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第22話 激闘の果てに立つ者


地面が溶け、赤く燃え盛る大地の中心で、二つの巨影が激しくぶつかり合う。

ヴェイラスの拳が炎の尾を引きながらヴァルカニック・ブレイカーの胸部装甲に叩き込まれると、爆音が周囲に広がった。


「はははっ!いいぞ!もっと全力で来い!貴様の限界を見せてみろ!」


ヴェイラスは歓喜に満ちた声を上げながら、さらに攻撃の手を加速させる。

その拳が振り下ろされるたびに、炎の竜巻が巻き上がり、辺りを焼き尽くしていく。

 

「ぐっ……!」


操縦席内でマコトは歯を食いしばりながらも操縦桿を握りしめた。

ヴェイラスの攻撃が命中する度、装甲の表面が赤熱化し、熱波が操縦席にも伝わる。

内部警告ランプが点滅し、冷却システムがフル稼働する音が耳をつんざく。


「……負けるわけには、いかないんだよ!」


マコトは操縦桿を引き、ヴァルカニック・ブレイカーの右腕を振り上げた。

その拳に風と火の精霊の力が集束し、赤熱化した表面が煌々と輝く。


「喰らえ――!」


鋼鉄の巨拳がヴェイラスの腹部に炸裂する。

轟音と共に衝撃波が広がり、ヴェイラスの巨体が後方に吹き飛ばされる。


しかし、その顔には苦痛ではなく、狂気の様な笑みが浮かんでいた。


「そうだ!それだ!その調子で来い、もっと俺を楽しませろ!!」


ヴェイラスの拳がヴァルカニック・ブレイカーの胸部装甲に突き刺さり、装甲が焦げつきながらわずかにへこんだ。その直後、マコトは脚部ブースターを全開にして間合いを詰め、両腕でヴェイラスの首元を掴んだ。


「今度は俺の番だ!!」


ヴァルカニック・ブレイカーの膝を持ち上げ、ヴェイラスの腹部に叩き込む。

その衝撃でヴェイラスの巨体が数歩後退し、地面に深い亀裂を刻んだ。


「――楽しいぞ、貴様との戦いは最高だ!!」


ヴェイラスは両拳を炎で包み込み、連続で叩き込んでくる。

その速度と力にマコトは押され気味になるが、冷静に反撃の隙を伺う。


「このままやられるわけにはいかない……!」


ヴァルカニック・ブレイカーの左腕がヴェイラスの顔面を狙い撃ち、クリーンヒットする。

ヴェイラスの頭が仰け反り、炎の勢いが一瞬だけ弱まった。


「まだまだ――!」


追撃の右拳が、ヴェイラスの顎に直撃する。

その一撃で燃え盛る巨体が大きく揺らぎ、膝をついた。


「どうした、ヴェイラス……お前の力はそんなもんか!」


マコトの挑発にヴェイラスは一瞬だけ眉を動かし、低い声で呟いた。


「面白い……ここまで俺を追い詰めるとはな……!」


その言葉の直後、ヴェイラスの体が赤熱し始め、さらに膨張した。彼の両腕に炎が集まり、溶岩のような魔力が滴り落ちる。


「だが、まだ終わりじゃない……見せてやろう!この俺の!最大火力を――!」


ヴェイラスはその両拳に渦巻く魔力と火炎を集め、全身を灼熱のオーラで包み込んでいた。

その姿はまるで地獄から現れた破壊神そのもの。


「これが俺の全てだ……受けてみろ、人間ッ!!」


声が響くや否や、ヴェイラスは渾身の一撃を繰り出した。

その拳は空を切り裂き、周囲を溶岩のような炎で埋め尽くす。

それは単なる攻撃ではなく、周囲の地形すら変えてしまう程の力を持つ破壊の奔流だった。


マコトはヴァルカニック・ブレイカーの出力を限界まで引き上げ、迎撃の準備を整える。


「いくぞ、ヴェイラス――!!」


ヴァルカニック・ブレイカーの両腕が赤熱し、マグマのような光を放ちながらエネルギーを収束していく。

その巨拳が振りかぶられ、猛然と放たれたヴェイラスの拳に向かって解き放たれた。


二つのエネルギーがぶつかり合い、戦場全体を震わせるような轟音が響き渡る。

炎と光の渦が交錯し、爆風が大地を砕き、遠くの兵士たちですら立っていられないほどの衝撃が走った。


「はははっ!いいぞ、その力……だが、俺には届かんッ!!」


ヴェイラスは高笑いを浮かべ、さらに力を込める。

その凄まじい圧力により、ヴァルカニック・ブレイカーの拳が徐々に押し返されていく。


「くそっ……まだ、足りないのか……!」


マコトは必死に操縦桿を握りしめ、出力を上げ続ける。

しかし、ヴェイラスの力は圧倒的だった。


「灰になるがいい!!」


ヴェイラスの咆哮と共に、その一撃がヴァルカニック・ブレイカーを押し込んでいく。

火炎が装甲を焼き、警告音が操縦席内に鳴り響いた。


その時――。


機体のエネルギーメーターが異常な値を示し始めた。

蒸気が激しく噴き出し、機体全体が眩い光に包まれる。


「……この感覚……前にも……!」


マコトの脳裏に、シャドウベヒーモスとの戦いで見た光景がよみがえった。

通常ではあり得ない出力が機体全体に満ち、拳に圧倒的な力が宿る。

 

ヴァルカニック・ブレイカーの巨拳がヴェイラスの拳を押し返し始めた。

両者のエネルギーが激しく拮抗し、火炎と光が入り混じる。


「馬鹿な!この俺が……押されるだと!?こんな奴に――!!」


ヴェイラスの叫びも虚しく、ヴァルカニック・ブレイカーの拳はその勢いを増し、ついにヴェイラスの拳を弾き飛ばした。


「これで終わりだ……ヴァルカニック(焔神)ゥッックラッシャ(破壊拳)ァァァァッッ!!」


ヴァルカニック・ブレイカーの拳がヴェイラスの胸部を捉え、凄まじい音と共に光の渦が戦場を包み込んだ。

地面が裂け、砂塵が巻き上がり、大地が震える。


その後、しばらくの静寂が訪れた。


砂煙が徐々に晴れ、戦場の中心に二つの巨影が浮かび上がる。

ヴァルカニック・ブレイカーとヴェイラスが互いに向かい合う様に立ち尽くしていた。


その巨体が微かに揺らぎ、ヴェイラスは赤く燃え尽きた瞳を持ち上げた。

口元に薄く笑みを浮かべながら、かすれた声で尋ねる。


「……貴様……名を教えろ……。この俺を……ここまで追い詰めた者の……名を……」


戦場全体がその言葉に飲まれ、静まり返る。

マコトは拳を握り、息を整えると、堂々と応えた。


「俺の名は、マコトだ……」


ヴェイラスはその名を口にするように呟き、頷いた。


「覚えたぞ……マコト……次こそは、俺が……勝……つ……」


その言葉と共に、巨体が静かに崩れ落ちた。

燃え尽きたかのように、その炎は完全に消え、ヴェイラスの巨体は動かなくなった。


戦場の静けさの中、マコトは深く息を吐き、ヴァルカニック・ブレイカーの拳をゆっくりと下ろした。


豪炎将ヴェイラスとヴァルカニック・ブレイカーの戦い、いかがだったでしょうか?

次回は二章のエピローグになります。

闘いに勝利したマコトを迎える仲間たち。

皆が勝利の余韻に浸る中、倒れたヴェイラスに近づく影が……

次回にご期待ください!


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