悪魔Ⅱ
衝撃波を放ち周りにいたスケルトン軍団を壊滅させ、マルクとの一対一の第二ラウンドが始まり、樹はマルクの懐へとハイスピードで近づき直接殴りかかる。マルクは樹が一瞬にして消えたように見え、不意打ちを喰らったかのように攻撃を諸に受けた。悪魔族は寿命が長く色んな経験を積んでいる勿論このような事も幾度となくあった。
「!!ッッッ!!」
(まさか私が不意打ちの一撃を貰うとは、しかもあの男見た目ボロボロなのに魔力を体に纏う力を残しているなんて、まさかあの固有スキル持ちなのですか!?)
「フフ、フハハハハ」
「なんで笑ってやがる」
「それを言うなら貴方も何故立っていられるのですか?」
「質問を質問で返すな、てか俺も知らねぇよ」
「ふむ、無自覚の覚醒ですか。今私にとって貴方の体に起きてる状態は不味いですね。」
「だから知らねっての、タイマンするか?」
樹はゆっくりとマルクに歩み寄る。マルクは、崩れた身体を起こし樹と向かい合う。そしてどれだけ向かい合っていただろうか静寂な部屋に男と男のタイマンが始まる。拳と蹴りが激しく混じり合い余波が生まれる、その余波は壁や天井を刺激し亀裂が生まれ崩れてく、樹が最後の一撃と言わんばかりの拳を出した時、マルクは崩れてくる天井の下にいる人物の所にいた。
「フフフフフ、全く主人の命令に背けはできませんね。」
樹はその言葉でハッとした。マルクの体は樹とのタイマンでボロボロなのに守ろうとしていることが今の樹には分からなかった。
「何故その子を守ろうとする?」
「このお方もさっきの余波で起きているかもしれませんが、私にとってこのお方いえ、お嬢様が大切だからです。それに貴方と戦えて良かったと思います。」
「まるで遺言のような言い方じゃないか。」
「遺言ですか確かにそうですね。それに貴方の決意したことはすぐにヒントが見つかります。それとこれは私からの頼みです。お嬢様に外の世界を見せてやてはくれませんか?」
「俺は故郷に帰るために旅をするといったそれでも良いのか?」
「貴方は戦ってる最中気付いてないようでしたが私の攻撃を躱し続け自身の攻撃を確実に入れていたのですよ。貴方はこの戦いで成長なされた、お嬢様を守って下さる存在には相応しい。それに自身の大切を守るのも苦ではありません。
だからこそ頼んでいるのです。」
「・・・分かった。」
樹はマルクが言った言葉に戦うことしか考えてなかった自分にほんの少し人間らしさを思い出し、マルクが支えている瓦礫の間から布一枚のお嬢様を抱き上げマルクから離れた。マルクはニコリと笑い
「有難うございます。リーアお嬢様を頼みましたよ。」
そう言い切り力が抜けマルクは瓦礫の中へと消えた。戦ってる最中は気付かなかったが部屋の奥に扉があることに気付き扉の中へと入り、小さな平原の中にある一軒の屋敷に入りリーアと呼ばれたお嬢様をソファーに寝かせ
「起きてるんだろ、リーアお嬢様?」
「リーアで良い貴方の名前は?」
「樹、夏川樹。夏川が苗字な。」
「樹ね。樹、マルクは私の教育係だったのよ、そのマルクを瀕死に追い込むなんて貴方何者?」
「さぁな、俺も知らねぇ。ただこれからよろしくな、リーア」
「貴方、血まみれなのに大丈夫なの?」
「あ、・・・手当てしてくれないか?」
樹はリーアに手当てして貰いステータスプレートを見た。すると今まで真っ黒だった固有スキルが明らかになっていたのだった。
やっとヒロイン登場です。
誤字脱字教えて下さると有難いです。
次回は出来れば2話連続投稿したいです。出来なかったら31日に投稿します。