もし星の光がとどかなくとも
ハットン卿には翼の生えた馬で行くらしい。強いていえばペガサス?首が長くてシマシマがある。キリン+シマウマ+ペガサス。こんな謎の生物に乗っていくのか。でもここは異世界で僕は国に招待された客人、失礼がないようにしないと最悪、侮辱罪で死刑だ。しょうがない下手に出てやるか。ジョッキーが降りてきて
「お向かいに上がりました。忍雷様。こちらペガサソです」名前がわかっただけでも安心だ。少なくともこの馬に対して愛はあることがわかった。ハットン卿では生物同士を掛け合わせるキメラ実験が行われているかもしれないと考えつつペガサソの背中に乗り込む。
「いざ出陣」「大丈夫ですか。頭でも打たれましたか?」
あからさまに心配された。世の中も世知辛いと思った今日この頃。
あと十分ほど着くそうだ。回りを見渡すと深い群青色の空。ここは日本じゃないけど文句なしの日本晴れだな。「もうそろそろ雲海に入りますよ。」その言葉とともにあたりは絹のごとき白に包まれた。雲を抜けた先の光景に思わず息をのむ。永遠の夏空。聞いていた通りだ。朝にも関わらずまわりには藍色が広がっている。星とともに天駆ける。星には思い入れがある。友とともに丘に上ってよく眺めた。ラムネ瓶を片手に。一緒にいると泡とともに寂しさが消えていく。望遠鏡なんて持ってなかった。僕のラムネ瓶には夢がつまっている。それを覗いて星をみる。瓶のそこに広がる天体はなにもかもを忘れさせてくれた。一輪の花が空に咲く。僕たちの到着を祝ってるみたいだ。たまや~と叫びたくなるな。空の色が変わってきた。もうすぐ着くな。感傷に浸っている場合じゃない。僕の新しい人生すべて始まりの町になるんだ。門には色鮮やかな紫陽花が出迎える。ダイナミックなガラスでできた城から目を離すことができない。その後ろの金色の光を放つ虹。「よくぞお越しいただきました。私、案内役のムギーと申します。」麦わら帽子にぱっちりした目のついた可愛らしい彼を横目に回りを見渡す。名前通り本当に帽子しかいないのか。
「我が女王がお呼びです。私と共に城へと参りましょう」
街並みは中世ヨーロッパだ。ベネズエラと遜色ない綺麗さだ。街を見れば統治している王の気品が分かるとよく言うがそれがもし本当なら本当に美しい女王がでてくるかも。
そう思いつつ足を動かす。ベレー帽、テンガロンハット コック帽、キャップやニット帽たくさんの住人がいる。険悪な眼差しを向けられているが無視無視。城門の前までやってきた。王室から伸びている階段は色鮮やかだ。
地上から直接、王室まで行けるのは珍しい作りだ。
「女王の御前だ。」「良い良い。私が呼んだのだぁ〜客人として持て成してやってくれ〜」「私こそ神国の女王ピレオルスで〜す あなたは福招咲 忍雷さんですか」
「はい。ですがさん付けはお止めください。」
「ですが客人として招待したのは私ですので〜」
「いいのです。いいのです。ところで御用とは何でございましょうか?私のような小童を招くような真似をして。」
「単刀〜直入に言いましょ〜う。あなたに頼みたいことは2つ。1つ目は世界の危機を止めてもらいたいのです。」妙に言葉の途中を伸ばすような喋り方もせずに彼女は真剣な眼差しで僕を見つける。「2つ目はある一人の国民を救っていただきたい。」「というと具体的には?」
クエスト女王様の英雄像 を受けますか?
オールコンプリート報酬
人類の結晶
こんなのもちろん受けるに決まってる。 失敗した時のデメリットがない。それだけでも受ける価値がある。【承諾】
「ありがとうございます。まずあなたの質問に答えましょう。まずあなたを選んだ理由ですがそれは神国に招待する条件が理由です。死を経験するこれがなかなか難しくてですね。これをクリアする者は今までアンデッドしかいなく言葉を話せる者は初めてなのです。次にクエストの説明をしましょう。いまソプラノ界は混沌と嘆きが渦巻いている