シャボン玉に恋をした。
君はまるで、シャボン玉のような子だった。
ふわふわと踊るシャボン玉を追いかけ、君は指でつつこうとする。
そのシャボン玉がはじける時、君もはじけるような笑顔を見せるのだ。
届かないくらい高くまで飛んだシャボン玉を見上げ、ちょっと悔しそうにする。
その横顔を見て、僕はバレないようにクスッと笑う。
「もう1回!」
イタズラ心で、僕はあえてさっきよりも高いところでシャボン玉を飛ばす。
ジャンプする君の横で、僕は軽々と手を伸ばそうとする。
しかし、一瞬の瞬きのあと、飛んでいたはずのシャボン玉は、消えてしまっていた。
今思えば、この恋もシャボン玉みたいだった。
僕が少し目を離してしまった隙に、君もどこかに消えてしまった。
手が届かなかったのは僕の方かもしれない。