やったね!絶望の再確認だよ!
「ふわぁ……おはよー」
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・乙
・随分気持ち良く寝てたなw
・よくもまあ固い地面で8時間も寝れるわw
そんなに寝てたんだ。
僕ってば健康優良児だから8時間くらい寝ないと眠気で思考が停止しちゃうんだよね。
「例えダンジョンだろうと僕の睡眠を邪魔する奴は容赦しないよ」
無駄にキリッとした顔で言ってやった。
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・あの狼は?
・狼すらも歯牙にかけないと……
「ごめんなさい調子に乗りましたチート狼だけは勘弁してくださいお願いします」
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・草
・速すぎる掌返し
・でしょうねw
・何コントみたいなことやってんだよwww
・地上波で流れてるって分かってる?
そういえばそうだった。
確かに同接も最早目を覆いたくなるような人数だし、地上波で流してるなら納得できる。
「え、でも8時間も経ってるのにまだ地上波で流れてるの?」
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・NTD放送局が全枠をおめーの配信にしてる
・金になるから、って思い切ったことをしやがる
「何やってんの国営放送」
いや、本当に。
僕の痴態が全国に広がるのはもうどうでもいい。諦めた。
でも、まさか24時間ずっと監視状態とは思わないじゃん。僕のプライバシーがズタボロなんだけど訴えたら勝てる?
「ドキュメンタリー番組かな?」
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・ある意味w
・そう言われればそうじゃんwww
・誰も踏み入れたことのないダンジョン深層……勇気ある青年が今踏み込む──!
・↑なお、不本意な上に自業自得とする
・草
・草
・ドキドキはしてるな、ずっと
「え、ってことは僕の片腕焼失事件と片腕もげた事件と全身大炎上事件は映ってるってこと? やだ、恥ずかしい」
それはコンプライアンス的に大丈夫なの?
お茶の間に流しちゃいないブツが漏れ出てるけども。これからも漏れ出るつもりだけど。
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・ダンチューブと直に繋げてるからレーティングかかる
・まあ、18のワイは飯時に血を見たがな
・それはドンマイ
・レーティング機能が出てから過激なモノでも地上波で映せるようになったからなぁ……
・昔じゃ考えられん
・恥ずかしいのポイントがおかしくて草
・やだ恥ずかしいじゃねーよ
確かにそれなら……って思ったけど、結局僕の焼失と消失事件がお茶の間に流れた事実は変わらないじゃん。
見苦しいもの見せて本当にごめん。
「でも、レーティング機能とかダンジョンの配信機能といい、今じゃ当たり前だけどこの技術すごいよね」
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・それな
・ダンジョンの魔石とスマホを合成したらできたらしいけど
・魔石便利すぎワロタ
・魔石があればエネルギー問題はおろかその他の科学的問題が全部解決したもんな
ダンジョンは沢山の死傷者を出したけれど、時代を何世紀も進めた、なんて言われることもある。
便利な世の中になったのは間違いないけど、そのために多大なる犠牲を出し続けてるのは如何なものかな、とは思う。
そんなこと言うならダンジョンに行かなきゃ良いだろ、って話なんだけどね。結局は。
「ま、細かいことは気にしないで、これからの方針を決めようと思うんだ」
意見交換大事。
リスナーがタメになることを言ったことは一度もないけれど、未来への投資の意味合いも込めて意見交換を図ろうかと思う。
現状は絶望に絶望を足して絶望を飾った感じ。
諦めたのか虎視眈々と狙っているのか、狼は姿を消していたけど必ずまた襲ってくることは間違いない。
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・無理じゃね?
・諦めれば?
・食料と水はショップで買えるんだし救助待てば?
・何十年かかるやら
・それでも死なないだけマシじゃね
「薄情だなァ! リスナーァ! もうちょっと建設的な意見出せないの!? ……いや、まあ救助を待つのが一番良いのかもしれないけどね? そもそも救助がやってくるのかも分からないし、この救助は死人が出すぎる。現実的な意見じゃないよ」
ブレーンストーミングでもやろうモノならリスナーがふざけるのは目に見えてる。
現実的じゃない意見はバッサリ切るのが良い。
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・500階層だもんなぁ……
・救助しに行ってるのに死んだら元も子もないからな
・とは言っても狼に勝てる確率はゼロだろ?
「僕の強化が必須か。ポーションでゾンビアタック仕掛けても倒し切る前に脳髄潰されて死ぬだろうし。スキルを増やそうとするのも現実的じゃないよねぇ……」
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・やっぱり詰んでる件
・どう足掻いても勝てるビジョンがねぇw
・宝箱や!宝箱を発見するんや!!
宝箱ねぇ……。
そんな都合のいい物が転がってるわけがない。
ユキカゼさんが言ってたようにボックス系統の擬態モンスターだった場合は間違いなく死ぬし。
と、思ってたけれど
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・《ARAGAMI》あの狼がボスモンスターである以上、宝箱があれば確実にアイテムが入っているはずだ。諸説はあるが、フィールド全体がボス部屋である以上、ここは狼の縄張りだ。例え擬態モンスターとはいえ居座ることはできない
アラガミさん! アラガミさんじゃないか!
初めて絶望じゃなくて希望を持てる情報をくれた!
「アラガミさん、ありがとうございます! 確かにその可能性は高いね。宝箱を見つけることができるかは分からないけど、一発逆転のチャンスがあるならソレかも」
運任せにするのは性に合わない。でも、そうも言ってられない。
……宝箱に入ってるアイテムで狼を倒せる確率は限りなく低いと思うけど。
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・最早ガチャ
・宝箱を探しに行くには狼を倒す必要があります!
・↑前提が逆で草
・確かにフィールドのどっかにあるなら狼と会うだろうしw
・やっぱり詰んでるんじゃねーかよ
「まあ、そうだよね。ここから出られない以上、宝箱に関しても諦めた方が良さそう。……うーん、案がないわけじゃないんだけど、纏まってないから今は別のことをする」
実のところ倒す方法についての案はある。
あるにはある。でも、実験もできなければ倒せる保証もない。正しく博打のような考えだ。
意見交換するには浅はかな考えを、僕は披露しようとは思わなかった。
「よし、洞窟の探索に行くことにするよ。見た限り奥行きがあるみたいだし、何かヒントが眠ってるかも」
僕は立ち上がって宣言する。
……筋肉痛でちょっと痛い。
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・妥当か
・何事も知らないと何にもできないからな
・さんせー
・洞窟の奥にモンスターいたら笑えるw
「笑えないからね? 洞窟の奥にモンスターがいた時点で僕の冒険は終わるよ? そういうフラグ立てるのやめよっか」
ふふふ、と我ながら非常にいい笑顔で不穏の種を摘む。
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・痛い目にあったからかやけに慎重だぞ!
・フラグニキは黙ってもろて
・あら、いい笑顔
・目の奥が笑ってないのは気のせい?