコトの問いに、セリアは思い出すように少し間を置いた。


「以前、あなたと議論したことを覚えていますか? 四大精霊以外の未知の存在についての話です。精霊術にはまだ未解明の領域が多いという…」


「ああ、覚えてる。でも、それが何か関係あるのか?」


セリアは小さく頷き、さらに言葉を続けた。


「遥か昔、精霊信仰が盛んだった時代の話です。私は古代の文献で、ある国家が特に精霊の力を強く引き出し利用していたという記述を読んだことがあります。」


「ある国家…?」


マコトが問い返すと、セリアは真剣な表情で答えた。


「その名はアルカディア・エルドリム。かつて北方の広大な森林地帯に存在した国家です。精霊術とその応用に非常に長けていたとされていますが……現在、その地は極寒の荒野、『エルドリム大氷原』と呼ばれています。」


マコトは眉をひそめながら続けた。


「大森林だった場所が極寒の地に? 一体なぜそんなことに?」


セリアは首を振り、ため息をついた。


「詳しいことは分かりません。ただ、何らかの理由で地形や環境が大きく変化したのだと思われます。今や誰も寄りつかない未開の地として知られています。」


「……そこに行けば、何か分かるかもしれないってことか。」


マコトはヴァルカニック・ブレイカーに視線を戻した。沈黙が一瞬流れる。


「しかし、なぜそんな現象が起きるんだろう? 俺の機体に、あの時だけ特別な力が流れ込んだ理由が全くわからない……。」


セリアもまた、機体に視線を向けた。


「未知の精霊、あるいは特殊な力が関与しているのかもしれませんね。私たちはまだ精霊術のほんの一部しか理解していません。もしかしたら、未知の”何か”があなたに興味を抱いたのかもしれません。」


「興味……か。」


マコトは拳を握りしめながら、小さく呟いた。

シャドウベヒーモスの時も、ヴェイラスの時も、極限の状態で何かが自分を助けてくれた。

それが何なのか確かめるために、自分が行くべき場所が見えてきた気がする。


「アルカディア・エルドリム……エルドリム大氷原か。」


彼の心に新たな決意が芽生えた。


「もし、そこに行く事が特殊な精霊こ存在になるのなら……行く価値はありますね。」


「可能性はあります……だが、その道のりはとても険しく厳しいものになるでしょう。」


「覚悟の上さ。自分の力の源を知るためにも、行く価値はある。」


その時、背後からアイリスの声が聞こえた。


「――勿論、私も一緒に行くわ。」


マコトは驚いて振り返った。


「アイリス、聞いてたのか……」


「私はもっとマコトの力になりたいの。戦うのだって大分慣れてきたんだから!」


エルナも現れ、肩をすくめて笑った。


「うちも途中までやけど、亜人連合国まで同行するで。二人だけじゃ心細いやろ?」


マコトは二人の決意に感謝の笑みを浮かべた。


「ありがとう、二人とも。」


こうして、マコトたちは新たな旅立ちの準備を始めた。


二章を最後までお読みいただき、ありがとうございます!

ヴェイラスとの壮絶な戦い、新型機ヴァルカニック・ブレイカーの活躍、そして精霊の秘める新たな力…

次章では、いよいよ新たなる地、「エルドリム大氷原」への冒険が始まります。古代国家まつわる謎、そして更なる強敵との対峙。仲間たちとの絆や、新たなキャラクターの登場にも注目してください。

物語はさらにスケールアップしていきます。

次回をぜひご期待ください!


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